ブックタイトル薬局6708

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概要

薬局6708

薬 局 2016 Vol.67, No.8 2475 41はじめに薬物代謝酵素は一般に,基質特異性が低く,1つの代謝酵素がさまざまな薬物の代謝を担う.最も重要な薬物代謝酵素であるシトクロムP450(CYP)には種々の分子種が存在するが,汎用されている医薬品の約半数がCYPによって代謝され,さらにその約半数の代謝にCYP3A4が関与するとされている1).同じ代謝酵素で代謝される複数の薬物を併用すると,それらが同じ代謝酵素を取り合う競合阻害が起こる.このとき,酵素との親和性が大きい方の薬物が,小さい方の薬物の代謝を阻害することになる(本稿において前者を「阻害薬」,後者を「被相互作用薬」と記す).その結果,被相互作用薬が代謝されて消失する速度が低下し,阻害薬を併用しない場合と比べて血中濃度が上昇する.しかし,これが臨床上問題となるかは,阻害薬による酵素阻害の強さ(濃度と親和性との関係),阻害される酵素での代謝が被相互作用薬の消失に占める割合および被相互作用薬の治療域(副作用を示さずに治療効果を発揮する血中濃度の範囲)の3つの要因により決まってくる.阻害薬側の要因基質同士による酵素の競合阻害では,酵素との親和性が大きい薬物ほど強い阻害薬となり,阻害の強さを表す阻害定数(Ki)は,酵素との親和性を表すミカエリス定数(Km)と等しい.酵素阻害の程度は,阻害薬の濃度([I])とKi の比([I]/Ki)で表される.すなわち,Kiが小さい(強い)阻害薬でも,その濃度が低ければ,酵素活性の阻害はみられない.同じ薬物代謝酵素によって代謝される薬物が数多く存在し,臨床においてそれらを併用すると競合阻害を生じる可能性がある.競合阻害では,酵素との親和性が大きい薬物ほど強い阻害薬となり,酵素阻害の程度は,阻害薬の濃度と阻害定数の比で表される.阻害を受ける酵素が被相互作用薬の全身クリアランスに占める割合によって,酵素阻害による血中濃度の上昇率が異なる.薬物の体内動態の特徴とともに,種々の相互作用の実例をきちんと把握しておくことが重要である.工藤 敏之* 伊藤 清美**武蔵野大学薬学部 薬物動態学研究室 *講師 **教授代謝酵素の基質同士を併用した場合,臨床上DDIは問題になりますか?■ DDIの基本とピットフォール! エキスパートが答えるQ&A ?? ?Feature | 薬物相互作用