ブックタイトル薬局6708

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概要

薬局6708

薬 局 2016 Vol.67, No.8 2541 107ジゴキシンのエビデンスジゴキシンの相互作用について考える前に,まずジゴキシンに関する近年のエビデンスについて振り返ってみたい.ジゴキシンは歴史的には,心筋細胞膜のNa+/K+―ATPase阻害作用に基づく心筋収縮力増大作用(陽性変力作用)と迷走神経刺激作用などによる徐脈化作用(陰性変時作用)を期待して,心房細動(atrial fibrillation : AF)のレートコントロールを目的に,特に心不全合併例に関して用いられてきた.これについては日本循環器学会の心房細動治療(薬物)ガイドライン(2013年改訂版)1)でも推奨薬剤として挙げられているとおりである.しかし,ジゴキシンのAFに対する使用に関するエビデンスとしては,近年は否定的な報告が多かった.例えば,AF患者において,リズムコントロールとレートコントロールが生命予後に与える影響を比較した試験であるAFFIRM試験のサブ解析2)では,ジゴキシンは性別や心不全に関係なく,AF患者の死亡率の明らかなジゴキシンの心房細動に対する使用に関するエビデンスとしては,近年は否定的な報告が多かったが,昨年報告されたシステマティックレビューによると,必ずしも否定的な側面ばかりではないことが示されている.心房細動のレートコントロールの薬剤の選択肢として,ガイドラインではβ遮断薬およびベラパミル,ジルチアゼムが第一選択薬とされているが,心不全合併例や血圧低下例ではベラパミル,ジルチアゼムは陰性変力作用を有するため注意が必要であり,このような症例でジゴキシンは選択肢となる.ジゴキシンの血中濃度としては0.5 ~ 0.9ng/mLといったより低い濃度が予後の改善と関連し,より高い血中濃度は死亡率の上昇と関連することが報告されている.ジゴキシンはP―糖タンパク阻害薬との併用により血中濃度が上昇しやすく,ベラパミルやジルチアゼム,キニジン,アミオダロン,スピロノラクトンなどとの併用時には血中濃度の上昇に注意が必要である.低カリウム血症や高カルシウム血症,低マグネシウム血症によってもジゴキシン中毒は誘発されやすくなるため,カリウム排泄型利尿薬(チアジド系,ループ系,炭酸脱水酵素阻害薬など),活性型ビタミンD3との併用時もジゴキシン中毒に注意が必要である.木村 丈司神戸大学医学部附属病院 薬剤部 主任ジギタリス製剤■ 治療域が狭い・副作用が出やすい薬剤におけるDDIマネジメントの実践例! ?? ?Feature | 薬物相互作用