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カテゴリー: 臨床薬学  |  基礎薬学

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みてわかる薬学シリーズ

図解 腫瘍薬学

1版

鈴鹿医療科学大学薬学部 教授 川西正祐 編
静岡県立大学薬学部 教授 賀川義之 編
鈴鹿医療科学大学薬学部 教授 大井一弥 編

定価

5,940(本体 5,400円 +税10%)


  • B5判  677頁
  • 2020年8月 発行
  • ISBN 978-4-525-72161-9

薬学的視点でがんに関わる「腫瘍薬学」のすべてをこの一冊に!

基礎薬学を基盤としながら,発がんから抗がん,薬剤の取り扱い方法まで,がん薬物療法に関わるすべてを豊富な図を用いて解説した一冊である.

「薬学教育モデル・コアカリキュラム(平成25年度改訂版)」にも準拠しており,薬学生・がん専門薬剤師を目指す薬剤師に必携の書である.

  • 序文
  • 目次
序文
 超高齢社会を迎えたわが国では,加齢とともにがんの発症率が益々高まっている.2018年のがんによる死亡者数は約37万人である.また,死亡総数に占める割合は27.4%で,心疾患15.3%と脳血管疾患7.9%を合わせた循環器疾患の割合より多い.長寿国のわが国において男性は女性に比べて平均寿命が短い.循環器疾患による死亡数は男女で変わらないが,がんについては男性が女性に比べて約1.4倍多いことが主な要因と考えられる.現在,男性ではおよそ2人に1人ががんになり,3人に1人ががんで亡くなっている.このように,がんは国民にとって最大の健康上の課題であるが,薬学ではこれまで,それに対応する教科書がなかった.本書『図解 腫瘍薬学』は,がんの発生機序を踏まえてがんの予防と治療を総括的にまとめた教科書である.がんは生活習慣病の一つで,食習慣,運動,喫煙,飲酒などの生活習慣に起因している.詳しくみれば,発がん因子には化学的因子,生物学的因子,物理学的因子がある.これらの発がん因子は発がん部位(臓器)により異なり,多種多様である.われわれの細胞が発がん因子の曝露を受け,遺伝子に変異が起こることでがんになる.がん細胞は,増殖,浸潤し,さらに転移することもあり,進行度によっては,がんは死に至らしめる.近年,画期的な新規のがん薬物療法として,分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬が続々と開発されているが,いまだ死因の第1位はがんである.このような中,がんの根治に向けた研究がわが国だけではなく世界的に展開されている.
 薬学ががんに関与する研究分野としては,まず,生体が発がん因子に曝露されて,長期間にわたり標的である遺伝子に変化をもたらす発がん機序と,それに基づくがん予防についての研究を含む「衛生薬学」がある.また,がん生物学,特にがん細胞の増殖・浸潤・転移や関連シグナル伝達を研究する「生物系薬学」がある.次いで検査・診断,そして,がん薬物療法を探求する抗がん分野の「薬物治療学」を含む「医療薬学」がある.さらには,がん患者に対するファーマシューティカル(薬学的)ケアを研究する分野もある.
 また近年,がんの治療だけでなく予防も重要性が増しており,その薬学的アプローチが重要となっている.それにもかかわらず,研究分野が多岐にわたることもあり,これまで,「がん」を系統的にまとめることは困難であった.そこで,我々は,発がんから抗がんまでのすべてを薬学的視点から総括し,かつ医療薬学・臨床薬学において系統的かつ斬新的にがん患者ケアを可能にする学問を「腫瘍薬学」と新たに定義した.
 なお,前版『腫瘍薬学』は11年前に刊行されているが,その後のがん研究発展の成果を踏まえて,今回全面的に書き直すとともに,内容の多くを図解し理解しやすいように編集して『図解 腫瘍薬学』として新たに刊行することとなった.一般の薬学生や薬剤師,がん予防やがん治療に関わる研究者や医療関係者にとって有益となれば幸いである.
 最後に,本書の編集に多大なご協力をいただいた南山堂編集部のみなさま,古川晶彦取締役および関係諸氏に深謝する.

