ブックタイトル薬局6708

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概要

薬局6708

薬 局 2016 Vol.67, No.8 2483 49はじめに代謝酵素は,薬物を含めた外因性の物質により増加することがある.この現象を代謝酵素の誘導(代謝誘導)と呼んでいる.もともと誘導は,脂溶性物質を体外へ効率よく排泄するための生体内での機構だと考えられる.しかし,薬物治療中において併用薬や食品,たばこなどの嗜好品により代謝誘導が引き起こされた場合は,投与中の薬物の代謝が亢進しそのクリアランスが増大するため,体内動態や薬力学に影響を及ぼす場合があり注意を要する.酵素誘導のメカニズム代謝誘導は,主に転写の活性化により酵素タンパクの合成が促進されることによって引き起こされる1, 2).薬物代謝酵素タンパクの発現は,核内受容体と呼ばれるリガンド結合型の転写因子によって制御されている.核内受容体はリガンド(酵素誘導を引き起こす薬物や物質)が結合すると活性化し,核内へ移行する.その後,核内受容体はretinoid X receptor(RXR)などの別の転写因子とヘテロ二量体を形成し,標的遺伝子の上流域にある応答領域に結合し,転写を活性化する.そして転写が活性化された(誘導された)遺伝子から酵素タンパクの合成が促進される.この核内受容体として代表的なものはAhR(arylhydrocarbonreceptor),PXRおよびCAR(constitutiveandrostane receptor)である.AhRは主にシトクロムP450(CYP)1A1/2,グルタチオン―S―トランスフェラーゼ(GST),UDP―グルクロノシルトランスフェラーゼ(UGT)1A1,PXRはCYP3A4/5,CYP2C8,CYP2C9,CYP2C19,代謝誘導は,主に転写の活性化により酵素タンパクの合成が促進されることによって引き起こされる.代謝誘導が起こってから回復するまでの過程には,代謝酵素の合成と分解というターンオーバーを考慮する.CYPの代謝誘導の回復半減期はおよそ40 ~ 60時間であると考えられ,誘導が10%以下のレベルになるまでは2週間程度と算出される.誘導の回復時間は,CYPの種類,誘導薬の投与期間や薬物動態学的特性,個人差により大きく変動する可能性がある.内田 信也静岡県立大学薬学部 実践薬学分野 准教授代謝誘導の相互作用はどれぐらい持続しますか?■ DDIの基本とピットフォール! エキスパートが答えるQ&A ?? ?Feature | 薬物相互作用