カテゴリー: 臨床薬学
図解 医薬品情報学
改訂4版
河北総合病院 薬剤部長 折井孝男 編
定価
4,620円(本体 4,200円 +税10%)
- B5判 327頁
- 2019年10月 発行
- ISBN 978-4-525-78164-4
医薬品情報を有用に利活用するための入門書!
インターネット等により誰もが容易に情報入手可能な現在,薬剤師にとってもその中から必要な情報を見極め,入手し,自信をもって発信・提供することが望まれる.本書は医薬品情報に関わる基礎的な要素を身につけるため,さまざまな角度から分かりやすく解説.薬学生や医薬関係者のテキストとして最適な書.
- 序文
- 目次
序文
「みてわかる薬学 図解 医薬品情報学」は,このたび改訂4版を迎えることになりました.前回の改訂から今回の改訂までの期間に,従来「薬事法」と呼ばれていた法律が改正され,名前が「医薬品,医療機器等の品質,有効性及び安全性の確保等に関する法律(略称:医薬品医療機器等法,薬機法)」(昭和三十五年法律第百四十五号)と改称されました.医療の世界だけではありませんが,変化の早さに驚くことばかりです.
医薬品は,有効性とともに一定のリスク(副作用)を伴うものです.リスクは0(ゼロ)にすることはできないものの,0に近づけることができます(最後は0にしなければなりません).そして,リスクを可能な限り減らす(0に近づける)ための方策を考え,適切に管理していくためには創薬,育薬に関わる医薬品の情報を有用に利活用することが大切です.
医薬品情報は医薬品の適正使用のために必須であることは,十分に理解されていると思います.過去を振り返る訳ではありませんが,「21世紀の医薬品のあり方に関する懇談会」最終報告(厚生省,1993年)の「医薬品の適正使用とは,まず,的確な診断に基づき患者の状態にかなった最適の薬剤,剤形と適切な用法・用量が決定され,これに基づき調剤されること,次いで,患者に薬剤についての説明が十分理解され,正確に使用された後,その効果や副作用が評価され,処方にフィードバッグされるという一連のサイクルと言えよう.こうした適正使用が確保されるためには,医薬品に関する情報が医療関係者や患者に適切に提供され,十分理解されることが必須の条件である.医薬品は情報と一体となってはじめてその目的が達成できるからである」にみられるように,医薬品情報を収集および提供するシステムの必要性が述べられています.
今の世の中は,インターネットツールの広がる時代といえます.グローバルな時代になっているといえます.どこにでも行ければ,何にでも活動,協力することができ,思いを馳せることができます.若い薬学生,薬剤師にはチャンスが開けているといえます.従来からの古い文化を離れること,そして,考えて行動することにより,世界中にチャンスの可能性が広がります.海外の薬剤師,薬学関係者らとの出会いなどを大切にして,グローバルな世界で夢中になれる医薬品情報に係る大きな夢を見つけて欲しいと思います.
このグローバルな時代においては,多様性や異質性を持ったユニークな人であることが,大きな価値や可能性を持ちます.医薬品情報ではありませんが,例えばスティーブ・ジョブズが創業したアップル社は,今からおよそ30年前は売上高が約20億ドル,4,000人を超える従業員を雇っていました.ところが,現在のようなネット主流の時代は異なります.「インスタグラム」についてはご存知のことと思います.2012年,アップル社はフェイスブックに10億ドルで買収されました.そのときのインスタグラムの従業員数はわずか13名でした.現代の特徴は,そうした諸問題が「誰にでも見える」ということです.なぜなら,インターネットやスマートフォンの普及によって,誰もが簡単にさまざまな情報にアクセスできるようになったからです.デジタルテクノロジーが進めば,これまで人がやってきた仕事をコンピュータで肩代わりできるようになります.つまり,患者もインターネットやスマートフォンを利用して医薬品の情報を入手しています.先行きはコンピュータが患者に代わって医薬品情報を探し,提供するかもしれません.
医薬品情報学は薬学生,薬剤師の基盤となる学問です.医薬品情報に夢中になり医薬品情報の専門薬剤師を目指すことも1つの可能性です.そして,どこでも,この可能性を伸ばすことが大切と考えます.自分で研究テーマを見つけ,医薬品の専門家として医師ら医療スタッフと対等に医薬品情報を自分の武器(力:ちから)として意見を述べることができる薬剤師になって欲しいと思います.
本書は,薬学生,薬剤師に医薬品に係る情報について「学」としての大切さを知ってもらうこと,そして,「自分は医薬品情報で何を(どのように利活用)したいのか」ということに気づく「場」,医療スタッフ,さらに患者とのいろいろな「場」において,より良い選択ができる感性に触れること,知ることを目的として改訂しました.
