ブックタイトル事例で解決!もう迷わない抗認知症薬向精神薬のつかいかた

ページ
10/12

このページは 事例で解決!もう迷わない抗認知症薬向精神薬のつかいかた の電子ブックに掲載されている10ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

事例で解決!もう迷わない抗認知症薬向精神薬のつかいかた

ブックを読む

Flash版でブックを開く

このブックはこの環境からは閲覧できません。

概要

事例で解決!もう迷わない抗認知症薬向精神薬のつかいかた

13073 歳,女性,アルツハイマー型認知症アルツハイマー型認知症の経過中に抑うつ状態を呈した事例36病 歴70 歳頃からもの忘れが目立ち始め,外出したがらなくなった.自ら抑うつ的な気分を訴えることはなく,我関せずといった態度であった.記憶障害や見当識障害の存在から,アルツハイマー型認知症の可能性を考え,ドネペジル塩酸塩(アリセプトR)の投与を開始した.初診6 ヵ月後頃から不眠を訴え始めたので睡眠薬を併用した.その後,気分がすぐれない,イライラする,食欲が減退してきたとの訴えがみられたことから,アルツハイマー型認知症に抑うつ状態の合併と判断し,パロキセチン塩酸塩水和物10 mg の投与を開始した.選択すべき薬剤① 高齢認知症患者さんが示す抑うつ状態に対しては,有害事象の発現が少なく忍容性が比較的良好なSSRI あるいはSNRI を第一選択薬として処方する.② 著者の個人的な意見であるが,認知症診療ではSSRI は抑うつ気分や不安症状に,SNRI は無関心,意欲の低下などの活動性低下に有効性を期待できるのではないかと考え,標的症状によって両者を使い分けている.③ 本事例では,SSRI のなかで最も標準的な薬剤とされるパロキセチン塩酸塩水和物の処方を行った.塩酸セルトラリンを使用してもかまわない.これだけは知っておきたい!?アルツハイマー型認知症の経過中にみられる抑うつ状態には,選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)あるいはセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬(SNRI)の使用を考える.前者としてはパロキセチン塩酸塩水和物(パキシルR)あるいは塩酸セルトラリン(ジェイゾロフトR)を,後者ではデュロキセチン塩酸塩(サインバルタR)あるいはミルナシプラン塩酸塩(トレドミンR)を使用する.?高齢患者さんにパロキセチン塩酸塩水和物を使用する際,20 ~ 30 mg で効果が得られることが少なくない.効果のあった量で半年前後維持していくことが必要である.?SSRI,SNRI は半年~ 1 年前後は維持量を継続し,症状をみながら漸減していく.