ブックタイトルわかる!身につく!病原体・感染・免疫 改訂3版

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概要

わかる!身につく!病原体・感染・免疫 改訂3版

線虫類 3418形 態 体長1cm,頭部に大きな口と歯(ズビニ鉤虫は歯しが牙,アメリカ鉤虫は歯しばん板)をもっており,これを使ってヒトの小腸粘膜にかみついて吸血する.雄は尾端に独特の交こ うせつのう接嚢をもつ.虫卵の大きさは50?60μm,楕円形で卵殻は薄く無色透明.新鮮便中では分割中(4?8細胞期)の卵細胞が見られる(図8 -6写真).生活史・感染経路・症状 成虫は小腸に寄生する.糞便とともに排出された虫卵は,土壌で適当な環境条件になると孵ふ化かしラブジチス(R)型幼虫となる.さらに発育すると被ひ しょう鞘したフィラリア(F)型幼虫となり感染力をもつ.感染幼虫は経口的(ズビニ鉤虫)あるいは経皮的(アメリカ鉤虫)に感染する.経口感染した幼虫はいったん小腸粘膜に侵入し,脱皮後,小腸腔内に戻り成虫となる.経皮感染した幼虫は血流に入り,肺を通過し気管,咽頭,食道を経て小腸で成虫になる.経口感染した幼虫の一部は小腸粘膜から血流に入り,経皮感染と同様の発育をすることもある.成虫が多数寄生すると貧血症状が見られる.虫の寿命は5?6年である(図8 -6).4) 鞭べん 虫ちゅう Trichuris trichiura 世界に広く分布し,特に高温多湿の地域に多く見られる.ヒト固有の寄生虫である.形 態 体長3 ?5 cm,体の前半部はきわめて細くムチ状であるためwhip worm*とよばれる.後半部は太い.雄の尾端は腹側に曲がり,その先端に交接刺をもつ.虫卵は40 ?50μm,レモン形で両端に無色透明の栓がある.実物写真B経口感染不快感・掻痒感産卵すると,肛門周囲がむずがゆく,無意識に掻く.その指先から再び自分が感染する感染性幼虫包蔵卵6~7時間受精卵ほこり小腸で孵化し,盲腸で成虫になる成虫寄生による障害はほとんどない.まれに虫垂に侵入し,炎症を起こす実物写真A(下はマッチ棒の先端)* whipは「ムチ」,wormは「虫」の意(英語).図8 -5 蟯虫の生活史と体内移行経路