ブックタイトル戸田新細菌学 改訂34版
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戸田新細菌学 改訂34版
?免疫学総論789Ⅸリン,ウイルスの二本鎖RNA,一本鎖RNA,細菌やウイルス由来のDNA モチーフ(CpG 配列),シトシン塩基とグアノシン塩基がパリンドロームという配列をつくる構造などが挙げられる. 外来微生物由来にPAMPs と並んでPRR に認識される内因性のリガンドをダメージ関連分子パターンdamage?associated molecular patterns(DAMPs)と呼び,自己免疫や炎症性疾患の増悪因子として注目されている.損傷された細胞から細胞外へ遊離した自己DNA がHMGB1(highmobility group box1),RNPs(ribonucleoproteins),抗菌ペプチド,自己抗体などの細胞タンパク質と結合してDAMPs として認識される.自己成分のHSP70(heat shock protein 70),HSP60,フィブロネクチンやヘパラン硫酸,さらに壊死した細胞から放出されたATP や壊死細胞に発現されるSAP130(spliceosome?associated protein130)もDAMPs に挙げられる(図Ⅸ?2 p. 804 自然免疫 参照).3.抗 原antigen 微生物由来のタンパク質,糖,脂質,核酸などリンパ球や抗体による識別の対象となる物質を抗原と呼ぶ.抗体分子やリンパ球の抗原特異的受容体の抗原結合部位すなわち可変部と結合する最小構造単位が抗原決定基antigen determinant であり,そのなかで化学構造が明確なものがエピトープepitope である.分子量数百~千Da 前後でアミノ酸8~12 個,糖4~5 個程度からなる.実際,自己成分には含まれていない抗原決定基(非自己抗原決定基)でも,抗原決定基のみのサイズでは免疫応答を引き起こすことはできない.分子量4,000 Da 以上の物質上に存在して初めて,免疫応答を引き起こす活性を示す.この非自己抗原決定基を備え,大きな分子量を持ち,免疫応答を引き起こしうる物質を免疫原immunogen,そのような性質を免疫原性immunogenicity と呼ぶ. 抗体産生を誘導する抗原の大部分はその抗体産生にCD4+T 細胞〔ヘルパーT(Th)細胞〕の介助を要するために胸腺依存性抗原thymus?dependentantigen(TD)と呼ばれる.単独では抗体をつくらないが,キャリアcarrier であるタンパク質と結合すると,抗体をつくるものをハプテンhaptenと呼ぶ.ハプテンがB 細胞の抗原決定基としてはたらき,キャリアがT 細胞の抗原決定基を有する.一方,繰り返し構造の多い多糖体などの抗原については,Th 細胞の関与なしにB 細胞からIgM抗体が産生される.これは,胸腺非依存性抗原thymus?independent antigen(TI)と呼ばれる.ポリビニルピロリドンpolyvinylpyrrolidone(PVP)などの抗原決定基が繰り返して配置しているものが属する.LPS に代表される抗原特異性とは無関係にB 細胞を活性化する性質を持ったPAMPs はPBA(polyclonal B cell activation)とも呼ばれる. なお,抗体がペプチド抗原を認識する場合,一次配列上で離れたアミノ酸が立体構造上隣接することで抗体に認識される場合があり,これを不連続性エピトープdiscontinuous epitope と呼ぶ.一次配列上連続したアミノ酸配列からなるエピトープは連続性エピトープcontinuous epitope と呼ばれる. T 細胞に認識される抗原は10 個程度のアミノ酸からなるペプチドである.通常,抗原提示細胞に取り込まれた微生物タンパク質から切り出されて,主要組織適合遺伝子複合体major histocompatibilitycomplex(MHC)クラスⅠまたはクラスⅡ分子に結合して細胞表面に提示され,T 細胞の図Ⅸ?2.自然免疫で認識される病原体関連分子パターン(PAMPs)とダメージ関連分子パターン(DAMPs)NOD 様受容体(NLR)PAMPs DAMPs細菌(LPS,ペプチドグリカン,DNA)ウイルス(ssRNA,sRNA)真菌(β-グリカン)原虫(プロフィリン)Toll 様受容体(TLR)抗原提示細胞ATPHMGB1DNA尿酸ヒアルロン酸アポトーシス細胞壊死細胞Cタイプレクチン受容体(CLR)TLRRIG-1 様受容体(RLR)