ブックタイトル事例で解決!もう迷わない抗認知症薬向精神薬のつかいかた

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事例で解決!もう迷わない抗認知症薬向精神薬のつかいかた

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事例で解決!もう迷わない抗認知症薬向精神薬のつかいかた

9483 歳,女性,アルツハイマー型認知症リスペリドンの少量使用で興奮や暴言,暴力行為が消失した事例24病 歴長男夫婦からの相談.発症時期ははっきりしないが,80 歳以前からもの忘れ症状がみられていた.患者さんの財産目的に妹夫婦が近寄ってきており,週1 回妹夫婦に理由なく3 万円ずつ渡す行為が3 年以上続いている.ある医療機関で認知症と診断されたようであるが,連れて行った妹夫婦は「認知症はないと言われた」と長男夫婦に告げていたので,その後の医療機関への受診が遅れた.現在,毎日のように興奮や暴言,暴力行為がみられ,家族が疲弊している.嫁の姿をみると興奮して殴りかかり,嫁の両上肢を爪で引っ掻く行動が認められる.要介護3 に認定されている歩行困難の夫を殴る,蹴るなどの暴力行為がしばしばみられる.家族は適切な介護施設に入所させたいが,ケアマネジャーからこのような状態では受け入れてくれる施設はないといわれた.選択すべき薬剤① 表1 は,興奮や暴言,暴力行為に効果を期待できる薬剤を示したものである.まず,認知症症状の進展抑制効果をもつメマンチン塩酸塩(メマリーR)の使用を考える.② メマンチン塩酸塩で効果を期待しがたいほど,周辺症状が活発な事例,あるいは介護家族の疲弊が目立つ事例では,抗精神病薬を最初から使用したほうがよいかもしれない.③ 本事例では,介護家族の疲弊を含めて在宅生活に破綻をきたす可能性が高いことから,標的症状の早急な軽減が求められる.鎮静効果を期待できるリスペリドンを選択する.これだけは知っておきたい!?興奮や暴言,暴力行為の軽減を目的に抗精神病薬を使用する際,副作用や忍容性を考えると非定型抗精神病薬を選択するのがよい.?リスペリドン(リスパダールR)は比較的即効性がみられることから,早急に標的症状の軽減を図りたいときに使用するとよい.糖尿病患者さんへの使用は禁忌ではないが,慎重な処方手順を踏むことが望ましい.?液剤があるので,拒薬あるいは服薬に協力的ではない患者さんには,飲み物に混ぜて服薬させる選択肢も考えられる(行為の是非は別にして).