未来の赤ちゃんに出会うために
不妊治療・体外受精のすすめ
改訂3版
医療法人成田育成会成田産婦人科 理事長 成田 収 著
定価
2,750円(本体 2,500円 +税10%)
- B5判 169頁
- 2019年4月 発行
- ISBN 978-4-525-33173-3
専門医がやさしく解説!
これでわかる体外受精の基本ステップ
体外受精について専門医がわかりやすく,具体的にその手順を紹介.体外受精を考えている患者さん,不妊治療に携わる看護師,胚培養師,助産師の方にも読んで頂ける内容.改訂3版では全体的な情報のupdateの他に,注目度の高い男性不妊や不育症,抗ミュラー管ホルモン(AMH)の記載を充実させ,がん・生殖医療など最新のトピックも追加した.
- 目次
- 序文
- 書評
目次
はじめに
第1章 不妊症とは
A 不妊症の定義と実態
参考 海外の学会などによる不妊症の定義
1 年齢とともに高まる不妊症の頻度
2 不妊症の原因としての環境汚染
3 性の乱れが及ぼす影響
4 高まる晩婚化の影響と高齢妊娠
コメント 結婚前にライフプランを立てておきましょう
B 不妊症の治療はどのように進歩したか
C 不妊症の原因となる疾患─どんな疾患が増えているのか
第2章 不妊症の基本的な検査と体外受精に必要な検査
A 女性側の一般的な検査
1 基礎体温測定
2 卵管疎通性検査
3 経腟超音波検査
4 超音波下子宮造影検査
5 ヒューナーテスト(性交後検査)
6 抗精子抗体検査
7 ホルモン検査
参考 甲状腺機能の異常を疑う所見
B 女性側の特殊検査
1 子宮鏡検査(ヒステロスコピー)
2 腹腔鏡検査
3 卵管鏡検査と卵管鏡下卵管形成術(FT)
4 糖負荷とインスリンの測定
5 自己免疫疾患,血液の凝固異常の検査
6 夫婦の染色体と遺伝子の検査
C 男性側の検査と治療
1 精液の検査
2 その他の精子機能検査
参考 特殊な精子機能検査
3 男性不妊の治療
4 人工授精(IUI)とは
コメント 人工授精(IUI)の種類と方法
人工授精のタイミング
人工授精の手順
女性性管内での精子と卵子の寿命
第3章 体外受精・胚移植法とは
A 体外受精の定義と適応
コメント 生殖補助医療(ART)とは
1 体外受精を受ける前に
コメント 体外受精を決心する前に
2 体外受精の適応
B 採卵前に必要な検査
C 体外受精の流れ
第4章 体外受精の実際①調節卵巣刺激(COS)とは
A なぜ卵巣刺激を行うのか
B 卵巣刺激法の選択に必要な卵巣予備能の検
1 抗ミュラー管ホルモン(AMH)の測定
参考 抗ミュラー管ホルモン(AMH)の特徴
2 卵胞刺激ホルモン(FSH)の測定
3 インヒビンβの測定
4 胞状卵胞数(AFC)の測定
C 抗ミュラー管ホルモン(AMH)値を参考にした卵巣刺激法
D 卵巣刺激法の種類と方法
1 GnRHアゴニストを使用する調節卵巣刺激法
参考 GnRHアゴニスト使用時に知っておくべきこと
2 GnRHアンタゴニストを使用する調節卵巣刺激法
コメント hCG剤に代わってGnRHアゴニストをトリガーに用いる利点
3 黄体ホルモン剤を使用する調節卵巣刺激法
4 自然周期法と低卵巣刺激法(MOS)による体外受精
参考 クロミフェンとレトロゾール
5 ランダムスタートによる卵巣刺激法(ランダムスタート法)
第5章 体外受精の実際②採卵・精液採取
A 採卵の実際
B 精液の採取─夫の出番
1 精子の凍結保存
コメント 無精子症の場合の凍結精子
micro-TESEの実施
提供精子を用いた体外受精
第6章 体外受精の実際③媒精・顕微授精
A 卵子・精子の培養と受精
参考 受精方法と異常受精
B 顕微授精
1 顕微授精の進歩と適応
参考 顕微授精法の種類と変遷
参考 顕微授精についてのその他の知識
2 1日遅れの顕微授精(1 day old ICSI)
3 無精子症の場合
参考 その他の精子回収法
4 スプリット法
第7章 体外受精の実際④胚移植とその後
A 胚移植
コメント 胚移植の際に懸念されること
1 胚の分類と良好胚─どんな胚が着床しやすいか
