ブックタイトル危険なサインの謎を解く

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概要

危険なサインの謎を解く

4 医療者の直感 直感は五感アセスメントのなかでも非常に重要な「感」となる.直感とは医療者自身のサバイバルシステムの発動であるとも言える.人間のサバイバルシステムは,身体の「内」と「外」の危険に対応する(図2).患者を気遣う医療者にとって,患者の危険は自分自身の「外」にある危険である.患者の危険を察知するとき,医療者のサバイバルシステムは,ほとんど無意識のうちに迅速に発動する. 自覚症状や身体診察に基づいて原因疾患を推定し,急変の可能性を予測することは「分析的な推論」である(例えば,突然の激しい頭痛+項部硬直→クモ膜下出血→危険!).一方で,しばしば危険の直感は意図的な分析と関係なく湧き上がる(「何か気になる」「何となくおかしい」「重症感がある」)*3.患者の第一印象や,患者との簡単なコミュニケーションを通して,直感として医療者のサバイバルシステムが発動するのであ図1  人間に備わるサバイバルシステム身体内外に危険が発生した場合,サバイバルシステムは「危ない!」と感知し,サバイバルプログラムを発動させ,生き残るために自動的に適応し抵抗する.中枢神経系サバイバルシステム:「ソフト」全 身サバイバルシステム:「ハード」サバイバルプログラム 内臓/体液の異変に抵抗する生体反応 危機的状況に適応する行動と言動 (コミュニケーション)身体の「外」の危険身体の「内」の危険感知適応/抵抗 適応/抵抗外敵災害など病気感知*3:「ちょっかん」には「直感」と「直観」とがあり,前者は感覚的ニュアンスで,後者は認知心理学的ニュアンスで用いられる.このテキストでは,両者の意味をまとめて,一般的な言葉としてなじみ深い「直感」を用いている.