免疫学 Update

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2Ⅰ.自然免疫研究の展開● 緒 言 自然免疫系は,病原体の感染により惹起される炎症反応や,その後に誘導される獲得免疫系の活性化に重要な役割を果たしている生体防御機構である.この自然免疫応答の起点となるの....

2Ⅰ.自然免疫研究の展開● 緒 言 自然免疫系は,病原体の感染により惹起される炎症反応や,その後に誘導される獲得免疫系の活性化に重要な役割を果たしている生体防御機構である.この自然免疫応答の起点となるのが,病原体固有の分子パターン〔細菌のリポ多糖(LPS)やウイルス核酸など〕を認識し,下流シグナル伝達経路を活性化するパターン認識受容体(PRR)である.本章では,代表的なPRR であるToll 様受容体(TLR),インフラマソーム,C 型レクチン受容体(CLR)について最近の知見をふまえて解説する.1-1 パターン認識受容体(PRR) PRR は,病原体固有に存在し,その病原体の生存に必須の分子パターンであるPAMP(pathogenassociatedmolecular pattern)を直接あるいは間接的に認識し,生体防御に必要な応答を惹起する受容体である.PRR は大きく3 つに分類される.マンノース結合レクチン(MBL)や補体といった分泌型PRR,スカベンジャー受容体といった病原体の取り込みに関与するPRR,そしてTLR ファミリーに代表されるシグナル伝達経路を活性化するPRRである1).TLR の発見後,細胞質内でウイルスを認識し抗ウイルス応答を惹起するRIG-I 様受容体(RLR),同じく細胞内で細菌やウイルスを認識し炎症反応を惹起するNOD 様受容体(NLR),細菌や真菌成分を認識し炎症反応を惹起する膜型受容体CLR がシグナル伝達経路を活性化するPRRとして同定されている2).1-2 Toll様受容体(TLR)1 TLR による病原体認識 TLR は,真菌に対する生体防御に必須の膜型受容体としてショウジョウバエで発見されたToll のヒト,マウスホモログであり,それぞれ10 種類,12 種類が存在している2).ロイシンに富んだ病原体認識にかかわる細胞外ロイシンリッチリピート(LRR)領域と,IL-1 受容体の細胞内領域と相同性を示すTIR ドメインからなる.遺伝子欠損マウスを用いた研究により,それぞれのTLR は異な1  自然免疫系の活性化には,Toll 様受容体(TLR),NOD 様受容体(NLR),C 型レクチン様受容体(CLR)といったパターン認識受容体(PRR)による病原体由来分子の認識が必須である.これらの受容体は細菌やウイルス由来成分に応答してシグナル伝達経路を活性化し,炎症性サイトカインやⅠ型インターフェロンの産生を誘導する.また,PRRは宿主由来の内在性リガンドも認識し,炎症性疾患などの発症にも関与することも明らかになってきた.? Toll 様受容体(TLR)  ? インフラマソームK ey W ordsS u m m a r y國吉佳奈子  鍛代悠一  審良静男  河合太郎パターン認識受容体(PRR)の展開