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カテゴリー: 臨床薬学

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マナビジュアルノート

がん薬物療法 副作用対策&曝露対策

1版

国際医療福祉大学病院 薬剤部長/国際医療福祉大学薬学部 准教授
佐藤淳也 著
前 同志社女子大学薬学部 教授 中西弘和 著
金沢大学医薬保健研究域薬学系 准教授 菅 幸生 著
同志社女子大学薬学部 教授 内田まやこ 著

定価

3,630(本体 3,300円 +税10%)


  • AB判  203頁
  • 2021年4月 発行
  • ISBN 978-4-525-70531-2

ビジュアルで要点整理!
がん薬物療法の副作用マネジメント

薬剤師が臨床現場で求められる「がん薬物療法の副作用マネジメント・抗がん薬の曝露防止対策」でこれだけは押さえてほしい知識・スキルをまとめた入門書.カラー図表1枚と簡潔な解説で1ページが構成され,入門講義を受けている感覚で読み進められる.

  • 序文
  • 目次
  • 書評1
  • 書評2
序文
 がん薬物療法の成否は,支持療法の成否といって過言ではない.どんなに有効な抗がん薬も,そして個別化,分子標的化が進む化学療法も副作用は少なくない.我々がんに関わる薬剤師は,薬を用いて薬の副作用を制してきた.それが支持療法である.
 がん医療に携わる薬剤師の役割は,まず支持療法に精通し,これを実践することであろう.がん専門薬剤師認定制度ができた黎明期(今から15年くらい前)には,支持療法に関する情報はきわめて少なかった.そのため,Evidenceが不明瞭な慣習的方法が臨床上見受けられたこともあった.著者自身,情報が少ないなかで試行錯誤を繰り返しながら支持療法の処方を提案していたことを記憶している.著者の経験からは,こうして,実践経験を積んだがん専門薬剤師は,院内外で専門家としてオーソライズされてくる.それとともに,支持療法の実践者の立場から教育者としての立場も増えてくる.悩みながら,よく学び,よく考えてきた薬剤師は,その経験を生かし,わかりやすく教えられるからである.
 今回,がん専門薬剤師あるいはがん医療の先端を走ってきた4名の著者は,考えた.学ぶ側の視点のみならず,いざ教える立場の薬剤師の視点でつくった教科書が必要であると.そして,教育者として,どのような教科書が使いやすいかという点に着目し,視覚的に学べる教科書「マナビジュアルノート」を企画した.伝えるべき重要なエッセンスが明確となるよう,またスライド作成などのヒントとなるよう,1テーマを1枚のスライドと簡潔な解説で構成した.内容には,経験豊富な4名の著者が,実際に日々の講義などで使用しているスライドをふんだんに持ち込み,我々の思いを集約して編纂した一冊である.がん医療およびその教育に従事してきた薬剤師の豊富な経験が,がんの支持療法の教育の推進につながることを期待している.そして,読者のみならず,これを活用した教育現場において,本書「マナビジュアルノート」による“学び”が患者に還元されることを願っている.

2021年早春
著者を代表して
佐藤淳也
目次
第1章 「がん薬物療法」総論

01 学習目標
02 がん細胞の特徴
03 がんの病期分類
04 がんの治療法
05 がん薬物療法の目的
06 がん薬物療法の基本
07 抗がん薬の種類①:細胞障害性抗がん薬
08 抗がん薬の種類②:分子標的薬
09 抗がん薬の種類③:免疫チェックポイント阻害薬
10 抗がん薬の種類④:ホルモン薬
11 抗がん薬を使用する際の注意点
12 がん薬物療法実施に備えた確認事項
13 抗がん薬の投与量決定
14 抗がん薬の投与量調節に影響する因子
15 抗がん薬の副作用と出現時期
16 抗がん薬の副作用評価基準
17 抗がん薬を安全に使用するために
確認問題


第2章 消化器毒性

01 学習目標
02 悪心・嘔吐の発現機序
03 悪心・嘔吐の発現時系列と関連する神経伝達物質
04 悪心・嘔吐の発現時期による分類と発現リスク因子
05 注射抗がん薬の催吐性リスク分類
06 注射抗がん薬に対する制吐療法
07 経口抗がん薬の催吐性リスク分類
08 経口抗がん薬に対する制吐療法
09 制吐薬①:5-HT3受容体拮抗薬
10 制吐薬②:NK1受容体拮抗薬
11 制吐薬③:副腎皮質ステロイド
12 副腎皮質ステロイドの減量(steroid sparing)
13 制吐薬としてのオランザピン
14 放射線治療に伴う悪心・嘔吐
15 便秘・下痢の評価基準と重症度分類
16 便秘の発現機序と誘発しやすい抗がん薬
17 便秘への対処法
18 下痢の発現機序と誘発しやすい抗がん薬
19 下痢への対処法
確認問題・症例


