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カテゴリー: 放射線医学/核医学

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診療放射線技術選書

医用画像情報学

改訂4版

帝京大学福岡医療技術学部 教授 桂川茂彦 編

定価

3,630(本体 3,300円 +税10%)


  • A5判  344頁
  • 2020年3月 発行
  • ISBN 978-4-525-27934-9

支持されている定番書、デジタル画像評価を加えた最新改訂

診療放射線技師を目指す学生のための定番教科書.医用画像情報学の授業内容に対応した目次立てになっており,必須知識を偏りなく得ることができる.今回の改訂では,より時代に即した教科書とするべく,第4章「画像の評価」ではアナログからデジタルへの大幅な書き換えを行った.さらに医用画像に対する深層学習の応用についても触れている.

  • 目次
  • 序文
目次
1章 医用画像情報学とは
 A.医用画像の歴史
 B.本書で扱う医用画像情報学の範囲

2章 フーリエ変換
 A.空間周波数とは
 B.フーリエ級数展開とフーリエ変換
  1.周期関数とフーリエ級数
  2.フーリエ変換とその性質
 C.フーリエ変換の応用
  1.方形パルスのフーリエ変換
  2.デルタ関数のフーリエ変換
  3.デルタ関数列のフーリエ変換
  4.線形システム応答
  5.二次元ディジタル画像の離散フーリエ変換

3章 X線画像の形成
 A.画像形成と診断
  1.画像形成
  2.X線画像診断
 B.アナログ画像の形成
  1.画像形成過程
  2.画質に影響する因子
 C.ディジタル画像の形成
  1.ディジタル系における画像形成装置
  2.ディジタル化
  3.標本化
  4.量子化
  5.画像のディジタル化と画質
  6.画像のデータ量
  7.CRにおける画像形成
  8.FPDにおける画像形成

4章 画像の評価
 A.入出力特性
  1.X線TV系の入出力特性
  2.ディジタルX線画像システムの入出力特性
 B.入出力特性の測定法
 C.解像特性
  1.空間領域における評価
  2.広がり関数
  3.MTFの定義と測定法
 D.ノイズ特性
  1.画像におけるノイズの影響
  2.X線光子の統計的な性質
  3.ノイズ特性の評価法
  4.ディジタルX線画像システムのノイズ特性の評価
 E.DQE
 F.主観的評価法
  1.ファントム像を用いた視覚評価
  2.2肢強制選択法と一対比較法
  3.ROC解析による診断能の評価

5章 ディジタル画像処理
 A.ディジタル画像ファイル
  1.ビットとバイト
  2.画像ファイルの構成
  3.文字列のテキスト形式表現
  4.数値のバイナリ形式表現
  5.DICOMファイルフォーマット
 B.フィルタリング
  1.空間フィルタリング
  2.空間周波数フィルタリング
 C.画像診断で使われる画像処理技術
  1.階調処理
  2.ボケマスク処理
  3.サブトラクション処理
  4.骨陰影抑制処理
  5.散乱線補正処理
 D.しきい値処理
  1.2値化のためのしきい値決定法
  2.連結成分のラベリング

6章 コンピュータ支援診断(CAD)
 A.コンピュータ支援診断とは
  1.基本概念
  2.CADの歴史
  3.CADの新潮流
 B.乳房X線写真のコンピュータ支援診断
  1.マンモグラフィ検査とCAD
  2.マンモグラフィCADシステムの概要
  3.ディープラーニングによるCAD
  4.CADシステムの性能評価
  5.乳腺濃度評価
 C.胸部単純X線写真のコンピュータ支援診断
  1.結節状陰影の検出
  2.間質性肺疾患の検出
  3.CT画像における胸部CAD
  4.ディープラーニングの応用