医薬品について「自分としてはこれがやりたい」ということに気づくことが大切であり,本書は教科書であると同時に,このような気づきの「場」となることも目的としています.人によって,それが何になるのかは異なります.自分のモチベーションを探して欲しいと思うとともに,医薬品情報がその役に立てばと考えます.
「みてわかる薬学 図解 医薬品情報学」(改訂4版)は多くの先生方のご協力により発行することができました.ありがとうございます.そして,改訂4版のために一緒に検討頂いた南山堂編集部に感謝します.
2019年9月
インターネット,AI,IOTなどに囲まれる中で,
薬剤師としての医薬品情報学のあり方を考えながら…….
折井孝男
医薬品は,有効性とともに一定のリスク(副作用)を伴うものです.リスクは0(ゼロ)にすることはできないものの,0に近づけることができます(最後は0にしなければなりません).そして,リスクを可能な限り減らす(0に近づける)ための方策を考え,適切に管理していくためには創薬,育薬に関わる医薬品の情報を有用に利活用することが大切です.
医薬品情報は医薬品の適正使用のために必須であることは,十分に理解されていると思います.過去を振り返る訳ではありませんが,「21世紀の医薬品のあり方に関する懇談会」最終報告(厚生省,1993年)の「医薬品の適正使用とは,まず,的確な診断に基づき患者の状態にかなった最適の薬剤,剤形と適切な用法・用量が決定され,これに基づき調剤されること,次いで,患者に薬剤についての説明が十分理解され,正確に使用された後,その効果や副作用が評価され,処方にフィードバッグされるという一連のサイクルと言えよう.こうした適正使用が確保されるためには,医薬品に関する情報が医療関係者や患者に適切に提供され,十分理解されることが必須の条件である.医薬品は情報と一体となってはじめてその目的が達成できるからである」にみられるように,医薬品情報を収集および提供するシステムの必要性が述べられています.
今の世の中は,インターネットツールの広がる時代といえます.グローバルな時代になっているといえます.どこにでも行ければ,何にでも活動,協力することができ,思いを馳せることができます.若い薬学生,薬剤師にはチャンスが開けているといえます.従来からの古い文化を離れること,そして,考えて行動することにより,世界中にチャンスの可能性が広がります.海外の薬剤師,薬学関係者らとの出会いなどを大切にして,グローバルな世界で夢中になれる医薬品情報に係る大きな夢を見つけて欲しいと思います.
このグローバルな時代においては,多様性や異質性を持ったユニークな人であることが,大きな価値や可能性を持ちます.医薬品情報ではありませんが,例えばスティーブ・ジョブズが創業したアップル社は,今からおよそ30年前は売上高が約20億ドル,4,000人を超える従業員を雇っていました.ところが,現在のようなネット主流の時代は異なります.「インスタグラム」についてはご存知のことと思います.2012年,アップル社はフェイスブックに10億ドルで買収されました.そのときのインスタグラムの従業員数はわずか13名でした.現代の特徴は,そうした諸問題が「誰にでも見える」ということです.なぜなら,インターネットやスマートフォンの普及によって,誰もが簡単にさまざまな情報にアクセスできるようになったからです.デジタルテクノロジーが進めば,これまで人がやってきた仕事をコンピュータで肩代わりできるようになります.つまり,患者もインターネットやスマートフォンを利用して医薬品の情報を入手しています.先行きはコンピュータが患者に代わって医薬品情報を探し,提供するかもしれません.
医薬品情報学は薬学生,薬剤師の基盤となる学問です.医薬品情報に夢中になり医薬品情報の専門薬剤師を目指すことも1つの可能性です.そして,どこでも,この可能性を伸ばすことが大切と考えます.自分で研究テーマを見つけ,医薬品の専門家として医師ら医療スタッフと対等に医薬品情報を自分の武器(力:ちから)として意見を述べることができる薬剤師になって欲しいと思います.
本書は,薬学生,薬剤師に医薬品に係る情報について「学」としての大切さを知ってもらうこと,そして,「自分は医薬品情報で何を(どのように利活用)したいのか」ということに気づく「場」,医療スタッフ,さらに患者とのいろいろな「場」において,より良い選択ができる感性に触れること,知ることを目的として改訂しました.
医薬品について「自分としてはこれがやりたい」ということに気づくことが大切であり,本書は教科書であると同時に,このような気づきの「場」となることも目的としています.人によって,それが何になるのかは異なります.自分のモチベーションを探して欲しいと思うとともに,医薬品情報がその役に立てばと考えます.
「みてわかる薬学 図解 医薬品情報学」(改訂4版)は多くの先生方のご協力により発行することができました.ありがとうございます.そして,改訂4版のために一緒に検討頂いた南山堂編集部に感謝します.
2019年9月
インターネット,AI,IOTなどに囲まれる中で,
薬剤師としての医薬品情報学のあり方を考えながら…….
