ブックタイトル認知症でお困りですか?かかりつけ医の疑問にお答えします
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認知症でお困りですか?かかりつけ医の疑問にお答えします
周辺症状157著者からのメッセージ認知症でみられる睡眠障害の対応を考える場合,身体的・生理的・心理的・精神医学的・薬物的要因について検討することが重要である.薬物療法を行う前に,介護者の「これだけ寝てもらいたい」という希望に沿うのではなく,本当に患者さん本人のためになるのかを検討するとともに,現実的な治療目標を設定する.「 かかりつけ医のためのBPSDに対応する向精神薬使用ガイドライン」1)が発表された.薬物療法を行う場合,適用外使用であるという説明とともに,転倒や日中の活動量低下が起こらないように,少量から開始する.かかりつけ医は,1~2剤の慣れた抗精神病薬を使用し,それで十分な効果がみられない場合には専門医に相談することが大切である.愛媛大学大学院医学系研究科精神神経科学 准教授 谷向 知夜寝ない,騒ぐので家族から困っているといわれるのですが,睡眠薬では効果がありません.どうしたらよいでしょうか? 認知症では半数以上に何らかの睡眠障害がみられる2).睡眠障害の存在は単に「夜寝てくれない」といった不眠の問題のみにとどまらず,生活リズム障害や意識変容などの過程を経て,夜間の徘徊や興奮などのBPSDと関連する.また,家族や介護者の介護負担が増大し,在宅介護を破綻させる一因となるため,対策を講じる必要がある. 「認知症疾患治療ガイドライン2010」3)では,認知症でみられるさまざまな症状への治療として,医療的アプローチ,ケアアプローチ,リハビリテーションを列挙し,実際に治療を行う場合には,「薬物療法を開始する前に,適切なケアやリハビリテーションの介入を考慮しなければならない」との記載がみられる.いずれの治療を行うにしても,まずは「寝ない」という症状の裏に潜む原因を考えることが大切である.①まずは「寝ない」原因を探る:不眠が起こる背景としては,身体的(physical),生理的(physiologic),心理的(psychological),精神医学的(psychiatric),薬物的(pharmacologic)の「5つのP」(表1)4)の分類に従って情報を収集し,不眠の原因となり得る要因を探ることが重要である.精神医学的要因のなかに認知症性疾患もあげられているが,ここではすべての症状にBPSDのレッテルを貼ってしまうのではなく,認知症を除いたほかの精神疾患や意識障害が合併していないか疑ってみることも必要になる.②「寝ない」パターンを検討する:「5つのP」で原因を考える場合には,併行して「寝ないのはどのような「寝ない」背景に応じたアプローチを行う