7章 医療情報システム
 A.医用画像管理システム(PACS)
  1.PACSの目的
  2.PACSの歴史
  3.画像の規格DICOM
  4.PACS構成要素
  5.PACSの規模
  6.画像表示モニター
  7.関連法令
 B.放射線情報システム(RIS)
 C.病院情報システム(HIS)
  1.HISの目的
  2.HISの機能
  3.システムの統合化
  4.診療データの活用
  5.データ交換のための規格
 D.遠隔画像診断(テレラジオロジー)と地域医療連携
  1.目 的
  2.方 法
  3.遠隔画像診断サービス
 E.情報システムの構築・プロジェクトマネジメント
  1.システム構築の必要性
  2.プロジェクトマネジメントとは
  3.アプローチ方法の選択
  4.目的の明確化
  5.人選・組織体制づくり
  6.現状の評価分析を行う
  7.システム・アーキテクチャの策定を行う
  8.導入案の作成を行う
  9.導入後の運用
 F.個人情報保護と情報セキュリティ
  1.情報セキュリティの重要性
  2.個人情報保護法(個人情報の保護に関する法律)
  3.情報セキュリティ対策
  4.セキュリティ管理
  5.何をしなければならないか


 参考文献
日本語索引
外国語索引
序文
 改訂3版の出版から5年が経過し元号も令和に改元された.この間の科学技術の進歩は急速で,ロボット工学,人工知能,ナノテクノロジー,量子コンピュータ,生命科学,生物工学,超高速インターネットなどのキーワードを含んだ第四次産業革命が起こりつつあるとも云われている.これらの技術の進歩は本書「医用画像情報学」の分野にも大きな影響を与えており,時代に沿わず古くなった項目は修正・削除し,また,新たに必要となった項目は追加して改訂4版を出版することになった.
 まず,「4章 画像の評価」は大きく改訂した.近年の撮影装置のほとんどがアナログからディジタルに置き換わっていたが,画像の物理的評価の基礎はアナログ写真にあることから,改訂3版まではアナログ画像の画像評価とディジタル画像の画像評価を同じ重みで並列に記述していた.しかし,これからの学生諸君はアナログフィルムを見る機会もなくなったことから,改訂4版ではディジタル画像の評価を中心に記述することにした.ディジタルの評価の理解に必要なアナログ画像に関する重要事項は脚注に説明するに留めている.また,ROC解析に代表される画像の主観的評価は,画像診断の多様化に伴い重要性が増加している.後でも述べる人工知能(artificial intelligence, AI)を用いたコンピュータ支援診断(computer?aided diagnosis,CAD)の進歩が報告されている中,実際に臨床に応用するためにはAIを用いた診断と用いない診断の正確さを比較する必要があり,その時にROC解析は大きな力を発揮する.したがって,ROC解析を含む主観的評価は従来よりも詳細で実用的な記述となっている.
 AI技術の進歩は驚異的で,いくつかの分野ではすでに人間の能力を超えてしまっている.医用画像の分野でも応用が始まっていて,CT画像の雑音,アーチファクトを抑制するためにAI技術(ディープラーニング)を利用した商用機の普及が始まっている.ディープラーニングを利用した畳み込むニューラルネットワークは,画像の分類,対象とするオブジェクトの検出に優れており,車の自動運転の核心技術となっている.画像の分類やオブジェクトの検出は,医用画像における病気の分類(診断)や病巣陰影の検出に利用することが可能なので,AIを用いた新しいCADの展開が始まっている.したがって,改訂4版では「6章 コンピュータ支援診断(CAD)」にディープラーニングおよびそれを利用したCADに関する記述を追加している.さらに,医療情報システムに関する領域はIT技術の継続する進歩に伴い,新しい展開を見せているので必要な改訂を行っている.
 本書で扱う医用画像情報学には,画像の成り立ち,画像の評価,画像処理,CAD,医療情報システムの,画像の基本的事項から高度な応用までが含まれている.この分野の各領域の技術進歩は前にも述べたように急速ではあるが,本書で記述した各領域の基本概念をしっかりと理解すればどのような急速な進歩にも対応できると考えている.

2020年1月
桂川茂彦
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