ブックタイトル事例で解決!もう迷わない抗認知症薬向精神薬のつかいかた

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事例で解決!もう迷わない抗認知症薬向精神薬のつかいかた

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事例で解決!もう迷わない抗認知症薬向精神薬のつかいかた

29第Ⅰ章抗認知症薬(ドネペジル塩酸塩) 床像をみると,3 年目頃に一過性に妄想の訴えがみられたが,まもなく消失した.3 年半を過ぎたときにグループホームに入所し,現在,ときどき大声を出したり,他の利用者の部屋に入りトラブルを生じさせることはあるが,比較的落ち着いた生活を送っている.本事例における薬物療法のコツ① 抗認知症薬を開始後,著明な薬効を実感する事例は多くない.臨床像をみると,大きな変化がない,あるいは少しずつ進行していると感じる事例のほうが多いのではなかろうか.進行性の疾患であるアルツハイマー型認知症では,抗認知症薬の服薬を継続していても,認知症症状が進行・悪化するのはやむを得ないことであろう.② 臨床効果を実感できないことが多いなかで,本事例のように神経心理検査を経時的に行うことで長期的な臨床効果を確認できることも少なくない.図2 は,ドネペジル塩酸塩(5 mg と10 mg 服薬が混在しているが)の長期効果を検討した自験例の結果である.MMSE で評価される認知機能障害は,服薬しない自然経過では1 年間に3.3 点悪化する1)とされる.一方,ドネペジル塩酸塩服薬群では1 年後で1.1 点の悪化,3 年後でも2.3 点の悪化にすぎない.このように定期的に神経心理検査を施行することで,ドネペジル塩酸塩の臨床効果を実感することができる.しかし,日常臨床でかかりつけ医・非専門医の先生方が定期的にHDS-R などの神経心理検査を施行することはおそらく不可能であろうと思われる(可能ならば1 年ごとにHDS-R を施行できるとベストであるが).③ 症状が進行しない,あるいはHDS-R などの神経心理検査で大きな変化がみられない場合も,抗認知症薬が効果を発揮していると考えることができる.このような事例では抗認知症薬の効果が持続していると考え,服薬を継続していくことが重要である.1012141618202224初診時1 年後2 年後3 年後4 年後181516 16141316172319MMSEADAS-J cog.(点)改 善改 善図1 事例1 の神経心理検査の推移