折井孝男
目次
第1章 医薬品情報学を学ぶ意義
1 医薬品情報学とは
A 医薬品情報学の流れ
B 医薬品情報と薬学教育
C 医薬品情報の共有とICT化からIoT,AI
D 医薬品情報の基本理念
2 薬剤師に求められる職能と医薬品情報学
A 薬剤師の資質
B 薬剤師に求められる職能
1. 医療人としての薬剤師の職能
C 臨床研究への積極的参画
1. 創薬の場において
2. 育薬の場において
D 自己研鑽・生涯教育
E 薬学教育と医薬品情報学
3 現代社会における医薬品情報
A 現代社会は“情報革命”の時代
1. 人間社会に大きな変革をもたらす“情報革命”
2. “情報革命”とAI
B 情報社会における医薬品情報
1. 医薬品情報で扱う情報
2. 情報社会における医薬品適正使用のために
3. 情報社会における医療ビッグデータの利活用
第2章 薬剤師が活用する医薬品の基本情報
1 医薬品情報学に関連する法律・制度
A 医薬品の販売・製造・流通と法律・制度
1.医薬品
2.医薬品の開発・製造
3.薬局・医薬品販売業
2 医薬品の情報源
A 情報源の分類と特徴
B 一次資料
C 二次資料
D 三次資料
3 医薬品情報の流れ
A 厚生労働省の役割と医薬品情報
1.役割
2.薬剤師が収集・活用すべき医薬品情報
B 医薬品医療機器総合機構(PMDA)の役割と医薬品情報
1.役割
2.薬剤師が収集・活用すべき医薬品情報
C 製薬企業の役割と医薬品情報
1.役割
2.薬剤師が収集・活用すべき医薬品情報
D 医薬品卸売販売業者の役割と医薬品情報
1.役割
2.薬剤師が収集・活用すべき医薬品情報
4 医療用医薬品添付文書
A 作成の目的
B 歴史と位置付け
1.「原則禁忌」の廃止
2.「慎重投与」の廃止
3.「高齢者への投与」「妊婦,産婦,授乳婦等への投与」「小児等への投与」の廃止
4.「特定の背景を有する患者に関する注意」の新設
5.項目の通し番号の設定
C 添付文書の記載における一般的留意事項
D 添付文書の記載項目
1.作成または改訂年月
2.日本標準商品分類番号等
3.貯法・有効期間
4.薬効分類名
5.規制区分
6.名称
F 添付文書の本文中の記載項目
1.警告
2.禁忌
3.組成・性状
4.効能又は効果
5.効能又は効果に関連する注意
6.用法及び用量
7.用法及び用量に関連する注意
8.重要な基本的注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
10.相互作用
11.副作用
12.臨床検査結果に及ぼす影響
13.過量投与
14.適用上の注意
15.その他の注意
16.薬物動態
17.臨床成績
18.薬効薬理
19.有効成分に関する理化学的知見
20.取扱い上の注意
21.承認条件
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
25.保険給付上の注意
26.製造販売業者等
5 一般用医薬品添付文書
A 添付文書の目的
B 歴史と位置付け
C 記載事項
1.改訂年月
2.添付文書の必読及び保管に関する事項
3.販売名,薬効名及びリスク区分
4.製品の特徴
5.使用上の注意
6.効能又は効果
7.用法及び用量
8.成分及び分量
9.保管及び取扱い上の注意
10.消費者相談窓口
11.製造販売業者等の氏名又は名称及び住所
6 医薬品インタビューフォーム
A インタビューフォームの位置付け
B インタビューフォーム作成の目的,歴史
C インタビューフォームの記載項目
D インタビューフォームの記載内容
1.概要に関する項目
2.名称に関する項目
3.有効成分に関する項目
4.製剤に関する項目
5.治療に関する項目
6.薬効薬理に関する項目
7.薬物動態に関する項目
8.安全性(使用上の注意等)に関する項目
9.非臨床試験に関する項目
10.管理的事項に関する項目
11.文献
12.参考資料
13.備考
7 医薬品リスク管理計画(RMP)
A 医薬品リスク管理計画(RMP)とは
B 導入の背景
C 適用範囲とその時期
D 構成
1.安全性検討事項
2.医薬品安全性監視活動
3.リスク最小化活動
E 行政からの情報収集
1.PMDAウェブサイトでのRMPの公開
2.PMDAウェブサイトでの「RMPに紐づく資材」の公開
F 製薬企業からの情報収集
1.製薬企業のウェブサイトでの公表
2.MRによる情報提供
3.追加のリスク最小化資材への「RMPマーク」の付与
G RMPの医療機関における利活用について