第3章 血液毒性

01 学習目標
02 血球のはたらきと骨髄抑制
03 好中球減少症の発現時期と対応
04 発熱性好中球減少症
05 主要な化学療法とFN発症頻度
06 重症化リスクの評価(MASCCスコア)
07 FN発現時の初期マネジメント
08 G-CSF製剤の特徴
09 G-CSF製剤の投与方法
10 予防的G-CSF製剤投与の必要性評価
11 血小板減少症の発現時期と対応
12 血小板減少の評価基準
13 貧血(赤血球減少)の発現時期と対応
14 貧血(赤血球減少)の評価基準
確認問題・症例


第4章 皮膚障害

01 学習目標
02 抗がん薬使用時の主な皮膚障害
03 EGFR阻害薬による皮膚障害
04 EGFR阻害薬による皮膚障害の発現時期
05 EGFR阻害薬使用時の予防的スキンケア
06 分子標的薬による皮膚障害への対応
07 フッ化ピリミジン系薬による手足症候群
08 フッ化ピリミジン系薬による手足症候群の予防と対応
09 流涙症・結膜炎・色素沈着
10 脱毛
11 免疫チェックポイント阻害薬による皮膚障害
12 放射線皮膚炎の症状と治療
13 スキンケアの基本
14 外用剤の至適使用量
確認問題・症例


第5章 神経障害

01 学習目標
02 がん薬物療法に伴う神経障害
03 中枢神経障害の発現機序と症状
04 末梢神経障害の原因とリスク因子
05 末梢神経障害の分類
06 末梢神経障害の症状と原因となる主な薬剤
07 末梢神経障害の評価
08 微小管阻害薬の特徴
09 白金製剤の特徴
10 プロテアソーム阻害薬の特徴
11 末梢神経障害の予防薬と治療薬
12 日常生活上の工夫
確認問題・症例


第6章 血管外漏出

01 学習目標
02 抗がん薬の血管外漏出とは?
03 血管外漏出のリスク因子
04 抗がん薬による組織障害:リスクによる分類
05 抗がん薬投与時の注意点(局所障害の予防)
06 血管外漏出時の対応
07 血管外漏出時に投与できる薬剤:デクスラゾキサン
08 血管外漏出の実例:壊死性抗がん薬による皮膚潰瘍
09 血管外漏出に似ている症状
10 血管痛・静脈炎の原因
11 静脈炎の発現率と投与時間
12 静脈炎を予防・軽減するための投与法
13 静脈炎軽減のためのpH調整
14 ガラス・ゴム片と輸液フィルターによる静脈炎発生頻度
15 輸液フィルターの使用が好ましくない薬剤
確認問題・症例


第7章 口腔粘膜炎・口腔ケア

01 学習目標
02 口腔粘膜炎の病態と発現時期
03 口腔内障害の好発部位と発現時期
04 口腔粘膜炎の重症度評価
05 口腔粘膜炎と感染症
06 口腔粘膜炎のリスク因子
07 口腔粘膜炎が発現しやすい主な抗がん薬
08 細胞障害性抗がん薬による口腔粘膜炎の発現機序
09 放射線療法による口腔粘膜炎の発現機序
10 がん治療に伴う粘膜障害に対する望ましい介入
11 がん治療に伴う粘膜障害に対する望ましくない介入
12 口腔乾燥症の原因となる主な薬剤
13 口腔粘膜炎の予防的対応
14 口腔粘膜炎の治療
15 口腔ケアの効果
確認問題・症例


第8章 免疫チェックポイント阻害薬特有の副作用

01 学習目標
02 抗CTLA-4抗体薬
03 抗PD-1抗体薬と抗PD-L1抗体薬
04 有効性(ニボルマブ)
05 免疫チェックポイント阻害薬の併用と有害事象発現リスク
06 免疫関連有害事象(irAE)とは?
07 細胞障害性抗がん薬との有害事象の違い
08 有害事象の特徴
09 有害事象の発現時期(イピリムマブ)
10 irAEにより引き起こされる皮膚障害
11 irAEにより引き起こされる肺障害
12 ニボルマブによる肺障害
13 irAEにより引き起こされる肝障害
14 ニボルマブによる肝障害
15 irAEにより引き起こされる大腸炎・下痢
16 ニボルマブによる大腸炎・下痢
17 irAEにより引き起こされる神経障害・筋障害
18 irAEにより引き起こされる1型糖尿病,甲状腺機能障害
19 ステロイド不応性・難治性のirAEに対する治療
確認問題・症例


第9章 その他の副作用

01 学習目標
02 インフュージョンリアクション
03 B型肝炎ウイルス再燃のリスク
04 B型肝炎ウイルス再燃対策
05 腫瘍崩壊症候群の発生頻度
06 腫瘍崩壊症候群の診断基準
07 腫瘍崩壊症候群の予防と治療
08 出血性膀胱炎ーシクロホスファミドとイホスファミドによる誘発ー
09 シスプラチンによる腎障害
10 白金製剤による副作用の比較
11 メトトレキサートによる腎障害
12 分子標的薬(VEGF阻害薬)による蛋白尿
13 分子標的薬(VEGF阻害薬)による高血圧
14 アントラサイクリン系薬による心毒性
15 ブレオマイシンによる肺毒性
16 イリノテカンによる下痢
17 イリノテカンの代謝経路
確認問題・症例


