ブックタイトルわかる!身につく!病原体・感染・免疫 改訂3版

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概要

わかる!身につく!病原体・感染・免疫 改訂3版

340 寄生虫感染症および衛生動物2)蟯ぎょう 虫ちゅう Enterobius vermicularis 世界に広く分布している.国内でも幼稚園,小学校で最近まで検査が実施されていた寄生虫であるが,学校保健安全法施行規則の一部改正により,2015年度をもって廃止となった.形 態 体長1 cm(雌),雄はその半分程度の大きさしかない.頭部にふくらんだ膨ぼ うだいぶ大部があり,食道下部が球状にふくれているのが特徴である(図8 -5 写真A).虫卵は45 ?50μm の大きさで,無色透明,卵殻は厚く,形態は柿の種状である(図8 -5 写真B).生活史・感染経路・症状 成虫は盲もうちょう腸に寄生する.雌成虫は卵が成熟すると大腸を下降し,ヒトが眠っている間に肛門周囲の皮膚上に産卵する.産卵後,数時間で発育し,感染可能な幼虫包蔵卵となる.これが手指などを介して経口感染し,小腸で孵ふ化かし,盲腸で成虫となる(図8 -5).このように特異的な感染経路のため,再感染や家族内,集団感染が多い.3) 鉤こうちゅうるい虫類 hook worm 熱帯, 亜熱帯, 温帯に分布している. ヒトを固有宿主とするのはズビニ鉤虫Ancylostomaduodenaleとアメリカ鉤虫Necator americanusである.土 壌実物写真B受精卵感染性幼虫包蔵卵成虫はおとなしい.寄生数が増えると,腹痛,激しい場合は腸閉塞を起こすレフレル症候群幼虫が肺に侵入すると,肺炎症状が一過性に現れる胃内迷入本来の寄生場所でないところに入ると経口感染 激しい痛みが起こる実物写真A成 虫分割卵図8 -4 ヒト回虫の生活史と体内移行経路