ブックタイトル認知症でお困りですか?かかりつけ医の疑問にお答えします
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認知症でお困りですか?かかりつけ医の疑問にお答えします
診断・検査3括支援センターの職員から情報が入るようにしておくとよい.②メディカルスタッフから情報を得る:受付の職員は,「保険証や受診カードなどをもってくるのを忘れる,あるいはなくす」,「受診日を間違える」,「履物を間違える」,「お金の計算でもめる」などの情報を,看護師は「検査内容の説明をしても理解できない,覚えられない」,「絶食を指示しても受診日に忘れてくる」など,薬剤師は「薬の内服がきちんとできない」,「薬の服薬指導をしても忘れてしまう」などの,認知症が疑われる情報をそれぞれ有しており,これらの情報がフィードバックされる機構をつくることが早期発見への近道である.③診察室での気づきのポイント:医師が診察室での患者さんと会話中に,“振り向き動作(head turningsign)”,“取り繕い現象”に気づくことが重要である.“振り向き動作”は,患者さんが質問された際,家族を頼りにして,しばしば家族のほうを振り向く動作をすることである.家族がそばにいなくてもそのような動作をすることがある.“取り繕い現象”は,指摘されたことを上手に理由をつけて話すことである.このような“取り繕い現象”があるため,医師が転末を知らない話の場合,患者が話す内容が正しい内容か否かを判断できない.そこで,定期的な検査などをしておいて,次回の診察日にその検査について説明するという方法もある.検査結果説明の前に,「前回した検査のことを説明したいのですが」と切り出し,患者さんの様子をみるのである.また,かかりつけ医は患者さんの近況を知っていることがあるので,そのようなすでに知っている内容を世間話的に聞いてみるのもよい. ADの臨床的特徴は,物忘れで発症し,楽天的な雰囲気(あまり深刻な雰囲気がない),ゆっくりと症状が進行する,局所神経徴候を欠く,などである.物忘れの発症時期も明瞭ではなく,発症時期が特定しにくいのも特徴である.逆に,物忘れの発症時期が明確であればAD以外の認知症を考えるべきである.そしてゆっくりと進行し,急速に進行することはまれである.急に悪化した場合は本症自体が悪化したのではなく,別の要因が加わった可能性が高い.暑い夏の時期には熱中症や感染症により症状が悪化している場合が多い.高齢者はしばしば感染症でも発熱を欠き,とくに認知症があると適切に症状を訴えることができないため,周囲が見逃してしまう.加えて,局所神経徴候を欠いており,手足の麻痺や錐体外路徴候がなく,外見上全く異常がないようにみえる.以上を鑑み,ADが疑われたら,次のステップとして認知症のスクリーニング検査を行う. スクリーニング検査として改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R),mini-mental state examination(MMSE)などがある.しかし,多忙なかかりつけ医にとっては,両検査ともに時間的にも精神的にもかなりな負担となる.もっと簡単で短時間にできる検査が望まれる.そこで,「遅延再生」,「時間の見当識」,「視空間認知機能」の3 つのみを検査する実地医家向けの簡易スクリーニング法を開発した(図1).視空間認知機能の問題は,見本の立方体をみて書けるか否かを評価するものである.この方法だと3~5分以内に終わるため,医師の負担が著しく軽減し,検査に導入しやすい.ADの診断をするにはかかりつけ医のための認知症簡易スクリーニング法