ブックタイトル薬局6708

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概要

薬局6708

薬 局 2016 Vol.67, No.8 2469 35はじめにタンパク結合による薬物相互作用(DDI)と聞くと,初めに試験管内のような閉鎖系をイメージし,「タンパクから追い出された非結合形の血中濃度が増える!」「作用が増強する!」「危険だ!」という思考に至ってしまいがちである.しかし,生体内は試験管内のように単純ではない.体内の薬物は常に動いているのである.本稿では,薬剤学で学ぶ数式的表現は最小限にとどめ,できるだけ体内の薬物の動きをイメージするかたちでタンパク結合によるDDIの臨床的意義について解説する.タンパク結合置換とは?タンパク結合置換とは,血漿中や組織中のタンパクに結合している薬物(被置換薬)が,他の薬物など(置換薬)によって,その結合部位から追い出される現象をいう.アルブミンをはじめ,薬物結合タンパクはいくつかの結合部位を有しており,薬物によって結合する部位や結合の強さは異なる.そのため,タンパク結合率が高い薬物同士を併用してもタンパク結合置換現象が生じるとは限らない.そうなると,どの薬物の組み合わせでタンパク結合置換が生じるのか,気の遠くなるような情報収集が必要なのではないかと考えてしまうところだが,臨床的にはその必要はほとんどない.なぜなら,タンパク結合によるDDIが臨床上重要な変化をもたらさないことが多いからである.血漿中非結合形薬物濃度の変化が薬効の変化と相関する.生体内では,タンパク結合部位から追い出された薬物には行き場がある.分布容積の小さい薬物ではタンパク結合置換により非結合形濃度が上昇するが,多くの場合,一時的である.臓器クリアランスの小さい薬物では,血漿中非結合形薬物濃度が高くなると消失も亢進する.臓器クリアランスの大きな薬物を静脈内くり返し投与または持続点滴している場合には,タンパク結合置換による効果・副作用の増強に注意が必要である.小川 竜一明治薬科大学 薬物治療学研究室 講師タンパク結合によるDDIが臨床上重要な変化をもたらさないことが多いのはなぜですか?■ DDIの基本とピットフォール! エキスパートが答えるQ&A ?? ?Feature | 薬物相互作用