1.新薬採用時のリスク把握の情報源としての活用
2.リスク最小化活動のための資材の活用(医療従事者向け,患者向け)
3.副作用モニタリングにおけるRMPの活用
第3章 薬物治療と医薬品情報
1 診療ガイドラインの役割
A 診療ガイドラインとは
B Mindsガイドラインの検索方法
C 診療ガイドラインの構成
D 診療ガイドラインを利用する上での注意点
2 EBM
A EBMとは
B EBM実践のための5つのステップ
1.患者の問題の定式化
2.患者問題について科学的根拠(エビデンス)の収集
3.科学的根拠(エビデンス)の批判的吟味
4.科学的根拠(エビデンス)の患者への適用
5.1〜4のステップの自己評価
C 物語に基づく医療(NBM)
3 生物統計
A 医療統計
1.研究仮説と対象患者の背景情報
B 第一種の過誤(αエラー)と第二種の過誤(βエラー)
C サンプルサイズ
D データの種類(質的データと量的データ)
E データの示し方
F 対象集団はどのような集団から抽出された集団か
G 発生の指標と効果の指標
1.有病割合と発生割合,発生率
H 効果の指標としての相対危険度(リスク比や率比)
I リスク差(寄与危険度)と率差
J 相対リスク減少と絶対リスク減少,治療必要数
K 生存時間解析
4 研究デザイン
A ランダム化比較試験
B ランダム抽出とランダム割り付け
C 盲検化(blinding)
D 臨床研究のエビデンスレベル
E 観察研究の主なデザイン
F コホート研究
G 研究に利用可能なわが国におけるデータベースの種類
1.大規模データベース
2.商業用データベース
H 海外でデータベースを用いて行われた研究の例
I 症例対照研究(ケース・コントロール研究)
J 症例対照研究で得られるオッズ比とコホート研究で得られるリスク比の関係
K コホート研究と症例対照研究の特徴を併せもつ研究デザイン
1.コホート内症例対照研究(ネステッド・ケースコントロール研究)
2.ケース・コホート研究(case-cohort study)
第4章 医薬品業界で構築・提供される医薬品情報
1 製薬企業が取り扱う情報
A 新薬ができるまでに必要な情報
1.医薬品研究開発の流れ
2.医薬品の開発過程で収集される情報と承認申請資料
3.開発過程で実施される試験の概要
B 後発医薬品ができるまでに必要な情報
1.後発医薬品の製造販売承認申請に必要とする資料
2.品質再評価制度
3.バイオ後続品(バイオシミラー)
2 製薬企業が市販後に提供・構築する情報
A ファーマコビジランス
B 市販後調査
1.市販直後調査制度
2.副作用報告制度
3.再審査制度
4.再評価制度
C 製造販売業者が提供する情報
1.添付文書の改訂
2.緊急安全性情報(イエローレター)
3.安全性速報(ブルーレター)
3 レギュラトリーサイエンス
A レギュラトリーサイエンスの黎明
B レギュラトリーサイエンスの浸透
C 医薬品におけるレギュラトリーサイエンス
D レギュラトリーサイエンスの最近の動きと適用の基本姿勢
第5章 薬剤師による医薬品情報の評価・構築・提供
1 医薬品情報の信頼性・科学的妥当性の評価
A 医薬品情報を評価する必要性と求められる場面
B 医薬品情報を評価する心構えと求められる能力
1.適切な情報源の選択
2.三次資料の評価
3.二次資料の評価と情報検索
4.一次資料の評価
5.臨床への適用可能性の評価
C 有効性の評価
1.有効性の評価に活用できる医薬品情報
2.有効性情報の評価:RCT
3.有効性情報の評価:同等性試験と非劣性試験
D 安全性の評価
1.安全性の評価に活用できる医薬品情報
2.医薬品と有害事象の因果関係の評価
3.安全性情報の評価:コホート研究,症例対照研究
4.安全性情報の評価:症例報告,症例集積報告
2 患者・医療スタッフへの情報管理
A 医薬品情報の再構築(加工)
1.患者が必要とする医薬品情報
2.医療従事者が必要とする医薬品情報
B 医薬品情報の提供
1.情報提供の媒体の特徴と注意点
2.医薬品情報の提供に際しての注意点
第6章 薬剤師業務と医薬品情報
1 医薬品の採用・選択
A 病院で医薬品を採用するまでのプロセス
1.適正な医薬品の供給と管理の意義
2.病院における医薬品の採用プロセス
3.薬事委員会
4.院外採用医薬品申請
5.臨時採用医薬品申請
6.審議結果の通知から処方開始まで
7.試用採用(仮採用)
8.医薬品採用後
9.保険薬局における医薬品の採択・選択
B 同種・同効薬,後発医薬品の選び方
1.評価に用いる情報源
