みんなはどう診るこの症状 page 7/10
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みんなはどう診るこの症状
73症状9 皮疹・咽頭痛ルス陰性ならHIV を考慮したほうがよいでしょう.同様に伝染性単核球症に類似する症状を呈する疾患として,サイトメガロウイルス感染症があげられます.この病気は咽頭炎をきたすことはまれとされており,咽頭炎が強い場合はむしろ優先順位を下げてよいと思われます. 皮膚科の先生に質問です.皮疹をみた場合,どのように診断すればよいでしょうか? 皮膚科医の診断プロセスおよび非皮膚科医に伝えたい診断プロセスを教えてください. 皮疹を診た場合のプロセスですが,まず「①皮疹をよく観察すること」が重要です.どのような性状(紅斑,丘疹,紫斑,水疱など)の皮疹がどの範囲に分布しているのかをみます.たとえば,淡紅色斑なのか,浸潤性の紅斑なのかで鑑別にあげる診断が異なってきます.淡紅色斑なら今回の思考過程であげた伝染性単核球症やウイルス性発疹などが鑑別になりますが,下肢に後者があるならベーチェット病に伴う結節性紅斑という可能性もあります.ただ,皮疹の性状が全く違うため,伝染性単核球症とベーチェット病が同時に鑑別にあがることはありません. 次に「②自覚症状,経過,薬剤歴などの問診」を行います.どの科でもそうだとは思いますが,経過の問診は皮膚科でも重要です.皮疹をみればすぐに診断ができるわけでなく,どのように経過してきたか,今までの治療歴はどうかなどの詳細な問診をしっかりとることが診断につながります. 上記の①,②を踏まえて,臨床推論的にいえば「パターン認識(疾患のパターンを覚えて,それに合うものを探していく方法)」で診断を行います.非皮膚科医の方が皮膚科を敬遠する理由の1 つとして,皮疹の性状の表現が難解ということがあると聞きますが,皮疹の性状を理解することは診断に結びつけるために必要な過程といえます.非皮膚科医の方が皮膚を診るとするなら,①,②の過程をしっかり踏まえたうえで,いくつかの疾患パターンを覚えておくというのがよいのではないかと思います.たとえばプライマリ・ケアの先生でしたら,帯状疱疹や蜂窩織炎などのコモンな疾患のパターンを認識しておくのが大事になってくると思います. 「皮疹+咽頭痛」または「皮疹」または「咽頭痛」を主訴に来院した方で,各専門科の立場から他科の先生方に「ここは気をつけて診てほしい」という点があれば是非教えてください. 咽頭炎のアプローチを徹底してもらいたいです.不要な抗菌薬を投与されているケースをよくみかけます.細菌を考えるなら,「何を考え,どう管理していくのか」─これが内科医としての基本になります.このあたりの教育は一般内科・総合診療科の先生にお願いしますね. 咽頭炎,皮疹を呈するリウマチ性疾患として,成人スティル病があげられますが,総合皮膚総合膠原