ブックタイトル事例で解決!もう迷わない抗認知症薬向精神薬のつかいかた

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事例で解決!もう迷わない抗認知症薬向精神薬のつかいかた

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事例で解決!もう迷わない抗認知症薬向精神薬のつかいかた

84抗精神病薬処方の原則認知症診療では,物盗られ妄想や暴力行為などの周辺症状に対する,ある程度の治療スキルをもっていないと診療に行き詰まることが多い.精神神経科を専門とされない先生方の多くは抗精神病薬の処方を嫌がる,躊躇する,自信をもてないと感じているのではなかろうか.その理由の1 つとして,以前,精神神経科領域で広範に使用されていたハロペリドール(セレネースR)やクロルプロマジン塩酸塩(コントミンR)による副作用が強烈な印象を残しているからではないかと思われる.現在,精神疾患の治療に使用される抗精神病薬は,より副作用の少ない非定型抗精神病薬が主流となってきている.非定型抗精神病薬は,第2 世代抗精神病薬あるいはSDA(セロトニン・ドパミン拮抗薬)とも呼ばれ,統合失調症や双極性障害に広く使用されてきている.学術的記述は他の成書に任せ,ここではかかりつけ医・非専門医の先生方が抗精神病薬を使用する際の手順,注意点について解説する.表Ⅱ-1 は,著者が考えている抗精神病薬使用の原則を示したものである.① 使用する薬剤は非定型抗精神病薬とする.これらのなかで認知症診療にてかかりつけ医・非専門医の先生方に使用が勧められる薬剤は,リスペリドン(リスパダールR)とクエチアピンフマル酸塩(セロクエルR),オランザピン(ジプレキサR)である.非定型抗精神病薬以外では,チアプリド塩酸塩(グラマリールR)がしばしば使用される.② ごく少量から開始するのが原則である.添付文書に記載される処方量は統合失調症などの精神疾患に対するものである(これに従って処方してはならない!).認知症診療で用いる場合には,ごく少量から開始すれば,よからぬ事態を惹起することははるかに少ない.③ 臨床像を観察しながら少量ずつの増加,漸増が望ましい.慎重に漸増すれば有害事象が発現する危険性は低くなり,仮に生じても対策を講じやすい.④ 抗精神病薬を処方する際には,次回の診察を3 ~ 5 日後くらいにするとよい.診察間隔を短くすることで,不都合な事態を早めに把握することが可能になり,漸増あるいは漸減の判断を早めに下すことができる.表Ⅱ-1 抗精神病薬使用の原則?主として非定型抗精神病薬を用いる?ごく少量から開始する?漸増は少量ずつゆっくり行う?3 ~ 5 日ごとに患者さんの様子を確認する?介護家族が「これでなんとか我慢できる」と考える量で止める?効果が確認できたら早めに減量・中止を考える