ブックタイトル薬局6708

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概要

薬局6708

44 2478 薬 局 2016 Vol.67, No.8はじめに薬物代謝酵素の阻害は,メカニズムによって可逆的あるいは不可逆的阻害のいずれかに分類される.代謝阻害の相互作用がどれくらい持続するか推定し,投与設計に生かすためには,阻害のメカニズムを把握することが重要である.代謝酵素の可逆的阻害に基づく相互作用臨床で認められる代謝阻害の多くは酵素の可逆的阻害によるものであり,酵素阻害の程度は阻害薬濃度([I])と阻害定数(Ki)との比([I]/Ki)によって決まるので,阻害薬が体内から消失すれば阻害効果も同時に消失する.H2受容体拮抗薬シメチジン(タガメットRなど)を併用することにより睡眠導入薬トリアゾラム(ハルシオンRなど)の血中濃度が上昇することが報告されており,両者は併用注意とされている.これは,トリアゾラムの主代謝酵素であるCYP3A4をシメチジンが可逆的に阻害することに起因すると考えられる.シメチジンの濃度推移とCYP3A4阻害作用を考慮した生理学的薬物速度論モデルに基づくシミュレーション※注により,シメチジンを併用(同時投与)したときの血中トリアゾラム濃度の上昇(単独投与時と比較して血中濃度時間曲線下面積(AUC)が1.3倍に上昇;図1a1))薬物代謝酵素の阻害は,メカニズムによって可逆的あるいは不可逆的阻害のいずれかに分類される.臨床で認められる代謝阻害の多くは酵素の可逆的阻害によるものであり,阻害薬が体内から消失すれば阻害効果も同時に消失する.不可逆的阻害の場合,阻害薬が体内から消失しても阻害効果は残り,新たな酵素が生成されるまで代謝活性はもとに戻らない.代謝阻害の相互作用がどれくらい持続するか推定し,投与設計に生かすためには,阻害のメカニズムを把握することが重要である.工藤 敏之* 伊藤 清美**武蔵野大学薬学部 薬物動態学研究室 *講師 **教授代謝阻害の相互作用はどれくらい持続しますか?■ DDIの基本とピットフォール! エキスパートが答えるQ&A ?? ?※注: 本稿におけるシミュレーションには,薬物相互作用シミュレーションソフト「DDI SimulatorR」(Ver. 2.4;富士通九州システムズ)を用いた.