ブックタイトル医動物学 改訂7版

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概要

医動物学 改訂7版

84 線 虫 類【和名・種名】 東洋毛様線虫       Trichostrongylus orientalis 【疾病名】 東洋毛様線虫症 【分 布】 東洋,イラン.日本では東北・北陸地方に比較的多かったが,最近は著明に減少した. 【形 態】1)成虫(図175) 雌:体長4.9 ~ 6.7mm,体幅0.08mm 雄:体長3.8 ~ 4.8mm,体幅0.075mm 成虫は肉眼でやっと認められるくらい小さく細い.口腔はない.雄の尾端には交接?がある.雌の子宮内には十数個の虫卵が並んでいる. 2)虫卵(図174,468-E)  無色で一見鉤虫卵に似るが次の点で異なる.①大きさが,長径75 ~ 91μm,短径39 ~ 47μm と著しく大きい.②しばしば一方がやや尖り船型を示す.③新鮮便の中ですでに16 ~ 32 個くらいに細胞分裂が進んでいる. 感染幼虫(図176)  体長781μm,最大幅21.5μm(平均).鉤虫の感染幼虫に似るが次の点で異なる.①腸管細胞が各側8 個明瞭.②固有尾端は鈍円. 【生活史と感染経路】 便に混じて排出された虫卵は外界で感染幼虫となり,ヒトに経口感染する.体内移行は行わず,小腸内で2 ~ 4 週間で成虫となる. 【症 状】 多数寄生すると腹痛,下痢. 【診 断】 検便により虫卵を見い出す.鉤虫と同様飽和食塩水浮遊法および糞便培養法を行う. 【治 療】 ピランテル パモエイト(鉤虫に同じ).図174.東洋毛様線虫卵B ACDEFGHIJK0.5mmA BCDEFLMNOQPMRS♀♂esegiat東洋毛様線虫毛様線虫は字のごとく毛のように細くて小さい.この中で日本でヒトに寄生しているのは東洋毛様線虫である.虫卵は鉤虫と鑑別上大切である.生活史も鉤虫に似ている.★41nematoda図175. 東洋毛様線虫成虫A. 神経輪,B. 排泄孔,C.食道,D.食道腺,E.頸腺,F.腸,G.精巣,H.貯精?,I.射精管およびセメント腺,J.交接刺,K.交接?,L.前卵巣の前端,M.後卵巣および後卵巣の前端,N. 受精?,O. 前子宮,P.後子宮,Q.陰門,R.終腸,S.肛門( 横川ら,1974)図176. 東洋毛様線虫の感染幼虫es.食道,e.排泄孔,i. 腸管細胞( 各側8個),a.肛門,t.尾端(鈍円),g.生殖器原基