ブックタイトル戸田新細菌学 改訂34版

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戸田新細菌学 改訂34版

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戸田新細菌学 改訂34版

970 微生物学で用いる手技・手法?B.蛍光顕微鏡による観察 細菌学的検査において蛍光顕微鏡を用いるのは,主に蛍光色素fluorochrome で菌体を染色する場合(抗酸菌染色など)と,蛍光物質で標識した特異抗体を用いる蛍光抗体法の2 つである.さらに最近では,菌体に含まれる核酸をハイブリダイゼーション法から直接観察する方法や,細胞膜の傷害や代謝活性を特殊な蛍光色素による染色から観察する方法も開発されてきた.1.抗酸菌の蛍光染色auramine fluorochrome acid?fast stain ①  検体を塗抹,乾燥,火炎固定する. ②  オーラミン染色液[S?22]を標本に満載し,15 分間染色し,水洗する. ③  0.5%塩酸アルコール[S?23]で2 分間脱色し,水洗する. ④  過マンガン酸カリウム溶液[S?24]を2 分間満載する. ⑤  水洗し,乾燥,蛍光顕微鏡(波長360 nm 前   異染小体は黒褐色に,菌体は黄色に染色される(図??2?9). ◆ ナイセル液Neisser solution[S?17]:    A 液:メチレン青0.1 g を95%エタノール2mL に溶解したのち,氷酢酸5 mL と蒸留水95 mL を加えた溶液.    B 液:クリスタル紫0.1 g を95%エタノール1 mL に溶解したのち,蒸留水30 mL を加えた溶液.    使用時にA 液2 容とB 液1 容を混和する. ◆  クリソイジン液chrysoidine soluti on[S?18]:クリソイジン0.3 g を蒸留水100 mL に加温溶解して濾過する.   トルイジンブルーとマラカイト緑を用いるアルベルト法Albert method では,異染小体は濃青色,菌体は淡緑色に染まる.ⅴ)ヒメネス染色 Gimenez stain   ヒメネス染色は,当初リケッチアの染色法として報告されたが,現在ではグラム染色や抗酸菌染色でも染色されないレジオネラの染色法として利用されている.  ①  脱脂したきれいなスライドグラスに検体を塗抹し,自然乾燥させ,火炎固定する.メタノールを30 秒~1 分間満載するメタノール固定法も勧められる.  ②  染色:リン酸緩衝石炭酸フクシン液[S?19]を満載して1~2 分間染色して,水洗する.  ③  対比染色:0.8%マラカイト緑液[S?21]で5~10 秒間染色する.  ④  水洗し,再び0.8%マラカイト緑液[S?21]で5~10 秒間染色する.  ⑤  水洗,乾燥,検鏡する.   青緑色に染まった背景に,レジオネラ菌は赤く染まった短桿菌として観察される(図??2?10). ◆  リン酸緩衝石炭酸フクシン液[S?19]:0.1 Mリン酸緩衝液(pH 7.4)10 mL と石炭酸フクシン液4 mL[S?20]を混和して濾過する. ◆  石炭酸フクシン液[S?20]:塩基性フクシン10 g を100 mL の95%エタノールに溶解し,石炭酸濃度が最終1%になるように蒸留水900 mL とともに混和する. ◆  0.8%マラカイト緑液[S?21]:マラカイト緑0.8 g を蒸留水100 mL に溶解した溶液.図??2?9.ナイセル/カウドリィの異染小体染色被検菌はCorynebacterium pseudodiphtheicum.図??2?10.ヒメネス染色でのレジオネラ喀痰中のLegionella pneumophila.