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救急初療室でも使える!

一撃‼ 応急漢方

1版

医療法人徳洲会 日高徳洲会病院 院長/
サイエンス漢方処方研究会 理事長 井齋偉矢 著

定価

2,200(本体 2,000円 +税10%)


  • A5判  91頁
  • 2019年7月 発行
  • ISBN 978-4-525-41201-2

患者さんの困った急性症状へ漢方薬で対応する!

本書は救急対応が必要な症状のある患者,急性疾患に罹患した患者のなかでも,漢方薬による対応が有効なものを,臨床現場でどの漢方薬を選び,使っていくかを筆者の長年の経験をもとに簡潔に解説する.漢方専門家ではなく救急診療時に即役立つよう,各項目に現状の救急医療の対応,その問題点,有効な漢方薬とその使い方を構成した.

  • 目次
  • 序文
目次
【第1章】総論
漢方薬の薬物としての特異性
救急現場で漢方薬が必須である理由

【第2章】救急症候に対する漢方治療
1 めまい 
■「めまい」症には漢方処方が第一選択
五苓散/苓桂朮甘湯/半夏白朮天麻湯

2 頭痛
■片頭痛と緊張型頭痛には漢方処方が第一選択
呉茱萸湯/川きゅう茶調散/葛根湯

3 胸痛
■緊急性のない胸痛には漢方処方が第一選択
当帰湯

4 動悸
■動悸を伴う心臓神経症には漢方処方が第一選択
柴胡加竜骨牡蛎湯/黄連解毒湯/炙甘草湯

5 咳・痰
■呼吸器感染症には抗菌薬と同列の重要度で漢方処方も第一選択
小柴胡湯/滋陰降火湯/竹?温胆湯

6 喀血
■少量喀血には漢方処方が第一選択
黄連解毒湯

7 吐血・下血
■内視鏡治療に漢方処方の併用を考慮
黄連解毒湯/半夏瀉心湯/排膿散及湯

8 嘔気・嘔吐
■嘔気・嘔吐には漢方処方が第一選択
五苓散/茯苓飲/小半夏加茯苓湯

9 下痢2
■胃腸炎そのものをコントロールして下痢を治すには漢方処方が第一選択
半夏瀉心湯/排膿散及湯/桂枝人参湯

10背部痛・腰痛
■胸痛や動悸を訴える心臓神経症や急性腰痛には漢方処方が第一選択
当帰湯/炙甘草湯/葛根湯/芍薬甘草湯

11 精神症候 
■パニック発作やせん妄には漢方処方が第一選択
苓桂朮甘湯/甘麦大棗湯

12 脳血管障害 
■現代医学的治療法と漢方処方の併用が推奨される
五苓散/小柴胡湯

13 脳静脈洞血栓症 
■併発する脳浮腫には漢方処方が第一選択
五苓散
Case report:細菌性胃腸炎から脳静脈洞血栓症となった生後2ヵ月男児

14 中枢神経感染症 
■現代医学的治療法と漢方処方の併用が推奨される
五苓散/小柴胡湯

15 うっ血性心不全 
■現代医学的治療法と漢方処方の併用が推奨される
木防已湯

16 感染性肺炎,間質性肺炎 
■抗菌薬と漢方治療を併用する治療法が第一選択
小柴胡湯

17 急性胃粘膜病変
■プロトンポンプ阻害薬と漢方薬を併用する治療法が第一選択
黄連解毒湯

18 急性虫垂炎
■抗菌薬と漢方薬との併用が第一選択
大黄牡丹皮湯

19 急性膵炎・急性胆管炎・急性胆嚢炎
■抗炎症薬としては漢方薬しか選択肢がない
柴胡桂枝湯

20 腸閉塞とイレウス 
■減圧に漢方治療を併用するのが第一選択
大建中湯

21 偽痛風
■ミノサイクリン点滴静注,プレドニゾロン内服に加えて漢方薬の併用が第一選択
越婢加朮湯

22 外傷に対する微小循環障害治療
■外科治療と並行して,腫脹・発赤・熱感には漢方治療が第一選択
通導散/桂枝茯苓丸/越婢加朮湯/猪苓湯/防已黄耆湯/麻杏きょう甘湯

23 骨盤内炎症性疾患(PID)
■第一選択の抗菌薬に細菌感染に対する免疫能を上げる漢方薬を併用する
排膿散及湯

24 血尿
■尿路出血の止血には漢方治療が第一選択
きゅう帰膠艾湯

25 鼻出血
■耳鼻咽喉科的手技に漢方治療を併用する
三黄瀉心湯/黄連解毒湯


【第3章】災害時の諸問題に対する漢方治療
1 災害時の医療支援の実態
  ・災害時の医薬品供給
2 災害時の被災者の健康問題 
  ・環境的側面
  ・心理社会的側面
  ・災害に伴うストレス反応
  ・食生活の乱れと生活習慣病
  ・生活不活発病
3 被災後のこんな症状にはこの漢方
 ■ストレス反応
 半夏厚朴湯/加味逍遙散/加味帰脾湯/抑肝散/抑肝散加陳皮半夏/柴胡加竜骨牡蛎湯/補中益気湯/人参養栄湯
 ■生活不活発病
 八味地黄丸/真武湯/黄耆建中湯
序文
 フリー百科事典『ウィキペディア』によりますと,救急医療とは「人間を突然に襲う外傷や感染症などの疾病,すなわち『急性病態』を扱う医療である」と記載されています.「救急医療は医の原点ともいわれますが,救急医療は常に人類とともにあったともいえる」とも書かれています.
 救急医療が扱う「急性病態」のなかで咄嗟に頭に浮かぶものは物理的な障害です.大きな外力により組織や器官や臓器が破壊される場合や,動脈が血栓などで閉塞を起こし末梢が壊死に陥る場合などです.このような事態に対処するには,現代医学こそが唯一の手段であり,現代医学の進歩は救急医療の進歩に大いに寄与してきました.
 しかし,救急医療が扱う「急性病態」はそれだけではありません.急激な身体機能の障害や喪失も救急医療の大きな部分を占めています.現代医療はある意味,ターゲットに対してピンポイントで介入する攻撃的な治療手段です.この方法では落ちた身体機能を元に戻すという治療介入はできません.人間は機械ではないので,医療者が落ちた身体機能を直接介入して回復させることはできません.あくまでも,患者が自分で修復作業を行わなくてはなりませんが,このプロセスを促進させるように介入することはできます.その手段が漢方治療です.「傷寒論」が編纂された約1,800年前には,物理的な障害を治す手段はほとんどなかったと思います.しかし,落ちた身体機能を自分で回復させるためには,生薬を使って患者にどのような刺激を与えればいいかということはできたのです.
 現代医療が得意とする物理的介入と,漢方治療が得意とする落ちた身体機能を回復させるように仕向ける介入を,うまく組み合わせて「急性病態」に対処することにより,救急医療が大きく前進することになると考えます.

2019年6月
医療法人徳洲会 日高徳洲会病院 院長
サイエンス漢方処方研究会 理事長
井齋偉矢
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