ブックタイトルプログレッシブ生命科学

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概要

プログレッシブ生命科学

1.生命の基本単位:細胞1動の理解が進んできた.1 真核生物と原核生物 生物は,核膜に囲まれた明確な核をもつ真核細胞からなる真核生物eukaryote と,核をもたない単細胞性の原核生物prokaryote に分けられる.原核細胞の大きさは,真核細胞よりはるかに小さい.真核細胞の核nucleus には遺伝情報であるDNA が保持されており,細胞質cytoplasm とは物理的に隔てられている.核と細胞質とのあいだに物理的隔離があることで,真核生物に特有の多様な生体1-1 細胞とは 細胞cell とは,生物を構成する構造と機能の基本単位である.細胞は周りを細胞膜で覆われ,その内部にさまざまな生体物質を含んでいる.生物には,単一の細胞でのみ構成される単細胞生物unicellular organism と複数の細胞で構成される多細胞生物multicellular organism がある.ヒトは約60兆個の細胞からなる多細胞生物である.多細胞生物においては,1つ1つの細胞,つまり細胞レベルで生命現象をとらえることで,さまざまな生命活細胞とは生物を構成している基本単位である.生物は,核膜に囲まれた明確な核をもつ細胞からなる真核生物と,核をもたない細胞からなる原核生物に分けられる.細胞は半透膜の性質をもった脂質二重膜で覆われている.細胞のなかにはさまざまなオルガネラ(細胞内小器官)が存在している.細胞内外のイオン濃度は細胞膜上にあるイオンポンプにより制御されている.多細胞生物であるヒトを構成する細胞は200 種類以上が存在し,さまざまな組み合わせの細胞が集合して機能的に統合されることにより組織が形成されている. 17 世紀に発刊された“Micrographia(顕微鏡図譜)”のなかで,R. Hooke が顕微鏡でコルクのスライスを観察して発見した「壁に囲まれている空間」を表すために“cell(細胞)”という言葉を初めて記載したとされる.また,そのころA. van Leeuwenhoek により,細菌や赤血球が顕微鏡下で観察されていた.19 世紀になり,M. J. Schleiden やT. Schwann により,「細胞はあらゆる生物の構造・機能の単位である」という“細胞説”が提唱され,そこにR. L. K. Virchowによって広められた「すべての細胞は細胞から」という概念が加わった.その後,世界中の研究者による数多くのブレークスルーや技術的革新により細胞生物学は大きな進歩を遂げ,今日,細胞レベルで生命現象をとらえることが生物学研究の主体であるとともに,さまざまな病態研究や医療技術開発の基盤となっている.細胞説1 生命の基本単位:細胞