参考 生殖補助医療に関する認定制度
参考 胚の生存能の評価
2 胚盤胞移植法(BT)
3 補助孵化─アシスティッドハッチング(AH)
4 子宮内膜の状態と着床との関係
5 反復着床障害と子宮内膜スクラッチによる着床促進
6 移植胚数についてのガイドライン
B 胚移植後の生活と黄体期の管理
1 胚移植後の日常生活
2 黄体期の管理
第8章 凍結融解胚移植法と臨床応用
A 胚の凍結保存
1 胚の凍結保存・融解法の問題点
2 胚を凍結保存した場合の奇形の頻度
B 卵子の凍結保存と倫理的問題
C 凍結保存卵巣組織移植による妊娠・出産
参考 凍結保存技術とがん治療
D 凍結融解胚移植の実際
1 整調な排卵周期を示す場合
コメント 凍結融解胚移植時の注意点
2 排卵障害を示す場合
第9章 不妊の原因となる重要疾患
A 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
1 治療方針
参考 多嚢胞性卵巣症候群とインスリン抵抗性への対策
2 生活習慣の改善
3 体外受精の適応
B 高プロラクチン血症
C クラミジア感染症
1 診断と治療
D 子宮筋腫
E 子宮形態異常
F 黄体機能不全
G 早発卵巣不全(POI)
コメント 早発閉経とは
H 子宮内膜症
コメント 子宮内膜症の疑いがあるときは
1 妊娠を希望する場合の治療法の選択
コメント チョコレート嚢胞の悪性化
2 体外受精の適応
I 男性不妊
参考 男性不妊の原因
コメント 精子力を高めるために
第10章 体外受精の問題点
A 卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の発生
1 卵巣過剰刺激症候群が起こりやすいタイプ
2 予防策
参考 コースティング法とは
B 多胎妊娠の発生
1 減胎手術とは
C 流産と異所性妊娠(子宮外妊娠)の発生
D 採卵後の合併症の発生
1 下腹部痛,発熱,出血
第11章 体外受精の治療成績と先天異常の発生
A 体外受精の成功とは─大切な生産分娩率の評価
B 日本の体外受精と傾向
1 顕微授精治療周期の増加
2 全胚凍結周期と凍結融解胚移植出生児の増加
参考 最近の日本におけるARTの動向
C 世界の体外受精
1 日本の体外受精の治療成績が低い理由
D 先天異常の頻度
参考 遺伝性疾患に関する用語
E 顕微授精による先天異常発生への影響
F 出生前診断
1 母体血清マーカー検査(トリプルマーカーテスト,クアトロテスト)
2 羊水検査─その安全性
3 母体血胎児染色体検査(NIPT)
G 着床前診断(PGD)と着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)
参考 着床前診断に関する見解
第12章 不育症
A 原 因
B 検 査
C 治 療
第13章 不妊症・体外受精に関するQ & A
1 不妊治療・体外受精の基礎知識について
Q1-1 不摂生な生活習慣と妊娠しにくいこととは関係がありますか?
Q1-2 体外受精を決心するタイミングを教えてください.
Q1-3 体外受精は1年間に何回受けられますか?
Q1-4 結婚して3年間妊娠しません.超音波検査を受けたところ,6~7cm程度のチョコレート嚢胞が見つかりました.腹腔鏡下手術をして自然妊娠を待つのと体外受精をするのとどちらがよいですか?
Q1-5 体外受精は何歳まで続けられますか?
2 卵巣予備能の検査について
Q2-1 抗ミュラー管ホルモン(AMH)を測ると予備能がわかると聞きましたが,抗ミュラー管ホルモンとは何ですか?
Q2-2 抗ミュラー管ホルモン値が極端に低いと,卵巣を刺激しても採卵できないのでしょうか?
Q2-3 抗ミュラー管ホルモン値と妊孕性は関係しますか?
Q2-4 抗ミュラー管ホルモンを測定して,閉経がいつ起こるか予測できますか?
Q2-5 20歳代に卵巣嚢腫で片側の卵巣を摘除しました.抗ミュラー管ホルモンが低下することはありますか?
Q2-6 抗ミュラー管ホルモンの測定には健康保険を使えますか?
