ブックタイトル国際保健医療のキャリアナビ

概要

国際保健医療のキャリアナビ

14 1 章 私のキャリアパス●●アフリカでの診療という夢「世界はこのような悲劇を放置しているんだ……！」中学3 年のとき，アフリカの飢饉の映像を見て衝撃を受けたことを今でも鮮明に覚えています．テレビの向こう側では，信じられないほど痩せ衰えた少年が，生気のない目でこちらを見ています．それを見ている私は，明日の命のことなどまったく気にかけず平穏に生きている──こんな不条理を知らずに生きてきた自分を恥じるとともに，それまで私にとって素晴らしく美しいと信じてきた“世界”が冷酷で陰惨なものとして迫ってきました．「何かしなければ……」と慟哭が胸を突き，まさに，アフリカで診療することが私にとって人生のミッションになった瞬間でした．アフリカの映像を見て，単純に医師となってアフリカの力になりたいという一心で東北大学医学部に進学しました．学生時代は，硬式テニス部で学生選手権出場を目指す一方，高校時代に触発された『遠野物語』（柳田国男）の影響から，地方の伝承文化を訪ねて野宿しながらオートバイで日本一周するなど，旅を通して多くの人々と出会い，そのつながり医学系JICAアフリカからグローバルへ―命を大切にする社会の創造―杉下 智彦Tomohiko Sugishita東京女子医科大学 国際環境・熱帯医学講座 教授聖路加国際病院の外科レジデントとして全人的医療を実践する． 24歳アメリカ，ハーバード大学公衆衛生大学院で公衆衛生学を，イギリス，ロンドン大学アジア・アフリカ研究学院で医療人類学を学ぶ．35歳アフリカ救済チャリティコンサート20歳 「ライヴエイド」に心を動かされる．青年海外協力隊員としてマラウイ，国立ゾンバ中央病院に外科医長として赴任する． 30歳JICA 長期派遣専門家としてタンザニアに赴任し，その後，国際協力専門員となる． 38歳アフリカの飢饉の映像を見て医師と 15歳なってアフリカに行く決意をする．社会起業大学を卒業し，ソーシャルビジネスグランプリで大賞を受賞． 49歳