ブックタイトル国際保健医療のキャリアナビ

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概要

国際保健医療のキャリアナビ

182 3 章 国際保健医療で働くグローバル化が進み,2015 年にはミレニアム開発目標(MDGs)から持続可能な開発目標(SDGs)へとシフトし,健康あるいは保健医療課題は地球規模課題の1 つとして位置付けられることが認識されるようになりました.さらに,ヒトの健康を保つために,ヒトだけではなく,人獣共通感染症,地球環境の変動,災害や環境汚染と食品の安全性を含む事象を包括的にワンヘルスという概念でとらえるようにもなってきています.健康の社会的決定要因や地球温暖化・気候変動を含めた環境の変化がより深刻になっていることを考慮することなしに,人類の健康について考えることはできない状況になっていることは事実でしょう.国際保健医療の仕事さて,そのような時代にあって,“国際保健医療の仕事”に従事することは,どういうことを意味するのでしょうか.まず,どのような仕事があるのかを外観してみたいと思います.例えば,どこで(ここでは,日本国内か海外か),誰を対象とした仕事をするのかといった観点からは,表3-1 のように4 つに分類できます.当然,表3-1 ①~④には明確な境界があるわけではなく,オーバーラップしている部分もありますが,従来“国際保健医療の仕事”というと,主として④「海外にいる外国人に対する保健医療」,その中でも国際保健医療協力の仕事をイメージしたのではないでしょうか.この国際保健医療協力の仕事に従事する場合でも,通常はいずれかの組織や組織が実施するプロジェクトなどに属して業務にあたることになるかと思います.どういった組織に所属して仕事をするのかといった観点から,国際保健医療協力活動を分類してみると,表3-2 のように分類できます.またこの分類は,国際保健医療協力の財政基盤・資金調達源別の分類ともいえます.最近では表3-2 のような4 分類になじまない機能をもつ組織もあるかと思います.2000 年代に入り,日本人外国人日本国内① 日本にいる日本人に対する保健医療新興再興感染症(新型インフルエンザ,エボラ出血熱,デング熱,MERS,輸入マラリア,結核)対策,海外から日本には常在しない微生物に感染して帰国した人たちへの対応 など職場 検疫所,海外渡航前の予防接種・渡航クリニック など② 日本にいる外国人に対する保健医療在日外国人の保健医療,メディカルツーリズム,日本に旅行者として来日した外国人への保健医療など.在留外国人は223 万2,189 人で日本人口の1.76%,海外からの旅行者は1,974 万人(2015 年)職場 在日外国人支援に携わるNGO/NPO,国際交流協会,渡航クリニック,一般病院・診療所 など海  外③ 海外にいる日本人に対する保健医療渡航・旅行医学,企業などから海外の事務所に長期・短期に出張する人たちの健康管理 など.日本人海外旅行者は1,621 万人(2015 年),在留邦人は131万7,078 人(2015 年)職場 企業(産業医,産業保健師,旅行会社・保険会社のエスコートナースなど),在外日本大使館(医務官) など④ 海外にいる外国人に対する保健医療災害等に対する緊急援助,開発協力/国際保健医療協力 など.開発途上国の人口は約60 億人職場 国際機関,JICA(国際協力機構),外務省 など〈資料〉丸井英二,森口育子,李節子:国際看護・国際保健.p.11,弘文堂,2012 年.を参考に筆者作成.表3-1 国際保健医療の場と対象