ブックタイトル器官病理学
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器官病理学
球破砕性血管炎leukocytoclastic vasculitisがみられ,諸臓器の虚血性病変をきたす.中枢神経にも微小血栓,小血管の閉塞,壁肥厚,血管炎の存在がみられる.SLE の病理所見を特徴づけるものは,フィブリノイド壊死とヘマトキシリン体とされ,フィブリノイドは,HE染色で好酸性無構造状,フィブリン染色とPAS 染色が陽性,Azan 染色で赤染する物質で,胸膜,心外膜,腹膜,滑膜などの結合組織線維間や血管壁に沈着し,同部位にフィブリン,DNA およびIC を認める(図18-7).ヘマトキシリン体は,HE 染色でヘマトキシリンに淡く赤紫色に染色される球形ないし不定形の核物質で,組織球などに貪食されて,心,腎,リンパ節などにみられる(図18-8)..病因と発生機序1948 年,Hargraves はSLE の患者血中に好中球が自分の核を貪食したLE 細胞を見いだした(図18-9).このことは自分の核への攻撃を意味し,やがて抗核抗体anti-nuclear antibody(ANA)および抗二本鎖DNA抗体の発見につながった.この「自己への攻撃」を踏まえて,クローン選択説でノーベル医学生理学賞を受賞したBurnetはMackay とともに「自己免疫疾患」学説を提唱し,以来自己免疫疾患という概念が定着した.現象(自己への攻撃)がそのまま原因とみなされ,「自己抗原は何か」「なぜ自己が攻撃されるのか」がその後探求されたが今も原因不明である.問題は,「現象=原因か」にある.私たちは2009年,抗原のくり返し刺激(すなわち自己免B.全身性エリテマトーデス901図18-3 ループスバンドテスト皮慮の基底膜に免疫グロブリンが沈着(蛍光抗体染色)図18-4 脾のonion skin lesion図18-5 SLE 腎症a.は沈着が厚い.b.は沈着が薄い.c.蛍光抗体法で免疫複合体あり.wire-loop lesion となっている.