2.審査にあたっての比較・評価のポイント
3.後発医薬品
4.バイオ後続品(バイオシミラー)
5.薬価基準制度
2 処方箋と処方監査・調剤
A 処方箋と医薬品情報
1.処方箋の種類
2.院内処方箋と院外処方箋
B 経口剤・外用剤の調剤
1.調剤の基本的な流れと医薬品情報
2.処方箋の記載事項と監査・疑義照会
C 注射剤の調剤
1.注射処方箋
2.注射剤調剤の基本的な流れと医薬品情報
3.薬剤師によるがん化学療法へのかかわりと抗がん薬のレジメン管理
4.注射処方箋の監査
3 服薬指導・情報提供
A 服薬指導
1.服薬指導は法的に定められたもの
2.服薬指導の目的
3.服薬指導での情報提供
4.服薬指導に注意を要する患者
5.情報提供の方法
B 保険薬局における服薬指導
C 病院における服薬指導
4 薬学管理
A 中央業務
1.調剤・製剤
2.高カロリー輸液,抗がん薬の無菌調製
3.薬品管理
B 病棟業務
1.医師と協働して行う薬物治療業務
2.医療スタッフへの情報提供
3.チーム医療(NST,ICT)との連携
4.注射剤投与準備
5.医薬品管理
6.保険薬局への情報提供,退院時カンファレンス
C ICU,CCUへのかかわり
D 手術室の薬品管理
E 外来業務
1.外来化学療法室
2.入院前の情報収集
3.薬物治療支援
F 保険薬局における薬学管理
1.調剤における医薬品情報
2.病院・診療所との情報連携
5 患者情報の管理
A 患者情報と情報源
1.患者情報
2.情報源
B 患者情報の収集・評価・管理
1.問題志向型システム(problem oriented system;POS)
2.情報の収集(基礎情報,データベース)
3.問題点の把握・抽出
4.薬学的ケア計画(初期計画)の立案
5.記録の作成
6.監査(オーディット)・修正
7.患者情報共有の重要性
8.患者情報の取り扱いにおける守秘義務の遵守
第7章 社会と医薬品情報
1 地域包括ケア
A 地域包括ケアシステムの目指すもの
B 在宅医療における薬剤師の役割
C 地域包括ケアシステムにおいて薬局・薬剤師が担うべき役割
1.かかりつけ薬剤師・薬局としての機能
2.健康サポート機能
3.高度薬学管理機能
4.地域包括ケアシステムにおいて薬局・薬剤師に求められる機能
2 セルフメディケーション
A セルフメディケーションの定義
B OTC医薬品で対処可能な症状の範囲
1.相談の受付,情報収集・状況確認
2.状況の評価
3.OTC医薬品の製品選択,継続使用の可否判断
4.販売後モニタリングと副作用への対応
3 健康食品・サプリメント
A 健康食品の分類
B 保健機能食品
1.特定保健用食品
2.栄養機能食品
3.機能性表示食品
C サプリメント
D 保健機能食品・サプリメントの安全性・有効性
4 インターネット販売
A 処方箋調剤とインターネット
B 一般用医薬品のインターネット販売にかかる法規制
C わが国における一般用医薬品インターネット販売の要件
1.施設の要件など
2.専門家による販売
3.インターネット販売の流れ
D 一般用医薬品のインターネット販売における禁止事項
E 違法な医薬品などの電子商取引の現状と対策
5 くすりの正しい使い方教育・薬物乱用防止教育
A 学校薬剤師の役割
1.学校薬剤師の規定
2.学校薬剤師の職務
3.教諭・薬剤師によるチーム・ティーチング
B くすりの正しい使い方教育
1.くすりの正しい使い方教育を取り巻く背景
2.学校におけるくすりの正しい使い方教育の内容
3.セルフメディケーション推進のための基盤づくり
C 薬物乱用防止教育
1.薬物乱用防止教育を取り巻く背景
2.喫煙,飲酒,薬物乱用に関する青少年の行動の実態と関連要因
3.一次,二次,三次予防の各段階に対応した指導・支援
4.喫煙,飲酒,薬物乱用防止に関する教育の観点
6 スポーツ領域での医薬品適正使用
A アンチ・ドーピングを理解するための周辺情報
B アンチ・ドーピングに関する主な医薬品情報
1.世界アンチ・ドーピング規程禁止表国際基準
2.Global DRO(Global Drug Reference Online)
3.薬剤師のためのアンチ・ドーピングガイドブック
C 薬剤師のアンチ・ドーピング活動と情報提供
1.学校教育の現場における啓発活動
2.スポーツ愛好家など広く国民一般に対する啓発活動
3.競技者,競技者支援要員に対する啓発活動
おわりに 学会参加による最新情報の収集と利用 ―薬剤師として「混ざる」「外へ出る」―
参考資料 RMPの医療機関での利活用の一例 ―RMPに紐づく患者さん向け資材の活用―
