ブックタイトル薬局6708

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概要

薬局6708

136 2570 薬 局 2016 Vol.67, No.8はじめに国内の臓器移植は年々増加し,現在腎移植件数が年間約1,500件と最も多く,肝移植が年間約400件と続く.一方,造血幹細胞移植は年間約5,000件実施されているが,これら移植後の拒絶や移植片対宿主病(GVHD)防止目的で,免疫抑制薬であるカルシニューリン阻害薬タクロリムスあるいはシクロスポリンが中心的な役割で使用されている,2014年の国内調査によると,臓器移植におけるタクロリムス使用は全移植患者の85~88%と,シクロスポリンの11~15%に比べて多い1).これら薬剤は治療薬物濃度モニタリング(TDM)を実施することで診療報酬が得られるので,DDIマネジメントはこれらカルシニューリン阻害薬の血中濃度の定期的モニタリングが有用である.動態特性カルシニューリン阻害薬の薬物動態的な特徴を表1にまとめた.TDMの際のターゲット濃度は,施設や併用薬剤レジメンによって異なるため,参考的な値であるが,タクロリムスの血中濃度は臓器移植後の維持期において5ng/mL前後を維持させる2).これはシクロスポリンの血中ターゲット濃度よりも著しく低い.そのためタクロリムスは併用薬剤の影響を受けやすく,併用薬が新規導入された際は,併用1週間後の血中濃度をモニタリングすることが望ましい.タクロリムスとシクロスポリン共にCYP3A4とCYP3A5によって代謝されるが,その寄与率は異なる.シクロスポリンはCYP3A4の寄与がCYP3A5よりも約2.3倍高いのに対して,タクロリムスはCYP3A5の寄与が1.5倍,CYP3A4よりも高い.タクロリムスのバイオアベイラビリティ(BA)は5~ 65%と患者間変動が大きいが,これはCYP3A5の遺伝子多型で説明できる.DDIマネジメントにはカルシニューリン阻害薬の血中濃度測定が有用である.タクロリムスの相互作用の強度はCYP3A5 遺伝子多型の内的因子に影響される.シクロスポリンはP―糖タンパクやOATP1B1,1B3阻害作用をもつ.DDIマネジメントは血中濃度の変化だけでなく,時間軸を考慮する.三浦 昌朋秋田大学医学部附属病院 薬剤部 教授・薬剤部長カルシニューリン阻害薬■ 治療域が狭い・副作用が出やすい薬剤におけるDDIマネジメントの実践例! ?? ?