ブックタイトルはじめる!つかえる!看護のための薬理学

ページ
4/14

このページは はじめる!つかえる!看護のための薬理学 の電子ブックに掲載されている4ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

はじめる!つかえる!看護のための薬理学

2 薬理ことはじめである.中学・高校で学習する理系4 教科(数学,物理,化学,生物)はこれらの入門編,あるいはダイジェスト版と考えることもできる.なお,理学には「人」,「人間」,「個人」という用語はない.それぞれに対応するのは「ヒト」,「人体」,「個体」である.ちなみに,自然科学の一分野であるという考え方から,看護科学 nursing science という呼称もある. さて,看護学校のカリキュラムの中で薬に関する講義や実習がどの辺りに位置づけられているかを整理してみよう.学校によって多少の違いはあるが,第1 学年で理学,解剖生理学,生化学,第2 学年で病理学,薬理学,臨床医学が組み込まれているのがスタンダードである.理学は高校理科の復習という側面もあるが,より正確には上級編に相当する.解剖生理学のテーマは人体の構造と機能,つまり正常な形と正常な機能を臓器レベル,細胞レベル,分子レベル,遺伝子レベルで学ぶ.生化学では生命現象を支えている化学反応を学び,食事や服薬がいかにして化学反応を幇ほう助じょする(手助けする)か説明できることをめざす.病理学と臨床医学で初めて医療が登場し,それと相前後,あるいは平行して薬理学を学ぶという流れになる. ここで薬理学の学習目標を再確認しよう.学校によって文言の違いはあるが,その要旨は以下のようにまとめることができる.薬は病気の診断や治療に欠かせない化学物質だが,取り扱い次第で毒にもなる.薬を使用するときはその目的を明確にし,使わないで済むなら使わない,使わざるを得ないと判断したらそのメリットとデメリットを承知した上で使用する,などといった姿勢が重要である.与薬とは医療者側から患者に薬を提供(投与)することをいう.薬は薬物と添加物からできているが,さまざまな投与経路に合うように製造されている.投与経路は錠剤の内服,水薬の注射,シップ薬の貼付,目 的・薬物動態(薬の吸収,分布,代謝,排泄)について知る.・薬の用量反応曲線について知る.・おもな薬の作用と作用機序について知る(受容体を介した薬理作用はとくに重要).・おもな薬の臨床応用と副作用について知る.・麻薬や毒薬の取り扱い方なども含めた薬学的管理について知る.・上記5 項目を実践するための知識を知る.2.薬物療法要 点・病気の治療には内科的治療と外科的治療がある.薬物療法はどちらかといえば内科的である.・治療には根治的療法と対症療法がある.薬物療法は対症療法になることが多い.・投薬のおもな目的はヒトの自然治癒力を薬により支えることである.・自然治癒が見込めない場合は投薬も選択肢の1 つとなる.・薬には主作用と副作用がある.3.与薬の方法