ブックタイトル事例で解決!もう迷わない認知症診断

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事例で解決!もう迷わない認知症診断

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事例で解決!もう迷わない認知症診断

かかりつけ医・非専門医の段階で診断が可能な事例補助診断としての神経心理検査HDS-R : 総得点は6点であった(表9-2,20/21点が認知症/非認知症の境界).臨床像から予想されたように神経心理検査の成績は不良である.本事例のように臨床像から明らかに認知症に進展していることが明白なときには,HDS-Rなどの神経心理検査を必ずしも施行する必要はない.2011年に改訂されたアルツハイマー型認知症の診断基準でも病歴と診察で認知症と診断できる場合,あえて神経心理検査を施行する必要はないとの取り決めに変更されている.表9-2 HDS-R 87 歳,女性課 題正答数/ 配点年 齢0/1日時の認識0/4場所の認識2/23 単語の復唱2/3計 算1/2数字の逆唱1/23 単語の遅延再生0/65 物品名の記憶0/5単語の列挙0/5合 計 6/30「80 になるかな」「ここね,病院」呼称はスムーズだが「覚えていない」野菜名を4個しか想起できず問診での診断ポイント問診では,自分の年齢や生年月日すら正しく答えることができないことから,病因は別にしても認知症が高度なことは明らかである.本事例のように自分の年齢や生年月日を答えることができない場合,その後に日時や前日の夕飯の内容などを尋ねても答えられないことがほとんどなので,かかりつけ医・非専門医の先生方の忙しい外来のなかで患者さんの問診に時間をかけるのは避けたほうがよい.問診よりも病態の説明や今後の方針に診療時間をかけるほうが有益である.答えることができない質問が続くと患者さんの側でもイライラして怒り出したり,落ち込むなどの好ましくない反応が出現することも少なくないので,患者さんが問診でつまずくことが多いときには適当な範囲で問診を切り上げるほうがよい.46