3 自然周期での採卵について
Q3-1 自然周期での採卵をすすめられましたが,自然周期法とはどんなものですか?
Q3-2 この方法の問題点は何ですか?
Q3-3 この方法の長所は何ですか?
4 胚移植について
Q4-1 凍結融解胚移植はどのようなときに行うのですか?
Q4-2 自然周期で胚移植する方法とホルモン補充周期で胚移植する方法があると聞きましたが,それぞれの長所や短所は何ですか?
5 着床障害について
Q5-1 着床障害にはどんな原因があるのですか?
Q5-2 繰り返す着床障害(反復着床障害)の場合,分割胚移植よりも胚盤胞移植の方が着床率は高まりますか?
Q5-3 反復着床障害の場合,補助孵化(アシスティッドハッチング[AH])を行うと着床率が高まりますか?
6 不妊治療・体外受精における問題点について
Q6-1 不妊治療中なのですが,セックスレスになってしまいました.どうしたらよいでしょうか?
Q6-2 体外受精と卵巣がんの発生とに関係はありますか?
Q6-3 顕微授精で生まれた赤ちゃんに異常が起こることはありませんか?
Q6-4 体外受精を試みていますが,なかなか妊娠しません.どのような原因が考えられますか?
参考 BMI(body mass index)
Q6-5 不妊治療をやめるのはどのようなときですか?
参考 不妊治療を終わりにするときの動機
第14章 体外受精の社会的問題と未来への展望
A 卵子・精子・胚の非配偶者からの提供と代理出産による体外受精
1 卵子・精子・胚提供による体外受精
2 代理出産
参考 日本における代理出産に関する議論
3 子宮移植による出産
B 体外受精の経済学
1 体外受精の費用
2 不妊治療に対する公的助成制度
3 不妊専門相談センターの設置
C 体外受精の未来への展望
1 老化卵子に対する若返り法はあるのか
2 卵子の凍結保存
3 卵巣組織の凍結と移植─妊孕性保存の救世主となり得るか
4 再生医療の導入
おわりに
引用・参考文献
参考資料
知っておきたい不妊治療関連の略語
索 引
第1章 不妊症とは
A 不妊症の定義と実態
参考 海外の学会などによる不妊症の定義
1 年齢とともに高まる不妊症の頻度
2 不妊症の原因としての環境汚染
3 性の乱れが及ぼす影響
4 高まる晩婚化の影響と高齢妊娠
コメント 結婚前にライフプランを立てておきましょう
B 不妊症の治療はどのように進歩したか
C 不妊症の原因となる疾患─どんな疾患が増えているのか
第2章 不妊症の基本的な検査と体外受精に必要な検査
A 女性側の一般的な検査
1 基礎体温測定
2 卵管疎通性検査
3 経腟超音波検査
4 超音波下子宮造影検査
5 ヒューナーテスト(性交後検査)
6 抗精子抗体検査
7 ホルモン検査
参考 甲状腺機能の異常を疑う所見
B 女性側の特殊検査
1 子宮鏡検査(ヒステロスコピー)
2 腹腔鏡検査
3 卵管鏡検査と卵管鏡下卵管形成術(FT)
4 糖負荷とインスリンの測定
5 自己免疫疾患,血液の凝固異常の検査
6 夫婦の染色体と遺伝子の検査
C 男性側の検査と治療
1 精液の検査
2 その他の精子機能検査
参考 特殊な精子機能検査
3 男性不妊の治療
4 人工授精(IUI)とは
コメント 人工授精(IUI)の種類と方法
人工授精のタイミング
人工授精の手順
女性性管内での精子と卵子の寿命
第3章 体外受精・胚移植法とは
A 体外受精の定義と適応
コメント 生殖補助医療(ART)とは
1 体外受精を受ける前に
コメント 体外受精を決心する前に
2 体外受精の適応
B 採卵前に必要な検査
C 体外受精の流れ
第4章 体外受精の実際①調節卵巣刺激(COS)とは
A なぜ卵巣刺激を行うのか
B 卵巣刺激法の選択に必要な卵巣予備能の検
1 抗ミュラー管ホルモン(AMH)の測定
参考 抗ミュラー管ホルモン(AMH)の特徴
2 卵胞刺激ホルモン(FSH)の測定
3 インヒビンβの測定
4 胞状卵胞数(AFC)の測定
C 抗ミュラー管ホルモン(AMH)値を参考にした卵巣刺激法
D 卵巣刺激法の種類と方法
1 GnRHアゴニストを使用する調節卵巣刺激法
参考 GnRHアゴニスト使用時に知っておくべきこと
