ブックタイトル土曜日の紹介は嫌われる

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概要

土曜日の紹介は嫌われる

178 95 歳,女性.高血圧症などで外来フォロー中.内服薬はジアゼパム(セレナミン?)2mg,ロサルタン(ニューロタン?)50mg,アムロジピン(アムロジン?)5mg および2.5mg,ラベタロール(トランデート?)50mgで,すべて1 回1 錠,1 日1 回,朝食後.血圧のコントロールは良好で,全身状態も安定しており,月1 回の頻度で独歩にて通院中.2013 年には自治会の役員をしており,週3 回の買い物と調理は自力で可能で,10 年前から1 日の出来事を記録している.2014 年ごろから難聴が進行.2015 年の定期血液検査ではNa131mEq/L,K 5.4mEq/L.腎機能には問題はなく,好酸球増加もない. 2015 年8 月6 日の定期受診時,診療所に向かう途中,道端で転倒したが,そのまま1 人で受診し,熱疲労として外来で点滴(ソルデム?3A 200mL+生理食塩水100mL+サブビタン5mL)を施行した.自宅環境が熱中症のリスクが高い状態であったことから,翌日も点滴することになった.翌7 日,点滴のために1 人で診療所に向かう最中に再度転倒し,近所の人が救急車を呼んだが,その前に診療所スタッフが迎えにいき,血液検査と点滴を実施した.点滴終了後,長男に迎えにきてもらい,その際に長男からいろいろと話を聞いた. 長男の話によると,現在は長男,長男の妻の連れ子との3 人暮らしで,長男の妻は中国に帰省中とのことであった.子どもは長男のほかに,長女,次女がいるが,あまりつき合いはない.ADL は自立だが,IADL はすべて長男が介助. 8 月8 日に血液検査の結果がわかり,Na 118mEq/L,K 3.4mEq/L と著明な低ナトリウム血症を認めたため,入院精査を依頼した. 入院10 日前ぐらいから活気がなくなり,入院5 日前からよく転ぶようになっていた.8 月8 日(土)の11 時30 分ごろに外来を受診.血液検査にてNa 117mEq/L と低ナトリウム血症を認めたことから,その補正と原因精査目的で緊急入院した.その他の検査結果としては,K 2.8mEq/L,血清浸透圧236mOsm/kg と低下していたが,肝・腎機能には目立った障害は認めなかった. 低ナトリウム血症について,Na 117mEq/L,血清浸透圧236 mOsm/kg,FENa 0.49 %,FEurea 32 % と,低浸透圧性・循環血液量減少性のものであった.その原因として,非労作性の熱中症が緩徐に進行し,ナトリウム喪失に対して相対的な水分貯留状態となり,低ナトリウム血症をきたしたと考えた.また,加齢による生理的な鉱質コルチコイド作用の低下と,ARB の使用によってRAA 系の代償機構が十分に機能しなかったことも,低ナトリウム血症を助長したのだろうと推測した.甲状腺機能異常や副腎不全を疑う電解質異常はなかった.意識障害やけいれんなどの重篤な神経症状は認めず,慢性的な経過が予想されたことから,細胞外液の点滴で補正を行った.入院3 日目にはNa 123mEq/L,5 日目には127mEq/L まで改善した.入院後は十分に経口摂取できていたため,塩化ナトリウムの内服に切り替え,Na 130mEq/L 台まで上昇を認め,補正を終了した.その後も低ナトリウム血症は再発せず,そのまま退院した. ふらつき,転倒に関しては,入院時に頭部CT を施行した結果,急性期病変や慢性硬膜