ブックタイトル戸田新細菌学 改訂34版
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戸田新細菌学 改訂34版
?深在性真菌症の原因菌749Ⅶるであろう.本菌のゲノムの塩基配列は解読されており,遺伝子情報の取得にはウェブサイト(http://www?sequence.stanford.edu/group/candida/)が利用できる.近年,rRNA の塩基配列の比較やそのほかの遺伝的解析手段を用いることにより,従来C. albicans の中に含まれていた一群の菌が新しい菌種にグループ分けされ,C. dubliniensisと命名された.本菌の細胞生理学的な性状はC. albicans に酷似しており,正確な同定は遺伝子レベルで行われる.HIV 陽性者の口腔から分離されることが多い.病原性はC. albicansに若干劣る.【形態と培養性状】 カンジダ属菌の中には,栄養や温度などの環境条件により,酵母形または菌糸形のいずれかの発育形態を示すものがあり(二形性dimorphism),C. albicans はその特徴が顕著である.C. albicansの酵母形細胞は3~5μm の卵円形ないしは球形で,出芽により増殖する.また,一見,菌糸状の仮性(偽)菌糸を形成することがある(p. 724 図Ⅵ?3,p. 728 Ⅵ?7 参照).感染組織内や培養条件によっては,一定の幅を持ち,くびれのない真性菌糸を形成する.一般に糖を多く含む培地では酵母形で増殖する.サブロー・ブドウ糖寒天培地Sabouraudglucose agar 上では37℃,48 時間培養で直径3~5 mm のクリーム状円形コロニーを形成するが,株によっては円形に混じってR(rough)型や星型などの形状のコロニーを形成するものもある.発酵臭がある.コーンミール寒天培地上で25℃,数日間培養すると,仮性菌糸の先端に厚膜胞子chlamydospore(図Ⅶ?1?1,p. 728 図Ⅵ?7 参照)と呼ばれる厚い細胞壁を持つ大型の細胞を形成する.酵母細胞を10%血清中で37℃,2~3 時間保温すると,二形性転換が誘発され,発芽管germ tube を形成する(図Ⅶ?1?2,p. 727 図Ⅵ?6,p. 728 図Ⅵ?7 参照).厚膜胞子形成および発芽管誘導はC.albicans とC. dubliniensis に特徴的であるので,ほかのカンジダ属菌と形態的に区別するうえで重要である. 臨床検査室ではCHROMagarTM Candida(クロモアガー)を使ったカンジダ属菌の識別も行われている(図Ⅶ?1?3).図Ⅶ?1?1.Candida albicans円形の大型細胞は厚膜胞子.(神中 寛 博士 提供)図Ⅶ?1?2.C. albicans の発芽管形成(干渉位相差顕微鏡)(徳永純一 博士 提供)図Ⅶ?1?3. クロモアガー寒天平板上での発育コロニー緑色はC. albicans,ピンク色はC. glabrata,白色はC.parapsilosis である.(大島朋子 博士 提供)