ブックタイトルわかる!身につく!病原体・感染・免疫 改訂3版

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概要

わかる!身につく!病原体・感染・免疫 改訂3版

232 細菌感染症ラス様陰影)が見られることが多い(図5 -40).予後は一般に良好である.検査・診断 患者検体からの培養による菌の検出,免疫血清学的検査,遺伝子検査などがある. ? 分離培養:喀痰・口腔咽頭ぬぐい液などを検体に,PPLO 培地(特殊な組成をもつマイコプラズマ用培地)を用いて嫌気培養する.コロニーの形成には10日?2週間を必要とし,拡大鏡や顕微鏡(低倍率)で観察できる.コロニーは,目玉焼きのような形をしており(図5 -41),ディーンズDienes 法で染色すると鑑別しやすくなる(青く染まる:口絵 図16). ? 免疫血清学的検査:間接血球凝集反応(IHA),補体結合反応(CF)などでの特異抗体の検出と,寒かんれい冷赤せっけっきゅうぎょうしゅうはんのう血球凝集反応cold hemagglutination(CHA)が行われている.CHA はヒト血清中に存在する赤血球自己抗体の一つである寒冷凝集素cold agglutininを測定する検査で,マイコプラズマ肺炎では陽性となる場合が多く,診断補助に使われる(特異的反応ではない).治療・予防 マクロライド系抗菌薬が主に用いられるが,耐性株が増えている.テトラサイクリン系やニューキノロン系抗菌薬も使われる.細胞壁をもたず,ベプチドグリカンがないのでβ ラクタム系抗菌薬は効果がない.●M リケッチア リケッチアrickettsia は,一般の細菌よりも小さく,人工培地では発育せず,生きた宿主細胞の中でしか増殖できない(偏性細胞内寄生体).しかし,細胞壁やリボソーム(蛋白合成系)などが存在し,DNA とRNA の両方の核酸をもち,抗菌薬に感受性を示す.また,生きた細胞の中では2分裂で増殖する(表5 -17).科属特 徴医学上重要な細菌保有動物媒介動物疾患などリケッチアリケッチア分 類 グラム陰性球桿菌(ギムザ染色の方が染まりやすい)大きさ 0 .3~0 .6 ×0 .8~2 .0μm形 鞭毛(-)・芽胞(-)・莢膜(-)性 質 偏性細胞内寄生菌発疹チフスリケッチアR. prowazekiiヒトコロモジラミ発疹チフス群発疹チフス発疹熱リケッチアR. typhiネズミネズミノミ発疹熱ロッキー山紅斑熱リケッチアR. rickettsiiマダニマダニ紅斑熱群ロッキー山紅斑熱日本紅斑熱リケッチアR. japonicaマダニマダニ日本紅斑熱オリエンチアツツガムシ病リケッチアO. tsutsugamushiツツガムシ(ダニ)ツツガムシツツガムシ病群ツツガムシ病エールリキアエールリキアE. chaffeensis 不 明不 明エールリキア症ネオリケッチア腺熱リケッチアN. sennetsu不 明不 明腺熱(日向熱,鏡熱など)図5 -41 肺炎マイコプラズマのコロニー固形培地上のコロニーは直径1 mm 以下なので肉眼での観察は難しく,低倍率(40 ×)の顕微鏡で観察する.コロニーは寒天内に食い込んで発育し,その形態は特徴的で,「目玉焼き状」と形容される.(和田俊雄 氏 提供)