ブックタイトル認知症でお困りですか?かかりつけ医の疑問にお答えします
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認知症でお困りですか?かかりつけ医の疑問にお答えします
薬物療法99著者からのメッセージアルツハイマー型認知症の病態の中核は,脳内のアセチルコリン濃度の低下であり,コリンエステラーゼ阻害薬3種は,この病態に効果を発揮する.コリンエステラーゼ阻害薬3種は,化学物質としてはそれぞれかなり異なり,作用のメカニズムも大きく相違することから,臨床上での効果の違いも大きい.コリンエステラーゼ阻害薬を変更することにより,臨床上有益なことがある.コリンエステラーゼ阻害薬3種には,多様な剤形がある.コリンエステラーゼ阻害薬を変更する場合には,wash out期間は設けない.香川大学医学部精神神経医学講座 教授 中村 祐コリンエステラーゼ阻害薬3種をどう使いこなしたらよいか教えてください 認知症の多くの部分を占めるのは,アルツハイマー型認知症(AD)であり,その病態に関しては研究が進み,現在では多くの治療薬の開発がなされている.ADの脳内では,アセチルコリン(神経伝達物質の1つ)を分泌する神経細胞が障害を受けたり死んだりするために,脳内のアセチルコリンの減少が生じている.アセチルコリン分泌神経細胞の機能低下および死は,ADの病態では最下流に位置すると考えられており,症状の発現に最も密接に関係している.アセチルコリン分泌神経細胞は,前脳基底核(マイネルト神経核,中隔核,ブローカ対角帯)から大脳新皮質・海馬に投射し,脳全体の活性化に関与しており,ADでは初期からアセチルコリン分泌神経細胞に障害が生じ,アセチルコリンの異常がさまざまな症状と深く関連している.この病態に対して,アセチルコリンの分解を抑制するさまざまなコリンエステラーゼ阻害薬が開発された. 2010年までは,抗認知症薬として市販されている薬剤は,コリンエステラーゼ阻害薬であるドネペジル(アリセプトR,1999年11月薬価収載)のみであったが,2011年に新しく3つの抗認知症薬が製造承認を受けた.新しく製造承認された3剤は,コリンエステラーゼ阻害薬であるガランタミン(レミニールR),リバスチグミン(イクセロンRパッチ,リバスタッチRパッチ)(図1,表1)と,NMDA受容体拮抗薬のメマンチン(メマリーR)である.コリンエステラーゼ阻害薬同士の併用は認められていないが,コリンエステラーゼ阻害薬とメマンチンの併用は可能であり,治療の幅が大きくなった.アルツハイマー型認知症の病態とコリンエステラーゼ阻害薬