ブックタイトル認知症診療に役立つ77のQ&A

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概要

認知症診療に役立つ77のQ&A

37診 断られる病態であり,以下,一過性全健忘,認知症を伴わない幻覚・妄想,パーキンソン病の順になっている.うつ・抑うつ状態ならびに認知症を伴わない幻覚・妄想と認知症の鑑別はQ18(p.40),Q19(p.42)でそれぞれ記載しているので参照されたい.一過性全健忘という病態を知っておくこと アルツハイマー型認知症では,発症時期を正確に同定することができないが,物忘れの発症時期を“何月何日”と正確に述べることができる事例では一過性全健忘の可能性を考える.一過性全健忘は,急性発症の記銘力障害であり,ある一定期間の記憶が欠け,その周辺の記憶を思い出せないと訴える病態であり,アルツハイマー型認知症との病像の違いは明らかである.一過性全健忘の患者さんが医療機関を受診する時期は発作が消失してからの場合が多いので,実際の診療では一定期間の記憶の欠落以外に障害はないのが特徴である.薬剤による副作用が認知症と疑われることがある 身体疾患の治療に使用される薬剤の副作用で,せん妄や認知症に類似した病態を生じることがあるので注意を要する.筆者の経験では,感冒薬として使用されるPL配合顆粒によるせん妄がときどきみられるので気をつけたい.PL 配合顆粒の添付文書にはせん妄についての記載はないが,本剤中のメチレンジサリチル酸プロメタジンはコリン作用を有していることから,せん妄の原因になっているのかもしれない.添付文書にも記載されているが,高齢者では減量などの注意が必要である.臨床的にせん妄と診断しても,頭蓋内に器質的疾患がみられたり合併する可能性を否定できない.頭部CT スキャンでよいので,1 度は脳表17 - 1 治療可能な認知症68 名の内訳(もの忘れ外来1 , 947 名)?うつ・抑うつ状態 16? 一過性全健忘 7? 認知症を伴わない幻覚・妄想 7?パーキンソン病 7? 不安・強迫性障害 6? 薬剤性せん妄 5? 正常圧水頭症 4? 脳腫瘍 2? 薬剤の副作用 2? 双極性障害 2?せん妄 2?ビタミンB12欠乏症 2? 甲状腺機能低下症 1?ビタミンB1欠乏症 1? 肝性脳症 1? 慢性硬膜下血腫 1? 急性脳梗塞 1?アルコール依存症 1