ブックタイトル薬局6708

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概要

薬局6708

薬 局 2016 Vol.67, No.8 2577 143タモキシフェンCYP2D6 阻害作用をもつ薬剤との併用タモキシフェンはホルモン受容体陽性乳癌患者の術後5年間の投与により,年齢,閉経状況,リンパ節転移などの有無にかかわらず,再発および死亡リスクが減少されていることが報告されている1).アロマターゼ阻害薬とともに臨床現場で使用量が多い薬剤の一つである.乳癌では,術後に再発してしまうとがん化学療法や放射線治療などを用いた延命治療となるため,術後再発予防目的で行う補助療法が非常に重要である.特にホルモン剤による術後補助療法は,5年服用することによる効果が証明されており,タモキシフェン5年投与後にアロマターゼを追加で5年間服用するような治療法も検討されており2),術後補助療法は5~ 10年間治療継続する治療法となってきている.タモキシフェンは主にCYP2D6 により,4―OH―タモキシフェンとエンドキシフェンに代謝される(図1).4―OH―タモキシフェンとエンドキシフェンの抗エストロゲン活性はタモキシフェンの30 ~ 100倍あり,さらにエンドキシフェンの血中濃度が4―OH―タモキシフェンよりもはるかに高いことから,エンドキシフェンが主な抗エストロゲン作用を担っていると考えられている.CYP2D6を阻害する薬剤であるパロキセチンなどと併用することにより,タモキシフェンの作用減弱による乳癌の再発リスク,死亡リスクが高まることが報告されている4).この報告によると,パロキセチンとタモキシフェンを同時に服用した女性では,2剤の併用期間が長いほど乳癌による死亡リスクが上昇した.うつ病は,がん患者の約15 ~ 25%が罹患すると報告5)されており,タモキシフェンと抗うつ薬の併用は臨床現場で多くみられる.対応策としては,CYP2D6への影響が少ないcitalopramやエスシタロプラムなどへの変更タモキシフェンとCYP2D6阻害薬(パロキセチンなど)との併用で,乳癌の再発リスク,死亡リスクが高まることが報告されている.パクリタキセルとCYP3A4阻害薬(ケトコナゾールなど)との併用時には,パクリタキセルの副作用の重篤化に注意する.ドセタキセルとCYP3A4阻害薬との併用時には,発熱性好中球減少症の発現リスクが高くなると考えられる.川上 和宜がん研有明病院 薬剤部/医療安全部 主任抗悪性腫瘍薬(タモキシフェン,タキサン系)■ 治療域が狭い・副作用が出やすい薬剤におけるDDIマネジメントの実践例! ?? ?Feature | 薬物相互作用