2020年6月
川西正祐
目次
1章 がんの定義,分類
 1.腫瘍とは
 2.腫瘍の分類

2章 がんの疫学と成因
 1.がん統計の概要
 2.がんの疫学研究
 3.がんの成因

3章 発がん因子
 1.化学的因子
 2.生物学的因子
 3.物理化学的因子

4章 発がん過程
 1.イニシエーションとプロモーション(多段階発がん)
 2.発がん物質の代謝活性化による遺伝子損傷
 3.活性酸素,一酸化窒素による遺伝子損傷
 4.遺伝子変異・修復
 5.がん関連遺伝子
 6.がんのエピジェネティクス

5章 がんの予防
 1.一次予防と二次予防
 2.がんの化学予防物質
 3.発がん性リスクアセスメント
 4.発がん性物質のスクリーニング法

6章 がんの生物学
 1.がんの転移・浸潤
 2.がんの微小環境
 3.がん悪性化とがん幹細胞
 4.がん特異的シグナル伝達

7章 がんの検査・診断
 1.腫瘍マーカー
 2.画像診断
 3.次世代がん診断(マイクロRNA)

8章 がんの治療の目的と特徴
 1.治療の流れ
 2.手術
 3.放射線療法
 4.薬物療法
 5.化学放射線療法
 6.免疫療法

9章 がん薬物療法における薬効・薬理
 1.化学療法(抗がん薬の薬効・薬理)
  Ⅰ 総論
  Ⅱ アルキル化薬
  Ⅲ 代謝拮抗薬
  Ⅳ 抗がん性抗生物質
  Ⅴ 天然由来抗がん薬(抗がん性植物成分薬)
  Ⅵ 白金(プラチナ)製剤
  Ⅶ ホルモン剤
 2.分子標的治療
  Ⅰ 新しいがん治療薬
  Ⅱ 分子標的薬
  Ⅲ がんゲノム医療
 3.がん免疫療法
  Ⅰ がんワクチン療法
  Ⅱ がん抗体療法
  Ⅲ 免疫チェックポイント阻害薬
  Ⅳ CAR-T細胞療法

10章 がん薬物療法におけるDDS
 1.総論
 2.高分子型抗がん薬:ナノ型抗がん薬の各種
 3.リポソーム

11章 がん薬物併用療法
 1.併用の考え方
 2.Biochemical modulation
 3.投与タイミング
 4.薬物相互作用
 5.エビデンスのある併用療法
 6.レジメン管理

12章 薬理効果の評価
 1.薬物動態(PK/PD)
 2.薬理ゲノム・毒性ゲノム

13章 臓器別がん薬物療法
 1.造血器がん
 2.骨肉腫
 3.消化器がん
 4.肝・胆・膵がん
 5.肺がん
 6.頭頸部がん,感覚器がん
 7.生殖器がん①(卵巣がん,子宮頸がん,子宮体がん)
 8.生殖器がん②(前立腺がん)
 9.泌尿器がん
 10.乳がん
 11.皮膚がん

14章 腫瘍随伴症状
 1.腫瘍随伴症状とは
 2.全身性の異常症状
 3.皮膚粘膜の異常症状
 4.内分泌系の異常症状
 5.造血系の異常症状
 6.循環血液系の異常症状
 7.神経系の異常症状
 8.関節・結合織の異常
 9.その他の腫瘍随伴症状

15章 がん薬物療法の有害事象と支持療法
 1.総論
 2.骨髄抑制
 3.消化器障害
 4.皮膚障害
 5.心毒性
 6.神経障害
 7.インフュージョンリアクション
 8.間質性肺障害

16章 緩和療法
 1.がん患者の疼痛管理
 2.がん患者の栄養管理

17章 抗がん薬調製
 1.抗がん薬のリスク管理
 2.抗がん薬調製に必要な機器・施設

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