ブックタイトル事例で解決!もう迷わない認知症診断

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事例で解決!もう迷わない認知症診断

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事例で解決!もう迷わない認知症診断

事例 9 行動障害(放尿)の目立つアルツハイマー型認知症 87 歳,女性病歴・問診からみた診断と方針病歴から物忘れと行動障害,日常生活上での多大な支障は明らかであり,患者さんの問診でも認知症はかなり進んでいることがわかる.高度に進展したアルツハイマー型認知症の可能性が高い.このような事例では,かかりつけ医・非専門医の先生方の医院・クリニックでの臨床診断は容易であり,あえて認知症専門医療機関に紹介する必要はない.後日,病診連携などを利用して頭部CT あるいはMRI を施行するだけでよい.その後の臨床経過高度アルツハイマー型認知症と診断し,家族にその旨を説明する.息子さんは,「以前からうそをつくことが結構多かったので,病気なのか否か判断できなかった」と述べていた.服薬管理を家族が行うことを前提に抗認知症薬の処方を開始し,外来でフォローしていく.かかりつけ医・非専門医の先生方からの質問Q1 「 MRIを基幹病院に依頼すると2,3 ヵ月先の予約になってしまいます.どうしたらよいでしょうか?」A1  日常臨床では,無理にMRI検査を施行する必要はない.頭蓋内の器質的疾患を除外する目的だけならばCT のみで十分である.CT ならば1 週間以内に撮影できることが多いので,画像検査機器を持たないかかりつけ医・非専門医の先生方も認知症診療に踏み込むことが容易ではなかろうか.Q2 「 MR(I あるいはCT)の結果では脳萎縮は年齢相応でしょうか?」A2  家族や介護スタッフは,脳画像検査を施行すると認知症の有無を判断できる,あるいは年齢相応の脳萎縮という固定観念にとらわれていることが非常に多い.家族や介護スタッフの誤った考えを訂正しておくことがその後の適切な介護に繋がる.以下のように説明する.「 人は歳をとるとほとんどの人で脳に萎縮がみられてきます.しかし,その脳の萎縮を数字で表現する方法はないのです.たとえば,ある患者さんの脳の状態をみたとき,それが同年齢の方に比べて脳萎縮が進んでいるのかそうでないのかを正確に測る物差しはありません」コラム47