ブックタイトルはじめる!つかえる!看護のための薬理学

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概要

はじめる!つかえる!看護のための薬理学

44 神経伝達物質に関連する薬抗薬(p.68)だが,強い抗コリン作用をもつことで有名である.この作用は口渇,心拍数の増加,瞳どう孔こう散さん大だい,尿にょう閉へい(オシッコが出ない),便秘などの副作用につながる.高用量では幻覚やせん妄を起こすこともある.抗精神病薬や抗うつ薬にも強い抗コリン作用を示すものが多い.代表的な薬はクロルプロマジン(p.57)とイミプラミン(p.62)だ.せん妄は急激に起こることが多く経過は可逆的.幻覚妄想を伴うことがしばしば.これに対し認知症はゆっくりと起こり経過はほぼ不可逆的.しかも幻覚などは稀まれである.Column せん妄と認知症の違いう仕組みになっている.ダントロレンはこの機構を阻害することで骨格筋を麻痺させる.CICR が「暴走」すると骨格筋が硬直し体温が急上昇する.これが悪性高熱.発症には遺伝的要素が強く,遺伝形式は常染色体優性.遺伝子座の全容はまだ解明されていないが,ダントロレン感受性チャネルの先天性異常であることはほぼ確実.悪性高熱を誘発するリスクが最も高いのは全身麻酔.発症頻度は稀(1/70,000)だが死亡率は10% 台.治療法は特効薬ダントロレンの静注と全身冷却である.図は骨格筋の模式図である.神経筋接合部周囲で発生した活動電位は骨格筋細胞膜全体にさざ波のように伝わり,その過程でT 管とよばれるくぼみに進入し,カルシウムチャネル(図中のCa-ch)を活性化する.カルシウムチャネルを通ってカルシウムイオンが流入すると,それが引き金となり,カルシウムを貯蔵している筋小胞体からカルシウムイオンが放出されるといカルシウム誘発性カルシウム放出(CICR:calciuminducedcalcium release)ADVANCE図 神経筋接合部の模式図筋小胞体Ca2+筋原線維② 収 縮④ 弛 緩① Ca2+の放出③ Ca2+の回収 シナプス小胞体ニコチン性受容体骨格筋筋原線維Ca-ch筋小胞体T管運動神経の終末Ca