2 GnRHアンタゴニストを使用する調節卵巣刺激法
コメント hCG剤に代わってGnRHアゴニストをトリガーに用いる利点
3 黄体ホルモン剤を使用する調節卵巣刺激法
4 自然周期法と低卵巣刺激法(MOS)による体外受精
参考 クロミフェンとレトロゾール
5 ランダムスタートによる卵巣刺激法(ランダムスタート法)
第5章 体外受精の実際②採卵・精液採取
A 採卵の実際
B 精液の採取─夫の出番
1 精子の凍結保存
コメント 無精子症の場合の凍結精子
micro-TESEの実施
提供精子を用いた体外受精
第6章 体外受精の実際③媒精・顕微授精
A 卵子・精子の培養と受精
参考 受精方法と異常受精
B 顕微授精
1 顕微授精の進歩と適応
参考 顕微授精法の種類と変遷
参考 顕微授精についてのその他の知識
2 1日遅れの顕微授精(1 day old ICSI)
3 無精子症の場合
参考 その他の精子回収法
4 スプリット法
第7章 体外受精の実際④胚移植とその後
A 胚移植
コメント 胚移植の際に懸念されること
1 胚の分類と良好胚─どんな胚が着床しやすいか
参考 生殖補助医療に関する認定制度
参考 胚の生存能の評価
2 胚盤胞移植法(BT)
3 補助孵化─アシスティッドハッチング(AH)
4 子宮内膜の状態と着床との関係
5 反復着床障害と子宮内膜スクラッチによる着床促進
6 移植胚数についてのガイドライン
B 胚移植後の生活と黄体期の管理
1 胚移植後の日常生活
2 黄体期の管理
第8章 凍結融解胚移植法と臨床応用
A 胚の凍結保存
1 胚の凍結保存・融解法の問題点
2 胚を凍結保存した場合の奇形の頻度
B 卵子の凍結保存と倫理的問題
C 凍結保存卵巣組織移植による妊娠・出産
参考 凍結保存技術とがん治療
D 凍結融解胚移植の実際
1 整調な排卵周期を示す場合
コメント 凍結融解胚移植時の注意点
2 排卵障害を示す場合
第9章 不妊の原因となる重要疾患
A 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)
1 治療方針
参考 多嚢胞性卵巣症候群とインスリン抵抗性への対策
2 生活習慣の改善
3 体外受精の適応
B 高プロラクチン血症
C クラミジア感染症
1 診断と治療
D 子宮筋腫
E 子宮形態異常
F 黄体機能不全
G 早発卵巣不全(POI)
コメント 早発閉経とは
H 子宮内膜症
コメント 子宮内膜症の疑いがあるときは
1 妊娠を希望する場合の治療法の選択
コメント チョコレート嚢胞の悪性化
2 体外受精の適応
I 男性不妊
参考 男性不妊の原因
コメント 精子力を高めるために
第10章 体外受精の問題点
A 卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の発生
1 卵巣過剰刺激症候群が起こりやすいタイプ
2 予防策
参考 コースティング法とは
B 多胎妊娠の発生
1 減胎手術とは
C 流産と異所性妊娠(子宮外妊娠)の発生
D 採卵後の合併症の発生
1 下腹部痛,発熱,出血
第11章 体外受精の治療成績と先天異常の発生
A 体外受精の成功とは─大切な生産分娩率の評価
B 日本の体外受精と傾向
1 顕微授精治療周期の増加
2 全胚凍結周期と凍結融解胚移植出生児の増加
参考 最近の日本におけるARTの動向
C 世界の体外受精
1 日本の体外受精の治療成績が低い理由
D 先天異常の頻度
参考 遺伝性疾患に関する用語
E 顕微授精による先天異常発生への影響
F 出生前診断
1 母体血清マーカー検査(トリプルマーカーテスト,クアトロテスト)
2 羊水検査─その安全性
3 母体血胎児染色体検査(NIPT)
G 着床前診断(PGD)と着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)
参考 着床前診断に関する見解
第12章 不育症
A 原 因
B 検 査
C 治 療
第13章 不妊症・体外受精に関するQ & A
1 不妊治療・体外受精の基礎知識について
Q1-1 不摂生な生活習慣と妊娠しにくいこととは関係がありますか?