索 引
1 医薬品情報学とは
A 医薬品情報学の流れ
B 医薬品情報と薬学教育
C 医薬品情報の共有とICT化からIoT,AI
D 医薬品情報の基本理念
2 薬剤師に求められる職能と医薬品情報学
A 薬剤師の資質
B 薬剤師に求められる職能
1. 医療人としての薬剤師の職能
C 臨床研究への積極的参画
1. 創薬の場において
2. 育薬の場において
D 自己研鑽・生涯教育
E 薬学教育と医薬品情報学
3 現代社会における医薬品情報
A 現代社会は“情報革命”の時代
1. 人間社会に大きな変革をもたらす“情報革命”
2. “情報革命”とAI
B 情報社会における医薬品情報
1. 医薬品情報で扱う情報
2. 情報社会における医薬品適正使用のために
3. 情報社会における医療ビッグデータの利活用
第2章 薬剤師が活用する医薬品の基本情報
1 医薬品情報学に関連する法律・制度
A 医薬品の販売・製造・流通と法律・制度
1.医薬品
2.医薬品の開発・製造
3.薬局・医薬品販売業
2 医薬品の情報源
A 情報源の分類と特徴
B 一次資料
C 二次資料
D 三次資料
3 医薬品情報の流れ
A 厚生労働省の役割と医薬品情報
1.役割
2.薬剤師が収集・活用すべき医薬品情報
B 医薬品医療機器総合機構(PMDA)の役割と医薬品情報
1.役割
2.薬剤師が収集・活用すべき医薬品情報
C 製薬企業の役割と医薬品情報
1.役割
2.薬剤師が収集・活用すべき医薬品情報
D 医薬品卸売販売業者の役割と医薬品情報
1.役割
2.薬剤師が収集・活用すべき医薬品情報
4 医療用医薬品添付文書
A 作成の目的
B 歴史と位置付け
1.「原則禁忌」の廃止
2.「慎重投与」の廃止
3.「高齢者への投与」「妊婦,産婦,授乳婦等への投与」「小児等への投与」の廃止
4.「特定の背景を有する患者に関する注意」の新設
5.項目の通し番号の設定
C 添付文書の記載における一般的留意事項
D 添付文書の記載項目
1.作成または改訂年月
2.日本標準商品分類番号等
3.貯法・有効期間
4.薬効分類名
5.規制区分
6.名称
F 添付文書の本文中の記載項目
1.警告
2.禁忌
3.組成・性状
4.効能又は効果
5.効能又は効果に関連する注意
6.用法及び用量
7.用法及び用量に関連する注意
8.重要な基本的注意
9.特定の背景を有する患者に関する注意
10.相互作用
11.副作用
12.臨床検査結果に及ぼす影響
13.過量投与
14.適用上の注意
15.その他の注意
16.薬物動態
17.臨床成績
18.薬効薬理
19.有効成分に関する理化学的知見
20.取扱い上の注意
21.承認条件
22.包装
23.主要文献
24.文献請求先及び問い合わせ先
25.保険給付上の注意
26.製造販売業者等
5 一般用医薬品添付文書
A 添付文書の目的
B 歴史と位置付け
C 記載事項
1.改訂年月
2.添付文書の必読及び保管に関する事項
3.販売名,薬効名及びリスク区分
4.製品の特徴
5.使用上の注意
6.効能又は効果
7.用法及び用量
8.成分及び分量
9.保管及び取扱い上の注意
10.消費者相談窓口
11.製造販売業者等の氏名又は名称及び住所
6 医薬品インタビューフォーム
A インタビューフォームの位置付け
B インタビューフォーム作成の目的,歴史
C インタビューフォームの記載項目
D インタビューフォームの記載内容
1.概要に関する項目
2.名称に関する項目
3.有効成分に関する項目
4.製剤に関する項目
5.治療に関する項目
6.薬効薬理に関する項目
7.薬物動態に関する項目
8.安全性(使用上の注意等)に関する項目
9.非臨床試験に関する項目
10.管理的事項に関する項目
11.文献
12.参考資料
13.備考
7 医薬品リスク管理計画(RMP)
A 医薬品リスク管理計画(RMP)とは
B 導入の背景
C 適用範囲とその時期
D 構成
1.安全性検討事項
2.医薬品安全性監視活動
3.リスク最小化活動
E 行政からの情報収集
1.PMDAウェブサイトでのRMPの公開
2.PMDAウェブサイトでの「RMPに紐づく資材」の公開
F 製薬企業からの情報収集
1.製薬企業のウェブサイトでの公表
2.MRによる情報提供
3.追加のリスク最小化資材への「RMPマーク」の付与
G RMPの医療機関における利活用について
1.新薬採用時のリスク把握の情報源としての活用
2.リスク最小化活動のための資材の活用(医療従事者向け,患者向け)
3.副作用モニタリングにおけるRMPの活用
