ブックタイトルはじめる!つかえる!看護のための薬理学

ページ
3/14

このページは はじめる!つかえる!看護のための薬理学 の電子ブックに掲載されている3ページの概要です。
秒後に電子ブックの対象ページへ移動します。
「ブックを開く」ボタンをクリックすると今すぐブックを開きます。

概要

はじめる!つかえる!看護のための薬理学

薬理学とは 1薬理学は薬という化学物質と生体の相互作用を解明するサイエンスである.メインテーマは大きく分けて2 つあり,1 つは生体内での薬の作用点と作用機序を解明すること(薬力学),もう1 つは作用点に到達するまでに薬がどのように吸収,分布,代謝されるか,あるいは作用後どのように体外に排泄されるかを解明すること(薬物動態学)である.作用には治療効果だけではなく有害なものもあり,その方面についての研究領域(毒科学)も広い意味では薬理学に含まれる.さらに視点を変えれば,生体を対象にするヒューマンサイエンスという側面もある.医療のおもな目的は,患者が抱えている健康上の問題点を的確に解決することである.そのためにはまず問題点を明確にして,それから包括的な解決策を立案し実行し評価することが肝要になる.この基本方針,いわゆるPlan-Do-See は医療の世界だけでなく一般企業や公共機関でも同じことである.看護のおもな目的は問題を解決するための最適な看護/ 介護を提供することだが,医療チームの一員として解決策の全体像を把握することが必要不可欠なのである.そのためには看護,あるいは看護学の本質を理解していなければならない. 看護学には2 つの側面がある.1 つは病人を看護/ 介護するという側面で,これは人間がテーマという意味では文学にも通じる.最もわかりやすい例としては親心,子供心,男心,女心なども含めた心のケアなどがあげられる.「親心など知ったことか」では話にならない.時には患者同士のケンカに巻き込まれることもある.もう1 つはヒト(動物)を取り扱う理学の側面である.大学の理学部に数学科,物理学科,化学科,生物学科などがあることからもわかるように,理学とは数学,物理学,化学,生物学などの総称A 薬理学とは1.看護のための薬理学第1 章は本書のイントロダクションとしての役目を果たす.前半ではおもに薬理学を学ぶ理由と重要性を確認する.なかでもC パート「薬の名前」は,薬に関する情報収集能力を養うための秘訣を具体的に示しており,薬理学ではもちろん医療人になる上でも重要な基礎力を養う.後半では基礎固めとして,大学入学までに学んだはずの理科,大学入学後に学ぶ生理学,そして2 章以降に共通した薬理学の予備知識を確認する.D パートの「生理学から薬理学」は,大学で学ぶ生理学がどのように薬理学に役立つのかを解説しており,これまで学んできた知識とこれから学んでいくことを有機的に結ぶ役割を果たす.E パートの「薬理学の基礎」は2 章以降の基礎知識になるので,理解度を深めるためにじっくり読み進めていただきたい.はじめに薬理ことはじめ第1章