第10章 抗がん薬の曝露防止対策

01 学習目標
02 曝露を避けるべき薬剤(hazardous drugs)
03 hazardous drugsによる健康被害
04 抗がん薬による発がんリスク
05 抗がん薬の曝露によるリスク
06 どのような経路から曝露するか
07 ヒエラルキーコントロール
08 個人防御具の使用基準
09 個人防御具①:化学療法専用グローブ
10 個人防御具②:ケモガウン
11 その他の個人防御具
12 安全キャビネット
13 抗がん薬の気化を証明した実験
14 閉鎖式薬物輸送システムを使用した曝露予防
15 シリンジ,針の取り扱い
16 調製後の抗がん薬の払出し,使用済みアンプル・バイアルの廃棄
17 抗がん薬の不活化方法
18 排泄物からの曝露対策
19 スピルキット
確認問題
書評1
読んでわかる! 教えてわかる!
がん薬物療法 副作用マネジメントと抗がん薬曝露対策

加藤 裕久(湘南医療大学薬学部 医薬品情報解析学研究室 教授)

 2021年4月に南山堂より『マナビジュアルノート がん薬物療法 副作用対策&曝露対策』が刊行されました.著者らは,佐藤淳也博士(薬学)を代表とする専門領域に関する学識の非常に高いスペシャリストです.さらに,著者らはがん治療の臨床現場から大学での教育現場そして学会活動まで幅広く活躍され,豊富な経験をもつ方々です.本書を手にしたとき,その文章から著者らの顔が目に浮かびつつ,真剣に取り組んだ熱量を随所に感じました.
 本書を開いたとき,まず今までにない構成に驚きました.最新のがん薬物療法の基本から抗がん薬による曝露対策までをイラストも豊富に見やすく,理解しやすいことに気づきました.特に抗がん薬の作用機序や副作用の発現機序のわかりやすさは,目を見張るものがあります.
 2番目に特筆すべき点は,がん治療における薬剤師の役割として非常に重要な抗がん薬による副作用対策と曝露対策について,多くの紙面を割いていることです.がん治療の免疫療法も含めた4本柱の1つであるがん薬物療法は,抗がん薬のみによる治療法ではなく,抗がん薬による副作用の予防と治療を担う支持療法が重要なことは周知のことです.本書では,代表的副作用である消化器毒性から免疫関連有害事象(irAE)まで幅広く,各副作用の発現機序,特徴,予防的対応,治療法などについて網羅されています.さらに,症例への具体的な薬学的介入についても,わかりやすく解説しています.
 3番目の特徴は,抗がん薬の曝露防止対策について,詳細かつ具体的に記述されていることです.薬剤師あるいは学生薬剤師として抗がん薬を取り扱う際の基本を理解することができます.
 4番目の特徴は,図表が大変見やすく厳選されており,薬剤師だけでなく他の医療従事者らへの説明,特に大学での講義には大変使いやすいものとなっています.
 5番目の特徴は,各事項の学習目標から確認問題を用意し,症例を提示しその対処についてもわかりやすく解説していることです.
 なぜ本書がこのように使いやすいのかを考えると,本書のコンセプトが学習者の視点だけでなく,指導する薬剤師あるいは教員の立場から構成されていることで合点がいきました.著者らの臨床現場と教育現場での豊富な経験が強く反映されている結果と推察しました.
 最後に,本書が読者からの要望を反映しつつ版を重ねることを期待するとともに,後日,リリースが予定されている電子版が随時,臨床現場や教育現場で活用されることを熱望します.
書評2
1つのテーマをスライド1枚にまとめてあり,学習者と教える側の双方で活用できる

篠 道弘(静岡県立静岡がんセンター 薬剤部長)

 がん薬物療法の副作用に対応するスキルや支持療法の立案能力を高めたい薬剤師に待望の本書「がん薬物療法 副作用対策&曝露対策」が発刊された.がん薬物療法の副作用対策や支持療法に特化した内容となっており,イラストが多く,化学療法をわかりやすく解説している.消化器毒性や皮膚毒性などの大項目ごとに1つのテーマをスライド1枚にまとめた講義・講演ベースで構成されているので特定の項目を調べやすく,短時間でも確実に読み進めることが可能である.また,著者全員が大学教員であり,教える側の教科書にもなっている.
 がん薬物療法の副作用対策や支持療法について広く学習したい場合には,通読をお薦めする.また,日常業務のなかで特定の副作用に遭遇して対応が必要な場合には,目次から該当する副作用を見つけることで本書を有効に活用できるであろう.がん薬物療法に携わる薬剤師のみならず,すべての医療従事者に是非ともお勧めしたい書である.
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