ブックタイトル認知症でお困りですか?かかりつけ医の疑問にお答えします
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認知症でお困りですか?かかりつけ医の疑問にお答えします
70ネペジルと併用しやすい.しかし甘かん草ぞうが含まれているので低カリウム血症には注意が必要である.AD治療薬であるメマンチン(メマリーR)は,興奮,妄想,徘徊などのBPSDに効果が期待でき,ドネペジルとの併用が可能である.メマンチンではふらつき,頭痛,傾眠などの副作用の出現に注意する. ドネペジルの直接的作用による興奮だけでなく,意欲低下が改善した結果,周囲の反発を誘発し,それに対する反応として興奮する場合がある.前述したようにADで最も多くみられるのは周囲からの不用意な対応に対する怒りである.さらに,病前から易怒性をもつ患者の性格的な要素も加味される.以上のことを考慮してから,ドネペジルの減量・中止を慎重に判断する(図2). ガランタミン(レミニールR),リバスチグミン(リバスタッチR,イクセロンRパッチ)は,ドネペジルと同様,コリンエステラーゼ阻害薬であり,興奮の出現が起こり得ることを経験している.ガランタミンの国内臨床試験(744例)では,激越(0.8%),攻撃性(0.7%),怒り(0.24%),落ち着きのなさ(0.4%),異常行動(0.3%)が認められた.ガランタミンはコリンエステラーゼ阻害作用に加え,ニコチン受容体へのAPL(allosteric potentiating ligand)作用によってドパミン,グルタミン酸,γ-アミノ酪酸(GABA)などの多様な神経伝達物質の放出促進作用をもつことが知られている4).GABAは抑制系薬剤として働くため,ガランタミンによる興奮や易怒性は少ないとされる. また,リバスチグミンはパッチ剤で,薬剤は皮膚から徐々に吸収され,急激な血中濃度の上昇や最高血中濃度も内服薬に比べて低いことから,副作用は少ないといわれている.リバスチグミンの場合,1ヵ月間隔で徐々に増量する.さらにパッチ剤をはがせば数時間で効果が半減するため,副作用もすみやかに軽減できる. 一方,NMDA受容体拮抗薬であるメマンチンは興奮症状に効果があるが,まれに激越,錯乱などの精神症状が現れることがある.ドネペジルの減量・中止という選択肢他剤への変更とその仕方図2 ドネペジルによる易怒性・興奮への対応ドネペジル投与後易怒性・興奮軽症の場合は観察または抑肝散併用ドネペジルの減量・メマチンを併用中止を検討介護者指導