ブックタイトル器官病理学
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器官病理学
に肉芽組織の形成をきたす.さらに時間の経過とともに粘膜下層には線維化が出現し(図6-49b),潰瘍辺縁から幼若な一層の再生上皮が伸びてくる.さらに治癒が進むと深部に偽幽門腺を伴った再生上皮が乳頭状ないし房状となり,潰瘍表面を覆い,粘膜下層では肉芽組織も線維化で置換されてくる.さらに時間が経過するとともに再生上皮が完成し,潰瘍廏痕となる(図6-49c).そののちは胃壁内の線維化は徐々に消失し,それとともに線維筋増生fibromusculosis をきたし,粘膜筋板の再生もみられるようになる.慢性期潰瘍は粘膜下層以下に種々の程度で線維化をきたすため,肉眼では潰瘍に向かって周囲から粘膜ヒダの集中を認める(図6-46b 参照).UL-Ⅱの瘢痕では粘膜筋板の断裂欠損あるいは不規則な線維筋の増生のみで,UL-Ⅲの瘢痕では固有筋層と断裂した粘膜筋板の癒着がみられる.さらにUL-Ⅳ瘢痕では固有筋の断裂とその辺縁が粘膜筋板と癒着した状態である.断裂した固有筋層部は軽度の線維化と漿膜で覆われている.経過の長い慢性潰瘍は胃壁内に大量の肉芽組織と広範B.胃の病変423UL-ⅠUL-ⅡUL-ⅢUL-ⅣUL-ⅠsUL-ⅡsUL-ⅢsUL-Ⅳs図6-47 消化性潰瘍の分類UL-Ⅰは粘膜のみの欠損でびらんである.UL-Ⅱは粘膜下層までの欠損で,UL-Ⅲは固有筋層の部分的欠損,UL-Ⅳは漿膜下層までの欠損である.またUL-Ⅲ,Ⅳsでは欠損した筋層はその辺縁で粘膜筋板と癒着している.右図は潰瘍瘢痕を示す.図6-48 消化性潰瘍a.Ul Ⅲ:固有筋層の一部までが欠損し,筋層の上縁は粘膜筋板と融合している.b.UL Ⅳ:粘膜から固有筋層まで完全に欠損している.潰瘍部の胃壁は高度の線維化を来たしている.図6-49 潰瘍の組織所見(右側が粘膜表層)a.潰瘍底部には炎症性肉芽が形成されている.b.深部には高度の線維化を認める.c.潰瘍瘢痕:潰瘍部分は再生上皮で覆われている.