第3章 薬物治療と医薬品情報
1 診療ガイドラインの役割
A 診療ガイドラインとは
B Mindsガイドラインの検索方法
C 診療ガイドラインの構成
D 診療ガイドラインを利用する上での注意点
2 EBM
A EBMとは
B EBM実践のための5つのステップ
1.患者の問題の定式化
2.患者問題について科学的根拠(エビデンス)の収集
3.科学的根拠(エビデンス)の批判的吟味
4.科学的根拠(エビデンス)の患者への適用
5.1〜4のステップの自己評価
C 物語に基づく医療(NBM)
3 生物統計
A 医療統計
1.研究仮説と対象患者の背景情報
B 第一種の過誤(αエラー)と第二種の過誤(βエラー)
C サンプルサイズ
D データの種類(質的データと量的データ)
E データの示し方
F 対象集団はどのような集団から抽出された集団か
G 発生の指標と効果の指標
1.有病割合と発生割合,発生率
H 効果の指標としての相対危険度(リスク比や率比)
I リスク差(寄与危険度)と率差
J 相対リスク減少と絶対リスク減少,治療必要数
K 生存時間解析
4 研究デザイン
A ランダム化比較試験
B ランダム抽出とランダム割り付け
C 盲検化(blinding)
D 臨床研究のエビデンスレベル
E 観察研究の主なデザイン
F コホート研究
G 研究に利用可能なわが国におけるデータベースの種類
1.大規模データベース
2.商業用データベース
H 海外でデータベースを用いて行われた研究の例
I 症例対照研究(ケース・コントロール研究)
J 症例対照研究で得られるオッズ比とコホート研究で得られるリスク比の関係
K コホート研究と症例対照研究の特徴を併せもつ研究デザイン
1.コホート内症例対照研究(ネステッド・ケースコントロール研究)
2.ケース・コホート研究(case-cohort study)
第4章 医薬品業界で構築・提供される医薬品情報
1 製薬企業が取り扱う情報
A 新薬ができるまでに必要な情報
1.医薬品研究開発の流れ
2.医薬品の開発過程で収集される情報と承認申請資料
3.開発過程で実施される試験の概要
B 後発医薬品ができるまでに必要な情報
1.後発医薬品の製造販売承認申請に必要とする資料
2.品質再評価制度
3.バイオ後続品(バイオシミラー)
2 製薬企業が市販後に提供・構築する情報
A ファーマコビジランス
B 市販後調査
1.市販直後調査制度
2.副作用報告制度
3.再審査制度
4.再評価制度
C 製造販売業者が提供する情報
1.添付文書の改訂
2.緊急安全性情報(イエローレター)
3.安全性速報(ブルーレター)
3 レギュラトリーサイエンス
A レギュラトリーサイエンスの黎明
B レギュラトリーサイエンスの浸透
C 医薬品におけるレギュラトリーサイエンス
D レギュラトリーサイエンスの最近の動きと適用の基本姿勢
第5章 薬剤師による医薬品情報の評価・構築・提供
1 医薬品情報の信頼性・科学的妥当性の評価
A 医薬品情報を評価する必要性と求められる場面
B 医薬品情報を評価する心構えと求められる能力
1.適切な情報源の選択
2.三次資料の評価
3.二次資料の評価と情報検索
4.一次資料の評価
5.臨床への適用可能性の評価
C 有効性の評価
1.有効性の評価に活用できる医薬品情報
2.有効性情報の評価:RCT
3.有効性情報の評価:同等性試験と非劣性試験
D 安全性の評価
1.安全性の評価に活用できる医薬品情報
2.医薬品と有害事象の因果関係の評価
3.安全性情報の評価:コホート研究,症例対照研究
4.安全性情報の評価:症例報告,症例集積報告
2 患者・医療スタッフへの情報管理
A 医薬品情報の再構築(加工)
1.患者が必要とする医薬品情報
2.医療従事者が必要とする医薬品情報
B 医薬品情報の提供
1.情報提供の媒体の特徴と注意点
2.医薬品情報の提供に際しての注意点
第6章 薬剤師業務と医薬品情報
1 医薬品の採用・選択
A 病院で医薬品を採用するまでのプロセス
1.適正な医薬品の供給と管理の意義
2.病院における医薬品の採用プロセス
3.薬事委員会
4.院外採用医薬品申請
5.臨時採用医薬品申請
6.審議結果の通知から処方開始まで
7.試用採用(仮採用)
8.医薬品採用後
9.保険薬局における医薬品の採択・選択
B 同種・同効薬,後発医薬品の選び方
1.評価に用いる情報源
2.審査にあたっての比較・評価のポイント
3.後発医薬品
4.バイオ後続品(バイオシミラー)
5.薬価基準制度
2 処方箋と処方監査・調剤
