ブックタイトルはじめる!つかえる!看護のための薬理学

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概要

はじめる!つかえる!看護のための薬理学

骨代謝関連薬 83トランスポーター(SGLT:sodium glucose co-transporter)である.後者は細胞内外のナトリウムイオンの濃のう度ど勾こう配ばいにより駆動されるので,グルコースの濃度勾配には関係なくグルコースを輸送可能である.SGLT には1 型(SGLT1)と2 型(SGLT2)があり,ともに腎尿細管でのグルコースの再吸収を担当するが,輸送能力は圧倒的にSGLT2 が勝る.このSGLT2 をジャマするのがSGLT2 阻害薬(図3-9).再吸収されなかったグルコースは尿中に排泄され,その結果,血糖値が改善される.代表薬はダパグリフロジン,トホグリフロジン.語尾のフロジンはp.81『4.経口薬』で紹介したフロリジン(リンゴ樹から単離された薬用成分)に由来する.尿糖,あるいは尿糖増加 = 重症化というコンセプトとは逆に,薬が効けば効く程尿糖が増加する仕組みである.腎機能が正常なら効果が期待できる薬だが,腎機能が障害されている患者に投与する際には腎臓を悪化させてしまうので要注意である.ここでは骨代謝の異常により骨密度が減少する病気の治療薬を取り扱う.おもな病名は骨こつ粗そ鬆しょう症しょう.この病気は女性ホルモン(エストロゲン)の分泌不足と関係が深く,閉経後の女性に好発する.骨がスカスカ&ボロボロになるため脊せき椎つい,大だい腿たい骨こつ頸けい部ぶ,橈とう骨こつ遠えん位い端たんなど日常生活基本動作に必須な部位が折れやすいのが特徴である.骨はコラーゲンに骨塩が沈着したもの,骨塩とはカルシウムのリン酸塩という意味である.教科書で使われる教育手段としてのたとえ話だが,もし骨が鉄筋コンクリートの建物なら,コラーゲンが鉄筋で,骨塩がコンクリートに当たる.カルシウムの体内分布と代謝の最重要ポイントは次の通りである.D 骨代謝関連薬1.確認事項2.基礎知識図3-9 SGLT2 阻害薬の作用メカニズム正常糖尿病糖尿病糖尿病+SGLT2 阻害薬再吸収↓尿糖尿糖尿糖↑糸球体糸球体糸球体糸球体再吸収SGLT2 SGLT2SGLT2 阻害薬SGLT2 SGLT2尿細管a.糖尿病時の変化b.糖尿病治療薬の機能