Q1-2 体外受精を決心するタイミングを教えてください.
Q1-3 体外受精は1年間に何回受けられますか?
Q1-4 結婚して3年間妊娠しません.超音波検査を受けたところ,6~7cm程度のチョコレート嚢胞が見つかりました.腹腔鏡下手術をして自然妊娠を待つのと体外受精をするのとどちらがよいですか?
Q1-5 体外受精は何歳まで続けられますか?
2 卵巣予備能の検査について
Q2-1 抗ミュラー管ホルモン(AMH)を測ると予備能がわかると聞きましたが,抗ミュラー管ホルモンとは何ですか?
Q2-2 抗ミュラー管ホルモン値が極端に低いと,卵巣を刺激しても採卵できないのでしょうか?
Q2-3 抗ミュラー管ホルモン値と妊孕性は関係しますか?
Q2-4 抗ミュラー管ホルモンを測定して,閉経がいつ起こるか予測できますか?
Q2-5 20歳代に卵巣嚢腫で片側の卵巣を摘除しました.抗ミュラー管ホルモンが低下することはありますか?
Q2-6 抗ミュラー管ホルモンの測定には健康保険を使えますか?
3 自然周期での採卵について
Q3-1 自然周期での採卵をすすめられましたが,自然周期法とはどんなものですか?
Q3-2 この方法の問題点は何ですか?
Q3-3 この方法の長所は何ですか?
4 胚移植について
Q4-1 凍結融解胚移植はどのようなときに行うのですか?
Q4-2 自然周期で胚移植する方法とホルモン補充周期で胚移植する方法があると聞きましたが,それぞれの長所や短所は何ですか?
5 着床障害について
Q5-1 着床障害にはどんな原因があるのですか?
Q5-2 繰り返す着床障害(反復着床障害)の場合,分割胚移植よりも胚盤胞移植の方が着床率は高まりますか?
Q5-3 反復着床障害の場合,補助孵化(アシスティッドハッチング[AH])を行うと着床率が高まりますか?
6 不妊治療・体外受精における問題点について
Q6-1 不妊治療中なのですが,セックスレスになってしまいました.どうしたらよいでしょうか?
Q6-2 体外受精と卵巣がんの発生とに関係はありますか?
Q6-3 顕微授精で生まれた赤ちゃんに異常が起こることはありませんか?
Q6-4 体外受精を試みていますが,なかなか妊娠しません.どのような原因が考えられますか?
参考 BMI(body mass index)
Q6-5 不妊治療をやめるのはどのようなときですか?
参考 不妊治療を終わりにするときの動機
第14章 体外受精の社会的問題と未来への展望
A 卵子・精子・胚の非配偶者からの提供と代理出産による体外受精
1 卵子・精子・胚提供による体外受精
2 代理出産
参考 日本における代理出産に関する議論
3 子宮移植による出産
B 体外受精の経済学
1 体外受精の費用
2 不妊治療に対する公的助成制度
3 不妊専門相談センターの設置
C 体外受精の未来への展望
1 老化卵子に対する若返り法はあるのか
2 卵子の凍結保存
3 卵巣組織の凍結と移植─妊孕性保存の救世主となり得るか
4 再生医療の導入
おわりに
引用・参考文献
参考資料
知っておきたい不妊治療関連の略語
索 引
序文
2010年に『未来の赤ちゃんに出会うために─不妊治療・体外受精のすすめ』を出版してから9年が経過しました.本書は,不妊に悩むカップルの診察を通して感じたことや,体外受精について必要とされる知識・情報を,わかりやすく解説しながらまとめたものです.出版後,多くの方々のご支援を得て,2015年には若干の新しい知見と修正を加えて改訂2版を出すことができました.
しかし,その後も生殖医療分野の進歩は目覚ましく,新しい出生前診断(母体血胎児染色体検査[NIPT])や着床前遺伝子診断およびスクリーニング,卵子・卵巣の凍結法の改良,抗ミュラー管ホルモン(AMH)測定の臨床応用面での普及,子宮移植などの革新的な技術が次々に発表されてきました.一方,第三者の卵子・精子の提供を受けたり,第三者に妊娠・出産を依頼する代理出産はどこまで許容されるのか,新たな社会的・倫理的問題も出てきました.
