ブックタイトル事例で解決!もう迷わない認知症診断

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事例で解決!もう迷わない認知症診断

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事例で解決!もう迷わない認知症診断

附 録改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)は,かかりつけ医・非専門医の先生方が最も利用している神経心理検査の1つであろう(表1).ここでは著者の施設におけるHDS-R の実際の手順と結果を解釈する際の注意点とを解説する.表2は,HDS-R施行の手順を示したものである.この手順を参考にして頂きながら,施設ごとに決まった手順で評価していくのがよいと思われる.手順に多少の違いはあっても,施設内で統一した流れで検査を行うことで,経時的な変化を評価する際に高い信頼性を得ることが可能になる.HDS-Rは,総得点30点で20点以下は認知症が疑われるが,総得点の多寡のみで認知症の有無を判断してはならない.軽度認知症の段階では21 点以上を獲得する患者さんも少なくない.総得点が10点台前半ならば認知症の可能性が高いが,認知症に進展していない高齢者でも18点前後の得点に位置する可能性は十分考えられる.認知症が疑われるが正常範囲内あるいは20 点をやや下回る患者さんの場合,総得点よりも個々の下位項目を分析し判断を下すようにしたい.アルツハイマー型認知症の初期では,記憶と日時の見当識で支障を認めることが多い.その点からHDS-R の「日時の認識」と「3単語の遅延再生」,「5 物品名の記憶」,「単語の列挙」に注目するとアルツハイマー型認知症の有無を判断する手助けになることが多い(図1).時計描画テスト白紙上に時計(指定した時刻の記入を含む)を患者さんに描かせ,その結果を評価する神経心理検査である.短時間で施行することができ,患者さんの心理的負担の少ない検査といえる.HDS-Rは,いかにも検査をされているとの気持ちを患者さんがもちやすく,患者さんによっては嫌がる,拒否する,怒り出す場合があるが,時計描画テストは患者さんがゲーム感覚で施行することができる検査かもしれない.時計描画テストには,多くのバリエーションがみられ,白紙の紙に時刻を含めた時計全体を描画させる方法やあらかじめ外枠の円を描いた白紙に文字盤や時刻を記入する方法があり,また針で示す時刻も1 時45 分あるいは11 時10 分,4 時45 分など多彩である.時計描画テストの実際ここでは,著者の施設で使用している時計描画テストCLOX1)についての手順と注意点を解説する.CLOXは2つの課題から構成される.ステップ1は自発描画課題CLOX1,ステップ2附 録188