ブックタイトル「はたらく」を支える!職場×双極性障害

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概要

「はたらく」を支える!職場×双極性障害

(総務省統計局 国勢調査 2000 年)であるとすれば,双極性Ⅱ型障害をもつ労働者数は約50 万7 千人にも及ぶと推定されます(図2-1-2).職場でよく観察される事例としては,うつ病相のときは「勤怠の悪化」「集中力,注意力の低下のため成果物の質が低下したり,期限に間に合わなかったりする」「口数が減り,応答が鈍い」「集団との交流を回避するようになる」などがみられ,一方で,躁病相のときは,「多弁で大声となる」「一見,元気で過活動だが,成果物の質が低い」「落ち着きがなく離席が多い」「口論や対人トラブルが多くなる」などがみられます.次に,双極性障害の患者にありがちな事例をいくつか紹介します.事 例 紹 介 ① Aさん(30 代の男性,SE 職)いつもは律儀で真面目で,勤務に支障をきたすことはなかったが,異動後数ヵ月してから,急に多弁で怒りっぽくなり,同じ話を繰り返し熱弁するようになり(内容は支離滅裂で周囲は理解不能),また,夜中にメールで複数の同僚に誹謗・中傷を繰り返し,社内で問題となった. Bさん(40 代の男性,営業職)管理者への昇進をきっかけに仕事のプレッシャーや過労によりうつ状態となり,保健師に勧められ近医精神科へ通院開始し,同時に休職.うつ病の診断で加療していたが,数週間を過ぎた頃双極性障害の患者にありがちな事例図2?1?2  世界精神保健日本調査(WMHJ)による気分障害の12 ヵ月有病率[文献3)より引用]大うつ病性障害気分変調性障害双極性障害Ⅱ型2.521.510.50(%) 2.42.10.40.30.40.1労働者はn=622 名,一般地域住民はn=4,134 名が調査対象.診断基準はDSM-Ⅳによる.労働者一般地域住民1 職場での対応23