振り返ってみると,日本の生殖医療は世界の進歩に合わせて発展してきました.体外受精の実施回数はアメリカを抜き世界第1位となり,2016年にはおよそ5万4,000人の赤ちゃんが生まれています.しかし,その治療成績は必ずしも世界に誇り得る満足できるものではありません.
そこには,社会的・教育的問題がみえてきます.晩婚と晩産化は日本の少子化の最大の問題であるとともに,不妊治療においても加齢は妊娠・出産を阻む最大の壁となっています.妊娠・出産を希望する年齢が先進国の中で最も遅く,中学校・高校での保健体育の授業における妊娠・分娩についての教育不足が指摘されています.
また,不妊治療と仕事の両立に悩む女性も多く,経済的負担も少なくありません.社会が一丸となり,これらの問題を一刻も早く克服して,赤ちゃん誕生のための力強いサポート体制が構築されることを期待したいものです.
体外受精を考えられて本書を手に取ってくださった方々が,余計な不安に惑わされることなく,心にゆとりと希望をもって治療に臨まれ,かわいい赤ちゃんをその胸に抱かれる日が来ることを願っています.
2019年3月
成田 収
しかし,その後も生殖医療分野の進歩は目覚ましく,新しい出生前診断(母体血胎児染色体検査[NIPT])や着床前遺伝子診断およびスクリーニング,卵子・卵巣の凍結法の改良,抗ミュラー管ホルモン(AMH)測定の臨床応用面での普及,子宮移植などの革新的な技術が次々に発表されてきました.一方,第三者の卵子・精子の提供を受けたり,第三者に妊娠・出産を依頼する代理出産はどこまで許容されるのか,新たな社会的・倫理的問題も出てきました.
振り返ってみると,日本の生殖医療は世界の進歩に合わせて発展してきました.体外受精の実施回数はアメリカを抜き世界第1位となり,2016年にはおよそ5万4,000人の赤ちゃんが生まれています.しかし,その治療成績は必ずしも世界に誇り得る満足できるものではありません.
そこには,社会的・教育的問題がみえてきます.晩婚と晩産化は日本の少子化の最大の問題であるとともに,不妊治療においても加齢は妊娠・出産を阻む最大の壁となっています.妊娠・出産を希望する年齢が先進国の中で最も遅く,中学校・高校での保健体育の授業における妊娠・分娩についての教育不足が指摘されています.
また,不妊治療と仕事の両立に悩む女性も多く,経済的負担も少なくありません.社会が一丸となり,これらの問題を一刻も早く克服して,赤ちゃん誕生のための力強いサポート体制が構築されることを期待したいものです.
体外受精を考えられて本書を手に取ってくださった方々が,余計な不安に惑わされることなく,心にゆとりと希望をもって治療に臨まれ,かわいい赤ちゃんをその胸に抱かれる日が来ることを願っています.
2019年3月
成田 収
書評
菅沼信彦 先生(京都大学 名誉教授/名古屋学芸大学看護学部 教授)
長年にわたり、そして現在もなお、不妊治療の第一線で活躍する著者が、これまでの豊富な臨床経験に裏打ちされた不妊症診療のすべての知識を注ぎ込み、2010年に本書「体外受精のすすめ」の初版を発刊した。タイトルにある体外受精のほかに、内容は不妊症全般から生殖補助医療の新たな情報も記載されていた。一般書でありながらも専門的かつ高度な内容は、不妊に悩む人々の切なる要望に応えたものとして広く受け入れられ、本書は多くの読者と好評を得た。
2015年の改訂2版に続き、今回の改訂3版では最新の情報に基づき、生殖補助医療の臨床実績の修正に加えて、ランダムスタート法、反復着床障害への対応、がん生殖医療を鑑みた未受精卵/卵巣組織凍結保存、わが国における全胚凍結‐単一胚移植の増加、着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)など、現状の新たな展開も紹介されている。現在の不妊症診療の現場では、これらの新技術が次々と臨床適用されており、読者への情報提供には常にアップデートされたものが必須となる。今回の改訂3版においても、その要望に十分に応えた内容となっている。また配偶子提供や代理懐胎、子宮移植などの第三者が関与する生殖医療の社会的・倫理的側面にまで言及している。
