ブックタイトル薬局6708

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概要

薬局6708

薬 局 2016 Vol.67, No.8 2589 155はじめにフッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍薬は代謝拮抗薬に分類される薬剤であり,さまざまな癌腫の化学療法に用いられる.古典的な抗悪性腫瘍薬であるものの,わが国における胃癌や大腸癌などの治療ガイドラインで推奨される化学療法の一つとして提示されており,特にプロドラッグ型の経口剤やその配合剤は外来での化学療法やアジュバント療法に用いられ,病院だけでなく地域薬局でも目にすることの多い抗悪性腫瘍薬である.本稿では,フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍薬において注意すべき薬物相互作用を解説する.フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍薬と他薬との相互作用内因性の核酸塩基の一つであるウラシルの5位の水素をフッ素に置換したものがフルオロウラシル(販売名:5―FU)であり,わが国では1960年代から用いられている抗悪性腫瘍薬である.フルオロウラシルは,生体内でジヒドロピリミジンデヒドロゲナーゼ(DPD)によって代謝され,その消失半減期は数分と血中からの消失が非常に速い.そこで,フルオロウラシルにフラン環を付加したプロドラッグであるテガフール(販売名:フトラフールR)が開発され,テガフールは肝臓で徐々にフルオロウラシルに変換されるため,フルオロウラシルの血中濃度が持続する.その後,腫瘍細胞内の酵素で活性型に変換されるタイCYP2C9によって代謝され,治療域が狭いフェニトインやワルファリンでは,フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍薬との相互作用に注意が必要である.フェニトインとの併用の際には,TDMに基づくフェニトインの投与量調節とともに,めまい・ふらつきなどフェニトイン中毒の初期症状に注意する.ワルファリンとの併用の際には,PT―INRによるワルファリンの投与量調節とともに,出血傾向などワルファリンの作用増強に注意する.フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍薬の併用開始から検査値の変動や副作用症状の発現までには 1 ~ 2週間から1ヵ月前後の時間差がある.フッ化ピリミジン系抗悪性腫瘍薬の切り替えの際には,自宅残薬にも注意する.佐藤 宏樹東京大学大学院薬学系研究科 育薬学講座 特任助教抗悪性腫瘍薬(フッ化ピリミジン系)■ 治療域が狭い・副作用が出やすい薬剤におけるDDIマネジメントの実践例! ?? 11Feature | 薬物相互作用