ブックタイトル原子力災害の公衆衛生
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原子力災害の公衆衛生
A274 国の対応自然災害および住民の被ばくへの対応 東日本大震災および福島第一原発の事故発生直後に,住民・国民の健康確保の観点から国が行った対応のうち,大規模な自然災害時における対応と,原発事故特有の問題である住民などの被ばく量を軽減するための対応の主なものは以下の通りである.1 大規模自然災害への対応 震災発災直後の2011 年3 月11 日14 時50 分に,官邸対策室が設置され,関係省庁の危機管理担当者(局長級職員)から構成される緊急参集チームが招集されると同時に,厚生労働省災害対策本部が設置された.15 時4 分には全国の災害派遣医療チームDisasterMedical Assistance Team(DMAT)に対し厚生労働省から待機指示が出された(福島県への出動指示は16 時5 分).15 時14 分には政府の緊急災害対策本部が設置され,災害救助法に基づいて被災者の救出,避難所の設置,炊き出し,飲料水の確保,仮設住宅の設置,衣類,寝具などの提供を国は関係自治体と協力して実施した.2 福島第一原発事故への固有の対応 福島第一原発は3 月11 日15 時37 分,全交流電源が喪失し,15 時42 分には原子力災害対策特別措置法10 条に基づき,さらに16 時45 分には同法15 条に基づき東京電力から 本項では,東京電力福島第一原子力発電所(以下,福島第一原発)の事故に際して,福島県民および国民の健康を確保するという観点から国が行った対応を概観するとともに,今後の課題などについて述べる. 福島第一原発事故の際に,国(厚生労働省)が行った初期対応は,①発災直後から行われた,甚大な自然災害への対応として実施されたもの,および住民などの事故による被ばくをできるだけ軽減するために行われたもの,②住民の中長期的な健康管理や放射線・放射能に対する不安に対応するために行われたもの,に大別される.②については,今後も引き続き実施すべきものであるが,本項では,そのうち初期に行われた対応に限定して述べる.