A 処方箋と医薬品情報
1.処方箋の種類
2.院内処方箋と院外処方箋
B 経口剤・外用剤の調剤
1.調剤の基本的な流れと医薬品情報
2.処方箋の記載事項と監査・疑義照会
C 注射剤の調剤
1.注射処方箋
2.注射剤調剤の基本的な流れと医薬品情報
3.薬剤師によるがん化学療法へのかかわりと抗がん薬のレジメン管理
4.注射処方箋の監査
3 服薬指導・情報提供
A 服薬指導
1.服薬指導は法的に定められたもの
2.服薬指導の目的
3.服薬指導での情報提供
4.服薬指導に注意を要する患者
5.情報提供の方法
B 保険薬局における服薬指導
C 病院における服薬指導
4 薬学管理
A 中央業務
1.調剤・製剤
2.高カロリー輸液,抗がん薬の無菌調製
3.薬品管理
B 病棟業務
1.医師と協働して行う薬物治療業務
2.医療スタッフへの情報提供
3.チーム医療(NST,ICT)との連携
4.注射剤投与準備
5.医薬品管理
6.保険薬局への情報提供,退院時カンファレンス
C ICU,CCUへのかかわり
D 手術室の薬品管理
E 外来業務
1.外来化学療法室
2.入院前の情報収集
3.薬物治療支援
F 保険薬局における薬学管理
1.調剤における医薬品情報
2.病院・診療所との情報連携
5 患者情報の管理
A 患者情報と情報源
1.患者情報
2.情報源
B 患者情報の収集・評価・管理
1.問題志向型システム(problem oriented system;POS)
2.情報の収集(基礎情報,データベース)
3.問題点の把握・抽出
4.薬学的ケア計画(初期計画)の立案
5.記録の作成
6.監査(オーディット)・修正
7.患者情報共有の重要性
8.患者情報の取り扱いにおける守秘義務の遵守
第7章 社会と医薬品情報
1 地域包括ケア
A 地域包括ケアシステムの目指すもの
B 在宅医療における薬剤師の役割
C 地域包括ケアシステムにおいて薬局・薬剤師が担うべき役割
1.かかりつけ薬剤師・薬局としての機能
2.健康サポート機能
3.高度薬学管理機能
4.地域包括ケアシステムにおいて薬局・薬剤師に求められる機能
2 セルフメディケーション
A セルフメディケーションの定義
B OTC医薬品で対処可能な症状の範囲
1.相談の受付,情報収集・状況確認
2.状況の評価
3.OTC医薬品の製品選択,継続使用の可否判断
4.販売後モニタリングと副作用への対応
3 健康食品・サプリメント
A 健康食品の分類
B 保健機能食品
1.特定保健用食品
2.栄養機能食品
3.機能性表示食品
C サプリメント
D 保健機能食品・サプリメントの安全性・有効性
4 インターネット販売
A 処方箋調剤とインターネット
B 一般用医薬品のインターネット販売にかかる法規制
C わが国における一般用医薬品インターネット販売の要件
1.施設の要件など
2.専門家による販売
3.インターネット販売の流れ
D 一般用医薬品のインターネット販売における禁止事項
E 違法な医薬品などの電子商取引の現状と対策
5 くすりの正しい使い方教育・薬物乱用防止教育
A 学校薬剤師の役割
1.学校薬剤師の規定
2.学校薬剤師の職務
3.教諭・薬剤師によるチーム・ティーチング
B くすりの正しい使い方教育
1.くすりの正しい使い方教育を取り巻く背景
2.学校におけるくすりの正しい使い方教育の内容
3.セルフメディケーション推進のための基盤づくり
C 薬物乱用防止教育
1.薬物乱用防止教育を取り巻く背景
2.喫煙,飲酒,薬物乱用に関する青少年の行動の実態と関連要因
3.一次,二次,三次予防の各段階に対応した指導・支援
4.喫煙,飲酒,薬物乱用防止に関する教育の観点
6 スポーツ領域での医薬品適正使用
A アンチ・ドーピングを理解するための周辺情報
B アンチ・ドーピングに関する主な医薬品情報
1.世界アンチ・ドーピング規程禁止表国際基準
2.Global DRO(Global Drug Reference Online)
3.薬剤師のためのアンチ・ドーピングガイドブック
C 薬剤師のアンチ・ドーピング活動と情報提供
1.学校教育の現場における啓発活動
2.スポーツ愛好家など広く国民一般に対する啓発活動
3.競技者,競技者支援要員に対する啓発活動
おわりに 学会参加による最新情報の収集と利用 ―薬剤師として「混ざる」「外へ出る」―
参考資料 RMPの医療機関での利活用の一例 ―RMPに紐づく患者さん向け資材の活用―
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