ブックタイトル事例で解決!もう迷わない認知症診断

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事例で解決!もう迷わない認知症診断

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事例で解決!もう迷わない認知症診断

事例 24 病歴・問診とHDS-R の成績に乖離がみられるアルツハイマー型認知症 70 歳,女性問診の風景具合はどうですか「自分では具合の悪いことはない」物忘れをしませんか「たまにするがそんなにひどくない」(物忘れを気にしている様子はない)おいくつですか「70歳」(正答)生年月日はいつですか「昭和○○年□月△日」(正答)今は何年の何月ですか「平成33 年の……2月?」(2月は正答)今日は何日ですか「8日」(正答)何曜日ですか「月曜日」(正答)ここはどこですか「病院」病院名,わかりますか「○○病院」(誤答)昨日の夕食は何を食べましたか「ご飯と豚汁と……みかん」(夕方にケーキを食べたが夕食は摂っていない)今日の昼食は何を食べましたか「えーと,パンにジャム」(サラダを忘れている)問診での診断ポイント認知症に進展していない高齢者は自分が認知症になること,自分の物忘れに対して恐れをもっていることが少なくない.本事例でみられるように,自分の物忘れに対して深刻感を抱いていない点は認知症を考えさせるポイントの1つである.本事例では,年齢や生年月日,日時や曜日などは比較的正答可能であった.平成33年と答えていたが23年の言い違いとも解釈することが可能であり,病的なものか否かの判断はできない.問診で重要なことは,前日の夕食の内容が事実と全く相反することである.実際には夕方に食べたケーキでお腹一杯になり夕食を食べていないにもかかわらず,ご飯や豚汁などと答えている.でまかせ応答あるいは取り繕い的な回答と解釈できることから,エピソード記憶に重大な支障がみられている可能性が高い.123