昨今、不妊症関連の出版物は数多い。中には不妊患者の受診のためのハウツウ本であったり、そのための特定のクリニック紹介が主となるものが見受けられるが、本書はそれらとは一線を画し、純粋な医学的立場から不妊治療の実際を明示している。本書には文章の記述を具体的に理解し、考察をより深めるための図表がバリエーションに富んで配置されているが、その多くが、学術的根拠を持つ文献より正確に引用されている。この真摯な姿勢は、著者の科学者としての高い理念と長い経験により導き出されたものであろう。
また、各専門分野の複数の筆者による共著本とは異なり、一人の著者が書き上げた本書は統一性があり、たいへん読みやすいものとなっている。そして、著者の広範な知識と不妊治療にかける情熱を帯びた文章によって、読み進めるうちに文中に引き込まれ、同時に理解も深まっていく。本書の随所には、前後の文脈に照らして適切に配置された「参考」という追加の詳しい情報や解説と、著者からの具体的な「コメント」があり、より実践的な内容となっている。後半にまとめられた「不妊症・体外受精に関するQ&A」は、著者の考えを垣間見ることができて非常に興味深く、また、不妊状況の各々の具体的ポイントを捉えることを容易にしており、読者には親切な構成となっている。
このように本書は、記載内容が高度であるにもかかわらず読破に困難さは感じられず、一般書として「不妊治療・体外受精」について正確に必要な情報を十分に理解することができる。よって不妊患者のみならず、生殖医療を志す医師、胚培養士、看護師などの医療関係者にも、不妊症診療の入門書として是非一読いただきたい名著である。
長年にわたり、そして現在もなお、不妊治療の第一線で活躍する著者が、これまでの豊富な臨床経験に裏打ちされた不妊症診療のすべての知識を注ぎ込み、2010年に本書「体外受精のすすめ」の初版を発刊した。タイトルにある体外受精のほかに、内容は不妊症全般から生殖補助医療の新たな情報も記載されていた。一般書でありながらも専門的かつ高度な内容は、不妊に悩む人々の切なる要望に応えたものとして広く受け入れられ、本書は多くの読者と好評を得た。
2015年の改訂2版に続き、今回の改訂3版では最新の情報に基づき、生殖補助医療の臨床実績の修正に加えて、ランダムスタート法、反復着床障害への対応、がん生殖医療を鑑みた未受精卵/卵巣組織凍結保存、わが国における全胚凍結‐単一胚移植の増加、着床前胚染色体異数性検査(PGT-A)など、現状の新たな展開も紹介されている。現在の不妊症診療の現場では、これらの新技術が次々と臨床適用されており、読者への情報提供には常にアップデートされたものが必須となる。今回の改訂3版においても、その要望に十分に応えた内容となっている。また配偶子提供や代理懐胎、子宮移植などの第三者が関与する生殖医療の社会的・倫理的側面にまで言及している。
昨今、不妊症関連の出版物は数多い。中には不妊患者の受診のためのハウツウ本であったり、そのための特定のクリニック紹介が主となるものが見受けられるが、本書はそれらとは一線を画し、純粋な医学的立場から不妊治療の実際を明示している。本書には文章の記述を具体的に理解し、考察をより深めるための図表がバリエーションに富んで配置されているが、その多くが、学術的根拠を持つ文献より正確に引用されている。この真摯な姿勢は、著者の科学者としての高い理念と長い経験により導き出されたものであろう。
また、各専門分野の複数の筆者による共著本とは異なり、一人の著者が書き上げた本書は統一性があり、たいへん読みやすいものとなっている。そして、著者の広範な知識と不妊治療にかける情熱を帯びた文章によって、読み進めるうちに文中に引き込まれ、同時に理解も深まっていく。本書の随所には、前後の文脈に照らして適切に配置された「参考」という追加の詳しい情報や解説と、著者からの具体的な「コメント」があり、より実践的な内容となっている。後半にまとめられた「不妊症・体外受精に関するQ&A」は、著者の考えを垣間見ることができて非常に興味深く、また、不妊状況の各々の具体的ポイントを捉えることを容易にしており、読者には親切な構成となっている。
このように本書は、記載内容が高度であるにもかかわらず読破に困難さは感じられず、一般書として「不妊治療・体外受精」について正確に必要な情報を十分に理解することができる。よって不妊患者のみならず、生殖医療を志す医師、胚培養士、看護師などの医療関係者にも、不妊症診療の入門書として是非一読いただきたい名著である。