ブックタイトル向精神薬と妊娠・授乳 改訂2版

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概要

向精神薬と妊娠・授乳 改訂2版

改訂2版の序 精神・神経系疾患は長期的な治療を要することの多い疾患群の一つである.しかし,患者さんが妊娠中の場合は,胎児への安全性を同時に考えなくてはならず,臨床現場は混乱気味なのではないだろうか.また,母乳栄養の利点が認識されるようになってからは,患者さんが母乳栄養中でもこれらの薬物療法は安全なのか,という,これまた簡単に答えられない問題に明確な答えを出すことが臨床の第一線で求められている.私自身の経験からすると,妊娠・授乳中の母親の精神・神経系疾患に対する薬物療法が胎児・母乳栄養児へどのような影響を与えるのかは,最も頻繁にコンサルテーション依頼がくる事例の一つである. 1961 年11 月に当時の西ドイツで,小児科医Lenz が妊婦のサリドマイド服用によると思われる児のアザラシ肢症の多発を報告して以来,妊娠中の薬物療法の胎児毒性は広く知られるようになった.現在,胎児への影響が明らかであると認められている薬物が存在する.本書は精神・神経系疾患に使われる薬物に的を絞り,それらの妊娠・授乳中の安全性を臨床現場の観点から解説するという目的で企画された. 2014 年の初版をアップデートする形でこの第2版がまとめられたが,臨床現場で妊婦・授乳婦の精神・神経系疾患への薬物治療をどうすればいいのか,という点に焦点を当てているのは変わらない.第1章と第2章ではこの分野の背景と基本的な知識を記載し,第3章は臨床判断の極意ともいうべき毒性リスクと治療による利益(あるいは治療しないことによる不利益)のバランスを論じている.これはあくまでも参考であって,個々の患者さんに特有な要素を加味して個別化した指導の一助になればという思いである.第4章は初版にはなかった項目で,妊娠・周産期に特有の問題を記載した.第5章は主な疾患の症例を示しながら,向精神薬の知識を精神・神経系疾患を扱う臨床現場での実際にどう結びつけていくのかという点に焦点を当てている. まだまだ改良の余地はあるものの,この本が実地臨床の場で少しでも役に立てればこれ以上の喜びはない.最後になったが,母親であり,また患者さんでもある多くの女性の方たちが,安全な妊娠・授乳と元気な赤ちゃんのためにより良い医療を受けられるようにとの願いを,著者を代表してここに記すとともに,南山堂のスタッフの方たちに心からお礼申し上げます.  2017 年5 月編者を代表して 伊藤 真也